2月末、コロナ禍による「全国一斉休校要請」が出る直前に、図書館で本を沢山借りまして。
その図書館は、6月いっぱいも閉館中…。2月末に借りた本たちが、まだ手元にあります。
その中で借りた本の1冊が、
日野原重明先生著『明日をつくる十歳のきみへ ――103歳のわたしから』(冨山房インターナショナル/2015年4月発行) です。
100歳を越えても現役の医師として活躍され、日本で最初に人間ドックを創設、生活習慣病の提唱者でもあり、終末期医療や緩和ケアの普及にも尽力され、地下鉄サリン事件の時には当時86歳で病院の指揮を執られ犠牲者を最小限に抑えられたことでも知られています。2017年に105歳で他界されています。
これまで100冊以上にもなる多くの著作を残されていますが、その中でもこの本は「ずっと精力を使って書き下ろした書物です」「自分の書いた最高の本」と書かれるほどの、まさに渾身の1冊!!
10歳の子どもでも解るような平易な言葉で綴られていながら、大人の私が読んでも十分な読み応え!
一文一文、噛みしめるように読んでいたら、読了まですごく時間がかかってしまいました…。来年10歳になる長男は、心臓の音と聴診器のくだりで「これ公文でやったことある!」と言っていました。
天国にいらっしゃる日野原先生は今、新型コロナでガラリと変貌した世界の現状を、どうご覧になっているんだろう…と、ふと想いを馳せます。
見習いたい!軽やかでしなやかで明るい日野原先生の生き方
日野原先生の生涯を拝見していると、本当に波瀾万丈で。10歳の時に急性腎炎になって学校を3ヶ月お休みしたり、結核の特効薬のない時代に結核に罹って大学を1年休学したり、かの有名な、よど号ハイジャック事件に巻き込まれて4日間拘束されたり…。「ひえ~~」と思いながら読み進めるにつけ、人間万事塞翁が馬だなぁ…と改めて思います。人生、何が幸いするか解らないし、良いように見えて悪いこともある。
だから、自分の目の前で起こる、ついつい溜め息をつきたくなるようなことも、(コロナも…)いちいち悲観している場合じゃないな!と肩の力が抜けました(^^)
マルティン・ブーバー(オーストリア生まれのユダヤ人の哲学者だそうです)の名言「人は創(はじ)めることさえ忘れなければいつまでも若くある」を引用されていましたが、100歳過ぎてから水彩画や俳句、書道を始められていて、とてもパワフル!年齢を理由に何かを始めることを躊躇う人が多いそうですが、何歳から始めても日野原先生から見たらみんな若い!挑戦は、何歳からでも遅くはないんだよ、という力強いメッセージ。いくつになっても、100歳を過ぎても、夢を持ち続けることが大切だと、日野原先生は説きます。なかなか、日々の生活でいっぱいいっぱいだと、夢を抱く心の余裕もなくしてしまいそうですが…100歳を過ぎてから水彩画などを始められた日野原先生を見習って、何か始めてみたいと思えました!ちなみに私の母は、今60歳ですが、オンライン授業で資格取得を目指して頑張っています!母のバイタリティーも見習わねば…!
我が子達にも伝えたいこと
日野原先生が76歳から始められた、「いのちの大切さ」を子ども達に説く、「いのちの授業」。自分が10歳の時に講演を聴いてみたかったな、と思います。
いじめや戦争のない世の中にするには、どうすれば良いのか。
やられたらやり返す、という方法では永久に争いが終わらないから、「ゆるし」の心を持って、悔しくてもやり返さない、自分のところで戦いを終わらせる…という部分がとても胸に響きました。ちなみに9歳の長男は、学校では「やられたらやられっ放し」「言われたら言われっ放し」で、いつも泣かされるほうで、親としては心配なのですが(^_^;) この一節を読んで、「やられたらやり返す」という子に育たなくて良かったなと今は思います。「ゆるし」を持つと言うより長男の場合は単に臆病なだけかもですけど( ̄∇ ̄;)(振り返れば私も、小さい頃からいつもやられっ放しかも…笑。負けるが勝ち!) ちなみに兄弟喧嘩は、両者とも手を出しまくり、「ゆるし」の心なんて皆無!(;´Д`) まだまだ、なだめたり仲裁する親の出番が必須です(;´Д`) とにかく学校では、「やられてもやり返さない」姿勢をこれからも貫いてもらいたいところです。
それにしても、「いのちの授業」を受けた子ども達から日野原先生の元に寄せられた感想や決意表明が、どれも10歳の子どもが書いたものとは思えないほど立派で感心してしまいました!命とは、自分の使える時間。その時間を、自分のために使うか、人のために使うかを閻魔様が見ていて、死んだ時にそれぞれの時間の長さを天秤にかけられ、ジャッジされることになる。自分のためばかりに時間を使った人は地獄行き、人のために沢山時間を使った人は天国へ…この部分を、10歳なりに、みんな真剣に的確に捉えていてひたすら眩しい。
科学の良い面悪い面のくだりでは、原子爆弾など科学発達の残念な例を挙げ、戦争など人を殺すことに科学の力を使って欲しくないと訴えかけています。
地球環境問題や自然災害、戦争、疾病、貧困に飢餓、異常気象、感染症など…人類の課題は尽きないですが…
世界中でみんなが共通の課題に取り組めば世界が一つにまとまって戦争がなくなるという考え方がとても新鮮でした。
一人ひとりが欲望を抑えることが結局世界平和に繋がるとも書かれています。
これまで我が子には欲しがるだけ与えて来てしまったけれど(お菓子とか…)、我慢させることも少し必要なのかなと考えが変わりました。ドイツの心理学者のエーリッヒ・フロムの“「持つ人生」より「なる人生」を”…という言葉が紹介されていて、結局物欲には際限がないから「何になりたいか、という人生目標を立ててみる」と一節を読んで、我が身を振り返ったり…(^_^;)そんなこんなで、「お洋服を買わない100日チャレンジ」を3月にスタートして、先日無事に終えました。でもやっぱり日野原先生みたいに物欲を完全になくすのは難しい!むしろ物欲は私の元気のバロメーターだったりするので…上手く物欲をコントロールしつつ物欲と向き合って行きたいと思います(^_^;)
たくさんの人生訓が盛り込まれた、日野原先生の渾身の1冊のレビューでした。
TB - はな
主婦 / 神奈川県 / LEE100人隊トップブロガー
41歳/夫・息子(13歳・10歳)・娘(8歳)/手づくり部・料理部・美容部/大雑把な山羊座のO型。好きなものは器、アメリカンヴィンテージ、宝塚歌劇、マンガ、ミナペルホネン、オールドマンズテーラー、GU、ユニクロなど。インテリア・ファッションなどLEEで勉強中。両実家とも遠方で3人の子育てに日々奮闘。ドタバタと過ぎて行く日々の中でも「今」を大切に、小さな幸せを拾い集めながら成長して行きたいです。
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。