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大泉洋さん『こんな夜更けにバナナかよ』で「これまでの人生のポリシーが大きく揺らぎました」

2018.12.27

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’18年は主演/準主演映画だけで3本を数える大泉洋さん。

年明けにも主演映画が控えるほか、声優業、テレビや連載、さらにTEAM NACSとしての活動も常に平行して行うなど、まさに八面六臂の活躍!

そんな大泉さんが映画『こんな夜更けにバナナかよ』で演じたのは、少年時代に難病の筋ジストロフィーを患った実在の人物・鹿野靖明さん。

動かせるのは首と手だけにもかかわらず、病院を飛び出し、自立生活を送ろうとした、驚くべき人物である。

これまでの人生のポリシーが大きく揺らぎました

大泉洋

おおいずみ・よう●1973年、北海道生まれ。北海道発の深夜番組『水曜どうでしょう』(’96年~)でブレイク。近年の出演映画に『探偵はBARにいる3』(’17年)、『恋は雨上がりのように』『焼肉ドラゴン』(ともに’18年)など。『そらのレストラン』が’19年1月公開予定。

「病状的にも病院にいるのが当たり前とされていた ’80〜 ’90年代当時、自分でボランティアを集め、ボランティアに護られながら一人で生きていくなんて、普通はできないですよね。本当に意志が強くて、スゴイ人だなぁと思いました」

しかもタイトルから察せられるように、鹿野さんが単なる“いい人でないとにかくおもしろい。

「まだまだ日本では障害のある人を、ある種の聖人イメージで見ている。そんな中、鹿野さんが“わがまま”だからこそ、この映画が成り立つわけで。でも実は“夜更けにバナナが食べたい”と言うことがわがままだなんていかに健常者の乱暴な論法なのか。だから“筋ジスなめんじゃねぇよ!”というセリフが、一番印象に残っています。言いたいことを言って闘っていた、鹿野さんらしい言葉だなぁ、と」

当然ながら首と手以外を動かすわけにいかない状態は、肉体的にも苛酷な撮影だと思いきや——。

「太れない役なので毎日走っていました。でも撮影は北海道だし、共演者をおいしい店に連れていきたくて少し食べた後にすぐ走ったり、健康的なのか不健康なのかわからなかった(笑)」

高畑充希さん演じる新人スタッフが、最初は鹿野さんのずうずうしい要求に憤りながら、次第に家族のようにケンカしながら心を通じ合わせていく姿にも共感必至!

「辞めるボランティアもたくさんいたはず。でも大勢が魅かれたのは、やはり鹿野さんの必死で生きようとした姿勢じゃないかな」

そんな“愛され人”を演じ、クランクアップを迎えたときは、“鹿野さんロス”に陥ったそう。

「よく、現場から離れることへの寂しさは感じますが、役から離れる寂しさを感じるのは本当に珍しい。鹿野さんを演じていた時間が、すごく愛おしかったんですよね」

それだけでなく、この役は大きな意識改革をもたらしたという。

「これまで“人に迷惑をかけないで生きる”ことが、唯一のポリシーでしたが、それが大きく揺らいだ。果たしてそれがそんなに大事なことなのか、と。自分一人ではできないことなら人に助けてもらえばいいのではと。人に頼ることを恐れすぎてはいけないとも思うようになりました。何より僕の娘には、人を助けてあげられる人になってほしいと思うようになりましたね」

真剣な面持ちが、娘の話になると、途端に相好が崩れる。その親バカぶりは、奥様にも呆れられていると苦笑する。

「先日も卒園式の際、娘の年少さんの頃の写真を見ていたら、寂しくて泣けて泣けて。何が悲しいのかと聞かれて、“もう、このときの娘には二度と会えないんだぞ!”と訴えたら、嫁さんに爆笑されました。この瞬間の可愛い娘に、明日には会えないのかと思って毎日毎日、寂しくて泣けてきます(笑)」

『こんな夜更けに バナナかよ 愛しき実話』

©2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

©2018「こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話」製作委員会

北海道の医学生・田中(三浦春馬)は、体が不自由な鹿野(大泉洋)のボランティアをしている。ある日、多忙で会えない田中を疑った彼女の美咲(高畑充希)が現場に現れ、ボランティアに加わることになるが——。鹿野とボランティアスタッフらの笑いと涙の奮闘の日々を描いた人間ドラマ。監督は『ブタがいた教室』の前田哲。(12月28日より全国ロードショー)


撮影/宅間國博 ヘア&メイク/ タナベ コウタ 取材・文/堀江純子

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