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LIFE

経験を重ねた今こそ響く、人生の処方箋!

30代・40代の悩みに「プロが選んだ恋愛小説」~恋愛&子育て編~

2019.01.06

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Romance novel

私の人生ってこれで終わりなのかな・・・と悩んでしまったり、時代の流れに子育ての不安を感じたり。LEE世代ならではのお悩み解決に寄り添ってくれる本を、読書のプロたちがご紹介します!

BOOK MANIAのコンシェルジュが
悩みに聞く一冊を!

代官山 蔦屋書店 文学コンシェルジェ 間室道子さん
一枚のPOPからベストセラーを生み出す、元祖カリスマ書店員。書評、文庫本の解説などでも活躍中。
ブックディレクター BACH 幅 允孝さん
本と人をつなぐ売り場、ライブラリーを手がける。著書に『本なんて読まなくたっていいのだけれど、』等。
文芸ライター 石井絵里さん
女性誌で書評連載のほか、BOOK特集記事、作家の取材記事などを執筆。歴女で時代物×恋愛小説が好き。

Q:アラフォー・バリキャリで恋愛を楽しんでいる独身友人を見ると、
この先、子持ちの自分は恋愛っぽいイベントとは無縁の一生なのかな?と、寂しくなる瞬間が……。

A:まったく違う道を選んだ女性二人。それぞれの生き方に学ぼう


女性二人の恋と生き方を描く大人のための物語
『瑠る璃りでもなく、玻は璃りでもなく』
唯川 恵 ¥600/集英社文庫

異なる環境の友人の恋が気になるのは、自分にも選んだ生活があるから。対照的な女性二人の恋愛や生き方を描いた小説を読み、心にカツを入れましょう! 26歳・未婚・OLで不倫中の美月と、34歳・既婚・子ナシで専業主婦の英利子。単調な毎日に不満を覚える英利子と将来を焦る美月、二人がおかれた立場や心情は、現代日本に生きる女性ならば共感できるはずだし、読後は、環境は違えども自立している相手を尊敬するマインドが生まれます!

A:終わりある濃い恋愛関係に触れ、雑念を吹き飛ばして!


若くて孤独な男女二人の運命的な恋を描いた名作
『ハチ公の最後の恋人』
吉本ばなな ¥457/中公文庫

恋している高揚感を自分ももう一度味わいたい!ということならば、純度の高いこの作品を。特別な力を持った祖母の予言通りに、主人公の前に現れた青年・ハチ。10代の彼女と、恋愛のない世界へ行くことを決めているハチとの、運命的かつ切実な関係を読むと、大人になったがゆえに忘れていた日常への感謝を思い出し、人の色恋をうらやむような気持ちもすっ飛びます(笑)。別れの切なさもたっぷり描かれていて、恋愛を堪能できる一冊です。

A:普通の人に起こるドラマ。人生にはまだ次の恋があるかも?


短編小説の女王が描く、普通で個性的な物語
『イラクサ』
アリス・マンロー【著】小竹由美子【訳】 ¥2400/新潮社

自分が過ごしている日々やこれから先のことに、少し退屈さを感じているのかもしれませんね。この世界のどこかで、実際に暮らしていそうな“普通の人”が出てくる、この短編集を読みましょう。9つの話のほとんどが、人生の半ばを過ぎた女性が主人公です。ありふれた日常を一生懸命生きている彼女たちのそれぞれが、突然経験する、思わぬ転調。誰にだって予測不能のドラマは、まだまだ用意されているのかもしれない!と思わせてくれます。

Q:「若い頃、もっと恋愛に溺れていたら」とたまに後悔します。
この消化不良感を解消するには?

A:常識を打ち破るような“劇愛”に己の脳みそをひたしてみるべし!


私小説の名手が描く圧倒的な情念の世界
『赤目四十八瀧心中未遂』
車谷長吉 ¥550/文春文庫

爽やかな恋愛やときめく物語を通り越して、いっそのこと“劇愛”とでも言うべき世界観に身をひたしてみましょう。時代は昭和の終わり頃。とあるアパートの一室で、あえてうらぶれた生活を送っている、自堕落な性質の男の前に現れた、一人の美女。その美女に待ち受けている過酷な運命と、彼女が男へ求める救いの気持ちと、二人の間に流れる愛欲の日々。そしてラストの展開は、人の情念を強く感じさせてくれます。

A:秘めた欲望を解放する官能文学に頼ってください


社会的な問題提起も含む、極上のエロスの世界
『ダブル・ファンタジー』(上下巻)
村山由佳 (各)¥580/文春文庫

あなたのほの暗い熱は、今から実行したらそれなりのリスクを伴う危険な“蜜”。本著の主人公に代理経験してもらいましょう。夫を捨ててみたら、外にはめくるめくセックスの世界があることを知った主人公。恋愛遍歴を重ねていく彼女を“淫乱”ととらえるか? 女性は恋愛経験が多いと、不道徳だと思われたり、おとしめられなければいけないのか? 真実の解放とは? 性への問題提起も含んだ、極上の官能物語です。

Q:ママ友の夫の浮気が発覚!
彼女を力づけたいけれど、どう声をかけてあげたらいいのかわかりません……。

A:余計な口出しをしてしまう前にママ友小説を参考にしてみて


幸せそうに見える人生の裏側をあぶり出す衝撃作
『ハピネス』
桐野夏生 ¥720/光文社文庫

現実的な意見としては人の家庭で起こった恋愛事情にアドバイスはせず、聞き役に徹するのが一番の親切。そのうえで、ママ友が抱えている秘密を描いたこの小説を、参考書として読んでみてはいかがでしょうか。都内のタワーマンションを舞台に繰り広げられる彼女たちの人間関係。そこに萎縮しているヒロイン自体が実は……という展開。人間が持つダメさ加減を容赦なく書き切り、爽快さに転化させる作家・桐野夏生さんの真骨頂と言える作品です。

