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暮らし発見

世界最大級のカルデラを抱く「阿蘇くじゅう国立公園」で、美しく心に残る景色と体験を/わたしの国立公園物語

  • リヨン

2022.09.07

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#わたしの国立公園物語

LEE100人隊 TB リヨン
📌阿蘇くじゅう国立公園
神奈川県在住。夫と2人暮らし。


熊本県「阿蘇くじゅう国立公園」。

今もなお活動し続け噴煙上がる荒々しい火山、広大で穏やかな草原地帯、そこに息づく動植物、そして人々の暮らしと伝統——。

阿蘇には、ほかでは出会うことはきっとないと思わせてくれた風景が、そのときの感動とともに、私の中にあります。

「阿蘇くじゅう国立公園」の魅力を、実体験を踏まえてお伝えできればと思います。

「阿蘇くじゅう国立公園」とは

熊本県の東部と大分県にまたがる「阿蘇くじゅう国立公園」。

飛行機の中からでもその荒々しい景観を見せてくれるのは、阿蘇の火山群。

この地が、太古の昔から大地の活動を続け、現在私たちが出会うことのできる景色を生み出してきたことに

悠久のロマンを感じ、自然の営みに興味がある私は、おのずと胸が高まります。

阿蘇の火山活動は、およそ27万年前から始まったのだとか。

噴火、爆発、そして沈んだり、また噴火して隆起…を繰り返し、豊富な雨水がそこにたまって、豊かな土地を作り出したのです。

訪れたのは春、4月の終わり。

「阿蘇くじゅう国立公園」へは、熊本空港から車で1時間弱で到着します。

目の前に広がる火山群は圧巻。

日本は森林が豊富な大地で、言わずと知れた火山国ですが、目の前にこれほどの火山群が現れるのは、この地ならでは。

私の暮らす関東周辺では、春は緑におおわれた山が多いのですが、

阿蘇の山々は緑と大地の色が織りなすコントラストが濃く、その山肌の立体感がこの地の長い歴史を想像させてくれます。

今回は「阿蘇くじゅう国立公園」の南部に位置する、阿蘇山周辺を中心に訪れました。

阿蘇山周辺の荒々しい火山群と、広大で穏やかな草原【草千里ヶ浜】の対比が美しい

中でも今まで見たことのないほど印象的だった風景が【草千里ヶ浜】でした。

すぐ近くには、今も噴煙が上がる中岳があり、ちょうど少し前に爆発があって火口を望む場所は立ち入り禁止になっていた頃。

その大地の力強さと相反するような、穏やかでゆったりとした景観が広がる草千里ヶ浜。

窪地にたまった雨水が池となり、空を映していました。

ここは自由に歩くこともできるエリアで、池を覗いてみたり、はたまた丘を登ってみたり。

中央で、2人の人が歩いているのが見えますか?

こういうサイズ感なんです!

どこまでも広がる草原、日本ではなかなか出会えないですし、とにかく心地いいのです。

草千里ヶ浜で、ゆったり乗馬体験

ここではショートコースの乗馬体験を楽しむこともできます。

馬たちがとってもお利口にスタンバイしてくれていて、お願いすると係の方が馬を選んでくれます。

驚いたのが、引き馬なのですが馬たちはきちんとコースを理解しているだけでなく、乗り手の操作なしでちゃんと歩いてくれたこと!

ショートコースはあっという間に終わってしまうくらいのものではありましたが、馬の背に揺られながら美しい阿蘇の景色を望む時間は格別でした。

馬のぬくもりと優しい歩調に特に癒され、この旅で一番の忘れえぬ体験となりました。

ちなみにこの乗馬体験をさせてくれる馬たち、聞けばすべてメス馬。穏やかな女の子ばかりでした。

この馬たち、お仕事が終わると放牧されるので、係の人たちもオフタイムに馬たちがどこで何しているか知らないんですって。

そして、朝になるとごはんもあって、この場所に戻ってくるそう。お仕事が終わったら、みんなで「今日は疲れたね」とか「ゆっくりしよう」「あそこの草がおいしかったから行ってみない?」なんて話したりしているのかな、と想像しながら、

背に乗せてくれたサクラちゃんにお礼を言って、お別れしてきました。

さらに翌日には別の牧場でも、1時間コースの乗馬を体験。

風にそよぐ草や植物の芽吹きに春の陽射しを感じたり。

馬がむしゃむしゃとその草を食べるのもまた可愛くて。

阿蘇くじゅう国立公園内には、自然と触れ合えるアクティビティがほかにもたくさんあるようですよ。

「阿蘇火山博物館」と「南阿蘇ビジターセンター」で阿蘇の成り立ちを学ぼう

私は旅をすると必ず、ビジターセンターや郷土博物館などに立ち寄り、その土地の成り立ち・風土・歴史を学びます。

どのようなことが起きてこの土地ができ、住まう人たちはどういうふうに生きてきたのか、そういうことを知るのがとても好きです。

 

「阿蘇火山博物館」は草千里ヶ浜のそばにあり、ここでは阿蘇の誕生について知ることができます。

なんと、あの円谷プロダクションが作ったというジオラマが見られますよ。

これ、すっごくわかりやすいので、ぜひ訪れて見てください。

「南阿蘇ビジターセンター」では、主に阿蘇の植物などを中心に知ることができます。

ビジターセンターは野草園を併設していて、そこも散策することが可能。阿蘇エリアに生息する野草を中心に愛でることができます。

ビジターセンター内に、とっても素敵な大きなリースが飾られていました。

なんでも、この園に息づいた植物で製作したそうで、ミニサイズではありますが、なんと500円で製作できるというのです!

