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『面倒だから、しよう』を読んで

  • TB はな

2021.02.21

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『面倒だから、しよう』

図書館で借りて来た本のレビューです。
渡辺和子著『面倒だから、しよう』(幻冬舎/2013年12月発行)

とにかく人に影響されやすく、軸がブレやすく、面倒なことを避けて易きに流れがちな私は学ぶことの多い1冊でした。(「自分が“面倒”と感じること」と言えば…、たとえば平日毎日水筒3人分洗うのが面倒、テレワークの夫のランチ作るの面倒、「幼稚園行かなきゃダメ?」と言う娘を宥めて園バスに乗せるの面倒、毎朝絶対自分で起きない男児2人を着替えさせて小学校に行く支度をさせるのが面倒、食器洗ったり洗濯物干すの面倒、コロナ対策しながらスーパーに買い出し行くの面倒…ですが。みんなが当たり前にやっていることを面倒くさがる→だけどちゃんとやろう、とかそういう低次元の話ではありませんでした…笑。)

タイトルの「面倒だから、しよう」とは、自由裁量で生きる上で、たとえば目の前にいくつかの選択肢があって、その中でも「自分がより良く(佳く?)生きる」選択肢があれば、それが一番面倒なことでも良心に従ってそれを選択しよう、ということかな?と受け取りました。ゴミが落ちていたら拾う、困っている人・弱い人が居たら助ける、など。

自分が面倒に感じることって、時には自分にとっての高い壁だったりするんですよね。そこにあえて突っ込んで行くことで多様な価値観に出会えて、たとえ頭を打つことがあっても凝り固まった自分の思想の良い転換点になったり、色々な体験を通して新たな自分を発見出来たり…。人間が成長してより良く生きるための秘訣が「面倒だから、しよう」という一言に凝縮されています。

『置かれた場所で咲きなさい』の感想クリップ(→300万部越えのベストセラー!『置かれた場所で咲きなさい』を読んで)とも重複しますが…、著者は2016年12月に他界されています。著者のお父様は、かの有名なクーデター未遂事件、二・二六事件にて青年将校らによって殺害された、当時教育総監であり陸軍大将だった渡辺錠太郎氏なのです。事件当時9歳だった著者は、お父様と寝室で寝ており、事件当時の朝、陸軍将校らが家に入って来た折、お父様が咄嗟に座卓の影に隠してくれたのですが、著者はその座卓の影から眼前1メートルの距離でお父様が軽機関銃で惨殺されるのを目撃することに…。

ここまでは『置かれた場所で~』にも書いてありましたが、ある日テレビ局の計らいで二・二六事件に関わった青年将校の一人と顔を付き合わすことになり、口や頭では許しているつもりが、スタッフさんから出されたモーニングコーヒーをどうしても1滴も飲むことが出来ず…というくだりがあり。けれど著者はそんな体験さえも「神の恵み」だと言います。聖書では「汝の敵を愛せよ」とあるけれど、敵を愛することの難しさを身を以て実感され、愛せずともせめて相手の不幸を願わないようにしたいと説かれます。9歳で「親の仇」を持った著者だからこそ実感のこもった説得力のある金言がたくさん詰まっています。

『置かれた場所で咲きなさい』からの、置かれた場所で咲くための実践の書。

渡辺和子さん著の大ベストセラーの『置かれた場所で咲きなさい』の、実践編とも言うべき書。どれも重要な名言ばかりですが…。特に響いたキーワードは「許す」「自己受容」「謙虚さと柔軟性」「笑顔・ご機嫌・感謝」です。

「許す」…私は人(身内・他人問わず)から施された酷い仕打ちを何故か昨日のことのように鮮明に記憶し続けてしまう癖があり…(その相手は何もなかったように美味しいパフェ食べたりetc.優雅に過ごしているというのに笑)、著者の「許さない間は相手の支配下」という言葉にハッとしました。元来、相手の不幸を願うようなことはしませんが、相手が何かアンラッキーなことがあったと見聞きした時などは「まさに因果応報…、自分の行いが自分に返っているんだなぁ、くわばらくわばら…」くらいに思っていたのですが…、これってとても冷たい心持ちだなと…。もっと温かい心で居なければ、いい加減想いを断ち切って自分のためにも相手を許さなければ、と背筋を正す想いです。

「自己受容」「謙虚さと柔軟性」…また、私はすぐに自己嫌悪に陥る悪い癖もあり。だけど、どれだけ愛想を尽かせたくなる自分でもけっして自分を見捨てない、「自己受容」の大切さをあらゆる箇所で何度か触れられています。つまづいた時に「自分なんかダメだ!」と卑下するのではなく、挫けず柔和で謙遜になること、ありのままの自分を受け入れることで結局あらゆる試練を少し背負い易くなり、しなやかな強さに繋がって行くのだと解釈しました。

「笑顔・ご機嫌・感謝」…マザーテレサが来日した時には通訳を務められたそうです。マザーテレサは思いのほか厳しい表情をされていたというくだりはとても意外でした。マザーテレサの画像検索をしても出て来るのは笑顔の写真ばかりですよね。でもこれにも裏話があって、マザーテレサは写真を撮られるのはむしろ不愉快に感じていて、だけどカメラを向けられたら必ず笑顔で撮られることにして、自分の笑顔を撮られる毎に、神様に近い貧しい人が一人救われますようにという想いで居たそうです。厳しい表情は、「死を待つ人の家(Home for Dying)」などで貧しく世の中から見捨てられた沢山の人達を看取って来た、憂いと優しさが共存したそれなのだと。ふと自分を省みると、家庭内で笑顔で居ることが少ないかも…と。特に子どもが約束を守らないなんてことがあると怒りMAXに…。書中では“不機嫌という名のダイオキシンを撒き散らさないこと”とあり、ドキッとしました。世界平和を願う前にまず家庭内平和の実践だなぁと…(;´Д`) イライラが止まらない時に笑顔で居るのは本当に面倒だけど、そこはあえて(引きつってでも)笑うべきですね…。「の」の字の寄り添う哲学も響きました。

この本を読んで、改めて、何事も面倒がらず億劫がらず、「今」を大切に確実に生きて良い歳の重ね方をしたいと思いました。自分の暮らし・生活態度を改めて見直そうと思います。平易な、かつ人間味溢れた著者の言葉の数々に、読了後はじんわり心が温かくなるような、そんな1冊です。

⋆⸜ᵀᴴᴬᴺᴷ ᵞᴼᵁ⸝⋆ LEE100人隊はな

TB - はな

主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー

40歳/夫・息子(12歳・10歳)・娘(7歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロなど。インテリア・ファッションなどLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。

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