あんずゆき著、佐藤真紀子イラスト『夏に降る雪』(フレーベル館/2019年7月発行)を読みました。(図書館本ではなく、この本は購入しました!)
先の太平洋戦争と世界平和について親子で考えた、短い夏休み
今年の3月~5月、コロナ禍による臨時休校の影響で、今年は期間にして2週間だった短い夏休み。毎年この時期はお盆と終戦記念日が重なります。戦争に関する番組も増えますね。映画『この世界の片隅に』が先日8月9日(日)に再放送されたので、家族5人で観ました。全員初見。特に予備知識なく観賞です。
すずさんとその周りのほんわかした日常の描写がリアルで。こんなに平和そうなのに物語の舞台が呉と広島というだけで悲しい結末に向かっているのが最初から解っていて物語が進むのが怖いような、ドキドキしながら観ました。とにかくすずさんが魅力的で…「ボーッとしとるもんで」と小姑さんからの嫌みもヒラリヒラリと天然で躱(かわ)します(笑)。笑いあり涙あり、トキメキあり、絶望、虚無感…最後はフワッと爽やかな希望が持てるような…それもすずさんのキャラクターの不思議な魅力のなせる業なのでしょう。子ども達も、75年前の日本はこんなふうだったのだと、漠然と理解したんじゃないかと思います。(ただ、「昔はこんなに食べるものがなかったんだから、あなた達も食べ物好き嫌いしたらバチが当たるよ!」と言っても…あまり響いていない感じでした(;´Д`))観賞後は、森永のミルクキャラメルとウェハース付きのアイスクリームが無性に食べたくなりました(笑)。
劇場版アニメを観た後、すずさんの余韻がずっと残っていて、私一人だけでドラマも全話(Amazon Primeで)観てしまいました。(松坂桃李さん演じる周作さんが素敵過ぎた…)
(多少ネタバレあり)『夏に降る雪』を読んで
戦争つながりの前置きが長くなってすみません…。
これは戦争を知らない現代っ子のお話です。タイムスリップするとかそういうファンタジーものではありません。
主人公の大河君は、小学6年生。お父さんの会社が倒産して、お母さんの実家のある、長崎の佐世保へ引っ越して来ました。慣れない土地と方言、新しい学校…元来人見知りの大河君は新しい環境に馴染めず、お父さんの再就職活動もパッとしなくて、お母さんは働き出してあまり大河に構っていられず…大河君は内心いろいろなことに不満タラタラ。しかしひょんなことからお母さんが勝手に申し込んだ市民劇のオーディションを受けることになり、あれよあれよという間に市民劇に参加する…。というお話です。
お恥ずかしながら「無窮洞」という言葉をこの本で初めて知ったのですが、無窮洞とは、学校の子ども達が2年かけて掘った、大きな大きな防空壕です(生徒が最大500~600人収容出来るようです)。戦時下の子ども達が、必死で生きようとした証の戦争遺跡。主人公の大河君がまさに現代っ子の代表のようなキャラクターで、あまりやる気もなく、なにかと周りのせいにしたり、すぐに「無理」と言ってしまうような子。心の中の不満の内容も、子どもなりに理屈が通っていてちょっぴり共感してしまう部分も…。どう展開して行くのか大河君に一抹の頼りなさを覚えつつも、無窮洞をテーマにした市民劇に取り組む中での、大河君の気持ちの変化に目を見張ります。小さい頃って自分中心にしか考えられないものですが、お父さんの表情から気持ちを読み取ろうとしたり、他人の立場で「もしかしたらこうなのかな」と想像力を働かせてみたり…大河君の成長過程を、なんだか親のような気持ちで読み進めてしまいました。最後にはタイトル『夏に降る雪』の意味や、お父さんのことがそこに繋がって行くのかー!と見事な伏線回収。(夫は読みながら泣いていました)
児童書ですが、大人が読んでも読み応えのある内容です◎
終戦から75年。戦争の記憶を持つ人達が高齢化でどんどんいなくなる中で、戦争の悲惨さを絶対に風化させてはいけない、次世代にずっとずっと、命や平和の尊さを語り継いで行かねばならないのだと改めて思います。「こんな残酷なことは二度とあってはならない!」と強く感じますが…どんなに日本人が平和を切に願っても、もし仮に他国から(国際法を無視して)一方的に攻められるようなことがあれば日本はどうしたら良いんでしょうね…。先の戦争の多くの犠牲者の方々があってこそ、今の平和があるということに感謝しながら、戦争が再び繰り返されないよう祈るばかりです。
TB - はな
主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー
41歳/夫・息子(13歳・10歳)・娘(8歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロなど。インテリア・ファッションなどLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。
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