A:浮気ってどこまでが楽しい? そんな気持ちになる小説を


恋愛が持っている情熱と軽やかさを描く長編作品
『薔薇の木 枇杷の木 檸檬の木』
江國香織 ¥650/集英社文庫

お友達に、人間の恋心自体を、ちょっと俯瞰して見ているような小説を読んでもらうのはいかがでしょう。本著には主婦、フラワーショップオーナー、モデルなど、たくさんの登場人物が出てきますが、大抵がいろんな形の恋をしていて、もちろん浮気中の夫もいます。恋の“うまみ”とそれに伴う“痛み”が、ニュートラルに描かれ、恋愛を特別視していないからこそ、『浮気……それってどこまでが楽しいのかな?』と、冷静さを取り戻せるかもしれません。



Q:息子を「いい恋愛ができる男」にしたいのですが、
どんな男性像をお手本にしたらいい?

A:語るよりも行動で思いを伝える男子の話に触れてみては


静謐なチェスの世界で生きる特別な少年の物語
『猫を抱いて象と泳ぐ』
小川洋子 ¥640/文春文庫

ひとつのことへ真剣に打ち込む男の子の姿を、ヒントにしてはどうでしょうか。本著は、チェスの世界を詩的な彩りをもって描いた物語。主人公の少年は11歳のまま体の成長を止め、からくり人形を操りながらチェスを指していきます。そんな特殊さとは裏腹に、彼は奇跡のような勝負を成し遂げていきます。言葉ではなく行動で何かを伝えられる男、というのも魅力的ですよ。

A:自分の身を捧げるほどの愛は悲しい。でも男としてあっぱれ!


直木賞受賞の大ヒット作。純愛本としても高評価!
『容疑者Xの献身』
東野圭吾 ¥670/文春文庫

いい恋愛とはいい結婚に結びつく恋? それとも息子を成長させてくれる恋でしょうか。もし破滅すら厭わないような恋も入れるのならば……。本著に登場する男・石神も注目に値する人だと思います。見返りなんて求めずに、ひたすら愛する人を守ろうとする彼の行動は、母親の目線としては悲しいけれども、男としてはよくやった!と言いたくなるものなのです。

A:チャーミングな男が次々と登場! 息子へのヒントが見つかりそう


愛嬌たっぷりの男性がそろい踏みの不朽の名作
『言い寄る』
田辺聖子 ¥660/講談社文庫

田辺聖子さんの小説をぜひ。特に『言い寄る』は、31歳・フリーデザイナーで自由な生活を楽しむ主人公の元に、次々と男性が現れる恋愛小説。金持ちの色男、渋い中年男、そしてちょっととぼけた男。みんな完璧ではないけれども、独特の愛嬌があって憎めません。そんな“田辺男子”がそろい踏みの本著で、男性に必要なチャーミングさを学び、息子さんに伝授してみては!

Q:生涯未婚率が増え続ける時代、
娘に恋愛に偏見を持たない子に育ってほしい。
同性の親としてどうヒントを与えたらいい?

A:しなやかな感情を育む、ボーイミーツガールの物語


ピュリツァー賞受賞の世界的な感動名作
『すべての見えない光』
アンソニー・ドーア【著】 藤井 光【訳】 ¥2700/新潮社

激動の時代に翻弄されながらも、力強さと爽やかさを失わない人々を描いた、海外の名作小説がおすすめです。幼い日々を孤児院で過ごし、成長してからはナチスドイツの技術兵になった少年と、博物館に勤めている父親の元で育った、目の見えない少女。第二次世界大戦下のフランスで、二人に訪れた、つかの間の巡り合い。いつだって誰かと誰かの出会いは、心に響くということを教えてくれますよ。

A:人の幸せを温かく祝う心を養える!? ブライダル小説


結婚式場で働く人の矜持が伝わってくる長編小説
『本日は大安なり』
辻村深月 ¥640/角川文庫

結婚をする・しないは個人の自由ですが、結婚式は人生の行事の中でも最も晴れやかなお祝い事。その結婚式にまつわる仕事=ウエディングプランナーをしている女性を描いたミステリー作品から、ヒントを得るのもいいかもしれません。花嫁、花婿はもちろん、ハレの日を支える人たちが持っているプライドの素晴らしさも描かれており、愛し合って結ばれることの幸せを素直に祝福できる女性になれると思います。

A:他者を愛することの幅広さ・自由さを知ってほしい


二人の女性の、20年以上に及ぶ愛の姿を描く話題作
『ののはな通信』
三浦しをん ¥1600/KADOKAWA

スケールの大きな愛の話に触れてみるのがベスト。恋愛から始まる幅広い世界や、自由なものの見方を知れるのがこの作品です。お嬢様女子校で出会ったののと、はな。親友関係にあった二人の仲は、次第に恋愛へと変わっていきますが、とある出来事がきっかけで急展開を迎えることに。自分の信じる愛を大事にするののと、すべての愛を受け入れるはな。二人の女性の少女から中年に至るまでのドラマティックな生き様から、愛の奥深さを感じられます。

撮影/富田 恵(ブック) 取材・文/石井絵里
この記事は2018年9月7日発売LEE10月号『30代・40代の「心に効く」恋愛小説』の再掲載です。

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