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上紙夏花

子どもの携帯・スマホ・ゲームの制限って?/ネット時代の子育て【後編】

  • 上紙夏花

2017.04.21

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前回、子供がスマホを安全に使うためのルールについての話に引き続きまして、情報セキュリティや安心・安全なネット利用についての講演を行う、吉岡良平先生にネット時代の子育てについて伺います。

 

 

先日行われた、吉岡先生の『ネット時代の子育てとスマホ』という講座には、幼稚園年少さんから高校生まで、幅広い年齢の子どもをもつママたちが多数参加していました。まだ携帯やスマホを持たせていないママたちが大半。でも、今後持たせるにあたって、どんなことに気をつけて選べばいいのかみなさん真剣に質問していました。

フィルタリングって、どうしたらいいの?

 

 

Q、携帯やスマホのフィルタリングってどうやってかけるんですか?選ぶ携帯によって設定の方法は違うのでしょうか?

 

 

A、携帯(ガラケー)とスマホのAndroidについては各キャリアの店頭で『あんしんフィルター』というフィルタリングをかけてもらいます。Androidはブラウザのフィルタリングに加えてアプリの制限ができます。iOS(iPhone/iPad)については、ブラウザのみのフィルタリングで設定は自身で行います。

アプリはiOSの『設定』-『一般』-『機能制限』を使って新しいアプリのインストールを制限したり、年齢にあわせてコンテンツの閲覧を制限したりできます。その際の設定のパスコードは、iPhoneを起動するときのパスコードとは違ったものを設定して、子どもが勝手に設定を変更しなようにパスコードは知らせないようにしましょう。

 

 

「2009年から『青少年インターネット環境整備法』という法律ができて、18歳未満の青少年が利用する携帯電話については、保護者が不要の申出をしない限り、フィルタリングの利用が条件と付けられています。利用者が18歳未満であることを告知する義務があるわけですね。

 

そもそも、フィルタリングというものは当初、子ども向けではなく大人のためのもので、職場で仕事に関係ない情報を見られなくしたり、ウィルスの感染を防いだりするための対策だったのです。でも、子どもが携帯電話でインターネットを利用するようになったことで、フィルタリングの利用目的も変化しました。リアルの世界ならば当たり前ですが、大人が遊ぶ繁華街のような場所と子どもたちが遊ぶ場所が違うのが当然。でも、インターネットの世界では同じ空間になってしまうので、そこをある程度分ける必要があるんですね。

 

 

でもこれは、いくらフィルタをかけても、網目から漏れてしまう(フィルタリングのリストが常に完全ではないので)ことはよくあることなので、見守りと話しあいをしながら利用することが大切です。AndroidとiOSの違いでいうと、Androidには利用時間を制限するようなアプリもあります。それでも、アプリだけに頼らずに親の見守りや指導をしっかりとすることをおすすめします。

 

 

ちなみに携帯ゲーム機、例えばDSでもインターネットにつながりますが、新しい3DSはもともとフィルタリングがかかっている状態で販売されています。これを外すためには、クレジットカードで30円払う必要があり、クレジットカードを利用することで18歳以上であることの証明としているようです。古いDSにはフィルタがかかっていませんので既にお持ちのDSや中古のものなどは、自分で設定を行いましょう」

 

 

 

 

Q、以前、携帯ゲームの課金で200万円の請求が立っているとキャリアから連絡が来ました。そのときはキャリアへ2万円だけ支払うということで落ち着いたのですが、それってどうなんでしょうか?

 

 

A、未成年者(20歳未満)の人は親権者の同意ない契約をした場合は、すべて無効であるという法律がありますので、いってみれば2万円は解約の手数料だったのではないかと思います。

 

 

「ゲームの課金に限らず、大きな買い物をしたとかお金を借りた……ということなども親の同意がなければ無効です。いまは携帯電話会社からゲーム会社に、端末の識別番号に紐づいた年齢情報を渡すなどにより、その年齢情報に基づいて子どもが利用してる携帯からは高額な課金はできず、上限金額の設定がされているゲームが多いと思います。ただし、格安スマホなどではまだ年齢情報の提供などはしていませんので、自分で設定した年齢情報を使っていると予想されます。

 

でも、200万円とはなかなか度胸のあるお子さんですよ(笑)。そんな金額になる前にドキドキして親に話す子が多いでしょうから。このケースだと、携帯電話会社に間に入ってもらって解決をしているので、事務手数料としての2万円は勉強代と考えてはいかがでしょうか?前回もお話ししましたが、やはり『困った時に親に相談する』という習慣をもっておくべきですね」

 

 

 

 

こちらは筆者の長男小学2年生が学校でもらってきた教材。東京都教育委員会とLINE株式会社の『SNS東京ルール』という共同研究プロジェクトの成果物だそう。ネットやスマホ、携帯との上手な付き合い方を自ら考えることが目的。電子教材の導入に向けてこのような教育も進むでしょう。

 

 いよいよ始まる!?電子教材学習のゆくえは?

 

 

Q、次期学習指導要綱の改訂で、公立の小学校・中学校で電子教材の導入が決まっているようですが、どの教科で、どんなタイミングで始まるのでしょうか?

 

 

A、近隣で早いのは渋谷区で、今年の9月から全児童と教職員に書く1台のタブレット端末を貸与するといっています。でも一斉に全部の教科で使っていくというのはないと思います。

 

「親御さんも新しいことに戸惑うでしょうが、現場の先生たちも戸惑っていると思います。ITやICTを活用した教育はいままでなかったわけですから。まずは先生たち自身が授業への活用について考えて、実践していく時間も必要でしょうから、急に電子教材ばかりでの学習になるとは考えにくいですね。おそらくじわじわと電子教材の活用頻度が上がっていくことでしょう。(補足ですが、3月31日に公示された平成31年から小学校で実施される新学習指導要領では、プログラミング教育がスタートすることになりました)

 

 

この講座に参加したママから『絵本の読み上げ動画を見せると、自分が読んであげるのと同じストーリーなのになんだかモヤモヤする。内容が入ってこないんじゃないかと感じる』という話がありました。これまでの教育で育った世代と、今後IT・ICTを活用した教育を受ける世代とでは、そういう感覚も変わってくるのかもしれませんね。いまの大学生は板書せずに、写メで済ませるという人も多いようです。育ち方、学び方が変わってくるでしょう。

 

小学校で電子教材がたくさん活用されたとしても、『学校の先生はなくなる職業』なんてことはないように思います。学校の先生は、勉強を教えるばかりでなく、学級運営、児童・生徒指導、クラブ活動、進路指導、保護者対応などの比重が大きいですよね。社会に出るための訓練はやっぱり人が関わって指導しないと成り立ちません」

 

電子教材の導入に向けて、少しずつ子どもとインターネットの関係が変化してきています。私たち親世代もインターネットの安全にかかわっていくために、必要な情報を集めて子どもの安全のために最善の選択をしていきたいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

吉岡 良平先生プロフィール

一般財団法人草の根サイバーセキュリティ運動全国連絡会 常務理事・事務局長 安全なネット利用環境整備を行なうモバイルコンテンツ審査・運用監視機構の事務局長を経て、現職に。全国で情報モラル、情報セキュリティ等、安心・安全なネット利用について啓発・地域支援活動を行なっている。

 

 

 

 

 

上紙夏花 Natsuka Uegami

ライター/ビューティープランナー

1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳

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