北海道のさらに田舎出身の私は、高校進学した際に同級生を見て「都会の子は違うなぁ」と思い、神奈川へ進学した時も「みんな洗練されてるなぁ」と緊張し、物おじしたものでした。
でもそう思ったのは最初だけで、同じ時間を過ごすと同志のように、感覚もなんら違いがないという事を体感して、私は現在あまり緊張しない性格になったのかもしれません。。。
山内マリコ 「あのこは貴族」
都会で育ったお嬢様と、漁師町で育った野心あるアラサーの2人。
ある男性をきっかけに混じり合います。
はっきりした境遇に、どうしてもバトルを想像させられるけれど、友情を育む爽やかさのあるお話でした。
題材はよくあるのに、描写が丁寧で表現方法が楽しいので、スルスル読めてしまいます。どこかに見覚えがあったり、腹が立ったりする程にはリアルで、あの時感じたモヤモヤが『厄介な郷土愛』とか『ナチュラルに薄情』という言い得て妙なフレーズでいちいち、巧い。
どちらかというと陽とされがちな都会だけど、そこが地元で不便なく、まさにレールを敷いてくれる人たちに囲まれる抑揚のない生活を誰が憧れるのだろう。
田舎から出てきたと卑下して、地元を恥ずかしく思う人が都会で心底楽しめるわけもない。
みんなそれほど違わないからこそ、カテゴライズするのって楽しいんだなぁ。
読んでる間、先日見終わったすごく面白かった海外ドラマの、ある夫婦の印象的なセリフを思い出しました。
「君は、壊れていないのに直そうとする。それに気付かない限り君と僕は違う人間なんだ」
共感と共に同情をも感じるような、青くさかった自分を思い出すような300ページ弱。
なんだか思い出にふけってしまった読後でした。
明日香
35歳/夫/料理部・美容部/北海道出身です。ランニング、美容、美術館巡り、ときどき旅行をしています。相変わらず苦手な料理と整理整頓を今年も目標にしています。Instagram:@kmr28ask
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明日香