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上紙夏花

子どもがスマホを安全に使うために必要なこと/ネット時代の子育て【前編】

  • 上紙夏花

2017.04.14

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子どもがPCとスマホを使うためには親も勉強が必要!?

 

先日、『ネット時代の子育てとスマホ』という講座を受講してきました。

講師の吉岡良平先生は、情報セキュリティの専門家で青少年の情報モラルや情報セキュリティなど、安心で安全なインターネット利用について全国各地で講演を行っています。

 

筆者の長男は小学校2年生。自分の携帯はまだもっていませんが、YouTubeが好きで私のiPhoneを使って、音声入力で検索してゲームの実況中継をよく見ています。YouTuberが子どもの憧れの職業にランクインする時代になって、親としてはどんな風にインターネットやスマホを使わせていけばいいのか、正直戸惑っています。

次男は間もなく2歳。長男のときとまた少し変わって、生まれたときからもうスマホが身近にある世代です。『赤ちゃんが泣き止む動画』を見つけたりして、電車の中でどうしても静かにしてほしいときやなんかに見せていたので、0歳のうちからスマホに触れていました。

でも、「スマホ子育ては有害!」という新聞記事を見て以来、罪悪感を感じながらも、まったく見せないというのは難しく……。そんなモヤモヤを抱えていたので、これはちょっと親として学ばねばと受講したのです。

 

 

参加者は幼稚園年少さんから高校生まで、幅広い年齢の子どもをもつママたちです。幼稚園児でもiPadを自由に使いこなしているという子どもや、小学校5、6年生でPHSやガラケーを使い始めたという声があったり、中学2年生の息子さんがYouTubeに動画をアップしていたという人も。みなさんからの質問に吉岡先生が答えてくれました。

 

 

PCやスマホを子どもに見せるときのルールは?

 

Q、動画を見始めたら、やめさせるタイミングが見つかりません。どうしたらいいですか?夜は何時までOKでしょうか?

 

A、子ども自身の性格や家族のライフスタイルもまちまちなので、『何時まで』というよりも、『何分間、見るのか』を決めた方がいいと思います。ちなみに睡眠の妨げになるといわれる『ブルーライト』ですが、どのくらいあたるとどの程度、身体に影響があるかなどは、まだ明確にはなっていません

 

 

「子どもたちって、結構忙しい!小学生からはとくに、寝るまでにやらなきゃいけないことがたくさんあります。そんな中で、ネットでゲームや動画を楽しむ時間を捻出するということは、将来仕事をする上で時間のやりくりの練習になります。そう考えるとママたちもポジティブに捉えられますよね。

もっと小さいお子さんならどうでしょうか?みなさん『スマホ子守り=悪』というイメージはあるようですね。TVが家庭に普及したころは『TVばかり見ると頭が悪くなる』といわれたし、もっと昔、体を動かして働くのが主流の時代は『本を読むと頭が悪くなる』といわれていたのです。絵本を渡しただけで子守りになるわけではないですよね。同じように、インターネットを見せる場合も親と一緒に楽しむのが基本です」

 

 

 

 

「ところで、みなさんが子どものころは『TVを消してごはんを食べなさい!』とか怒られませんでしたか?そのころはTVだったメディアがYouTube(インターネット)に変化したということです。そこで、TVとインターネットの違いを再確認して、適切な内容と時間を見極めることが重要です。TVよりもインターネットの方が、自分の興味のあるものを見たい時に24時間いつでも、何度でも見られるという特性がありますね。際限なく見続けることができてしまうので、時間の長さを決めることが必要です」

 

 

 

Q、ひとりでインターネットやスマホを使うようになったら気をつけることは?

 

A、フィルタリングのことは後で詳しく説明するとして(次回、ご紹介します)、困ったときに親に相談できる環境を小さいころから整えておくことです。

 

「ひとりでPCやスマホを使うようになるのと、きっと同じころに反抗期を迎えるお子さんもいるでしょう。それよりも前にホットラインを作っておくことが重要です。この問題に限らず、どんなことでも『困ったらいちばんに親に相談する』習慣があれば、反抗期に入ってもサインは出してくるはずです。SNSなどネット上でのトラブルは、顔が見えないネットで相談しがちですが、本当の自分を知らない相手に相談しても解決に至りません」

 

 



ネットの世界に依存しないか心配!?

Q、子どもがインターネットの世界に触れる比率が多くなっているので、リアルか仮想か…親子の常識に差が生まれている気がします。どんなことに気をつけたらいいでしょうか?

 

A、全部がサイバー空間の仮想の世界では生きていけないですよね。私にも2人子どもがいますが、動画で電車を見たのなら、休日にいっしょにその電車を見に行ってみるなど、必ず仮想とリアルをセットにして体験して『情報をつなぐ』ということを心がけています。

 

「いっしょに体験すれば、会話も生まれます。たとえば、ヒヤシンスの球根から花が咲くまでの様子を何秒かの動画で見るとします。実際に育ててみると、花が咲く気温とか、香りなどを感じる。そこで初めて、サイバーの情報が活きるんですね」

 

いかがでしたか?家庭で話し合って上手にインターネットとつき合っていけるといいですね。次回は、今回の話にも挙がったフィルタリングのことや、新しい学習指導要綱に組み込まれている電子教材について、引き続き吉岡先生に教えていただきます。お楽しみに!

 

吉岡 良平先生プロフィール

一般財団法人草の根サイバーセキュリティ運動全国連絡会 常務理事・事務局長 安全なネット利用環境整備を行なうモバイルコンテンツ審査・運用監視機構の事務局長を経て、現職に。全国で情報モラル、情報セキュリティ等、安心・安全なネット利用について啓発・地域支援活動を行なっている。

 

 

上紙夏花 Natsuka Uegami

ライター/ビューティープランナー

1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳

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