自己犠牲と才能と。これから子どもたちに伝えていきたいこと|角田光代さん『明日、あたらしい歌をうたう』
-

066 あまなつ
2026.07.01
- 0

『明日、あたらしい歌をうたう』(水鈴社)を購入しました
『LEE』6月号で紹介されていて気になって手に取った作品です。
あらすじはLEEWeb版にも掲載されているので、こちらをご覧ください↓
主人公の新(あらた)のパートは自分の子ども時代を、母親のくすかのパートは自分の母親としての立場に重ねて読みました。
新のパートでは、自分が思春期に味わった、恥ずかしい、嬉しい、悔しい、やりきれない……といった、得体の知れない爆発しそうな感情が心だけでなく生々しく蘇りました。
「ああ、思春期ってこんなんだったなぁ~」と、すっかり忘れていた、あの感覚。
子育てをする上でこういう感覚を追体験するのはとても大切なことですが、角田さんの子ども目線の大胆さと繊細が宿る筆致に誘われて、読書中は新と同い年のあの頃の自分に戻ることができました。
新の視点では、くすかは少し不器用な母親として描かれていますが、くすかの視点から紡がれる物語を読むと印象が変わってきます。
新が思っているよりもずっと、くすかは芯があって強くて、子と距離をとっているようで寄り添っている。形は複雑だけど彼女のまっすぐな愛情を行動や台詞一つ一つに感じます。
最終章の彼女の2ページにも及ぶ真実の告白は、私も新と一緒になって泣きました。
自己犠牲と才能と

本作を読んで「自己犠牲」と「才能」について、改めて深く考えさせられました。
改めて、というよりは、母親としての立場で考えたのは恐らく初めてです。
私は、子どもたちには困っている人がいたら手を差し伸べる人になってほしいと願っています。
でも、そのせいで子どもが傷ついたり、不利益を被るようになることは絶対に違う。
本当に残念なことなのですが、世の中には誰かの親切や善意を利用する人が一定数います。
よかれと思った行動が、過度な自己犠牲になっていないか、搾取されていないか、どんな状況でも冷静に自分で自分に問いかけること。本作を読んでそれも子どもにきちんと伝えよう、と強く思いました。
また、新が「自分より才能や恵まれた環境にある人」に出会い、心がくじけそうになったときにくすかが新に言った台詞も心に残っています。
「自分より才能や恵まれた環境にある人」も人並みに葛藤や苦労がある思うので、SNSの全盛期の今、良いところや成功例だけが供給過多になっているからこそ、そういった人に出会えること自体に感謝にして、良くも悪くも人間らしい部分を側で見てほしいです。
200ページとは思えない濃密さ
本作は約200ページ。
最近読書から離れている方、時間がないけど短時間で1冊を読み終えたい方にも読みやすいボリュームとなっています。
ページ数としては少ない方かもしれませんが、それを全く感じさせない濃密さです!
音楽との出会いによって人生が変わったという経験を持つ方にもおすすめします。
帯には朝井リョウさんや北川悠仁さん(ゆず)をはじめ、作家、ミュージシャン、テレビプロデューサーの方々からの推薦文が寄せられていました。

拙い感想となりますが、どなたかの参考になれば嬉しいです。
No.066 あまなつ
066 - あまなつ
会社員 / 愛媛県 / LEE100人隊
36歳/夫・娘(2歳)・息子(0歳)/手づくり部・美容部/育児休暇取得中の会社員です。好きなことは、読書、観劇(お休み中)、国内の史跡めぐり。LEEで紹介される丁寧で上品な暮らしが、永遠の憧れ。現実は毎日くたくたになり、ひーひー言いながら生活をまわしています。家族の笑顔が何よりの活力です。LEE100人隊でのご縁を大切に、みなさまの暮らしに少しでもプラスになる情報をお届けできるよう、精一杯努めてまいります!身長158cm、骨格はストレート。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。
