というわけで、ルンルンで作業開始。

日頃から私は自然歩きをしているので、季節を終えたこれらの植物が何という種類であるかけっこう知っていて、立派なウバユリをポイントにせっせと作りまして、大事に大事に持ち帰りました。

ビジターセンターでは自然観察会やその他イベントも盛んなようなので、お時間を作って参加されるのも、とってもいいと思います。

この土地の成り立ちや魅力を、専門的にそして実際に見て触れられることで、より一層その旅が深いものになるでしょう。

春にはミヤマキリシマが咲き乱れます。

ミヤマキリシマは九州で見られるツツジの一種ですが、花はやや小さく可憐で、火山活動が終わった山々に群生しているのだとか。

荒々しい山々に春だけ現れるピンク色の景色。

平地では植物の生存競争も激しく、こういった土地でないとこの花は生きていけない、ということもビジターセンターで学べました。

阿蘇は水が豊富、温泉も豊富。火山の恩恵があふれる

火の国 熊本というだけあって、熊本県は日本屈指の温泉大国ですよね。

これだけの火山群があるのですから納得です。

そして豊富な雨水が、いく年もかけて大地に濾過され磨かれ清らかな湧水となっている。

今回の旅では、お宿にある温泉のみを利用しましたが、国立公園内にもあちらこちらに温泉がありましたよ。

宿泊したのは【宿坊あそ】という古民家宿。

なんと猫ちゃんがお出迎えしてくれます! 本当です!

こちらのお宿は、温かなしつらえがとっても美しくて、そしてごはんも美味しい!

自家製のお漬物もたくさん、名産のあかうし や馬刺しもいただきました。

温泉もとっても良くて、旅の疲れを癒してくれます。

この時、敷地内になんと、「焼酎どうぞ」を見つけまして。

夫はちゃんといただいておりました。美しいしつらえとお宿の方の優しさに触れられる、素敵な宿でした。

グルメ!馬肉やあかうし がとびきりおいしいのは、永きにわたる人々の伝統と努力があるから

阿蘇くじゅう国立公園エリアのグルメについても少し。

「あかうし 」という牛がいます。

和牛って柔らかい肉質と脂身のイメージですが、このあかうし はちょっと違います。

いえ、だいぶ違います。

ぎゅっと引き締まった肉質にうま味がたっぷりで、なのにあっさりとしているので、

「脂身はちょっと苦手かな〜」なんていうお年頃の方にも召し上がっていただきたいくらいおいしかったのです。

こちらは広大な草原に放牧された牛たち。

好きなように歩き、急勾配もあったり、そして雨で潤った柔らかい草を食べているわけです。

なぜあんなにおいしいのか、この土地を見ればわかってきます。

そして馬肉。

乗馬体験しているので複雑な気持ちになりますが、馬肉もとってもおいしい。

馬も牛と同様、大草原に放牧されています。

 

こういった光景が、そこかしこに。

牛や馬をこうして放牧できるのも、長い年月にわたって人々が草原を保ってきたからだそう。

阿蘇では草原が樹林に変わらないように、一説では千年以上も前から【野焼き】を行なっているそうです。

それは3月に行われ、とても危険が伴う作業であるにもかかわらず、野原に火を放ち焼きます。

そうしたことと採草で、草原が樹林になることを防ぎ、馬や牛をこの土地らしく育て、さらには根づく植物たちも守ってきたそう。

絶滅が危惧されるヒゴタイなども、この地だからこそ今も育っているのだとか。

自然を理解し、自然を守りながら共存する人々の暮らしまで垣間見られた気がしました。

魅力あふれる「阿蘇くじゅう国立公園」にぜひ行ってみて

「阿蘇くじゅう国立公園」は、とっても不思議なところ。

なぜって、カルデラの内部に町があるのですから。

1000メートル級の山々がそびえ、広大な草原が広がり、豊富で清らかな水が湧き、火山の恩恵たっぷりの温泉もある。

豊かさの定義は人それぞれではありますが、私は訪れてみて、「ここは間違いなく豊かである」と感じずにはいられませんでした。

想像を巡らせるには遠すぎる遥か昔の出来事ですが、

とてつもなく永い年月と多くの事象の積み重ねで、今こうして目の当たりにすることのできる豊かな自然風景が作り出されたのです。

だからこその国立公園なのだなぁ、としみじみ思ったり。

今回は春に訪れたので、叶うならば、草原が黄金色に変わる秋や、白い冬景色の際にもあらためて訪れて、その美しさをもっと知りたい。

そんなふうに切に思わせてくれる「阿蘇くじゅう国立公園」に魅了されてしまいました。

 

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リヨン

43歳 /夫/料理部/海と山のある町で温かな陽射しと穏やかな人たちに囲まれて日々ゆるやかに過ごしています。12年間共に幸せいっぱいで過ごした愛犬を想いながら大好きな四季折々の自然の風景を臨む時間と、その情景を切り取りアクセサリーに象ることが至福のときです。一瞬一瞬を大切にしながら出会うことに感謝の気持ちでLEE100人隊活動を楽しんでいきます。Instagram:@8anr_

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