レシピなしでも作れるけれど、正直、作り方は適当。その味は、まさに“そこそこ”……。そんな定番料理の印象は、今日で終わり!
今まで見落としていたちょっとした工程を見直すだけでとびきりの味にランクアップ。これまで、“なんとなく”の味だった定番料理は、ここぞのときの勝負料理に格上げです!
肉じゃが
肉じゃがは最後にしょうゆを加えると味がしっかり入る
「塩分を含むしょうゆを早いうちに入れてしまうと、だしや酒などのうま味が入りづらくなります。塩は分子が小さいため、素材の隅々まで入り込み、みりんやほかの調味料の入る隙間がなくなるのです。しかも、煮くずれの原因にまで。煮物でしょうゆを加えるのは、ほかのうま味をしみ込ませてからと覚えておきましょう」(ワタナベマキさん)
材料・2〜3人分
- 牛ロース薄切り肉……200g
- じゃがいも……3個
- 玉ねぎ……1個
- 糸こんにゃく……200g
- さやえんどう(塩ゆでしたもの)……6~7枚
- 和風だし……2カップほど
- 酒、みりん、しょうゆ……各大さじ2
- 塩……小さじ1/4
- ごま油……小さじ2
作り方
1. 牛肉は30分ほど室温におく。じゃがいもは皮をむいて半分に切り、面取りをして水にさっとさらす。玉ねぎは6等分のくし形切りにする。
じゃがいもは面取りをする
煮くずれを防ぐには、やはり面取りを。煮くずれると煮汁がどろりと濁って食感も味も落ちてしまう。「面取りした部分は、みそ汁やスープに使って」(ワタナベマキさん)
2. 糸こんにゃくは沸騰した湯に入れ、中火でひと煮立ちさせる。ザルに上げて食べやすい長さに切る。
3. 鍋にごま油を中火で熱し、①の牛肉を入れる。あまりいじらず、焼きつけるように炒めて軽く焼き目をつけたら一度取り出す。
肉はさっと炒めて一度取り出す
肉は長く煮るとかたくなるので、さっと炒めて取り出す。さらに、肉から出た脂を使ってほかの具材を炒めると、全体にそのうま味を広げられる
4. ③の鍋に①の玉ねぎを入れ、牛肉から出た脂をなじませるように中火で炒め、透き通ってきたら、水気をきったじゃがいもを加えてさっと炒め合わせる。
5. 酒とみりんを加え、だしを具材の八分目程度まで注ぎ、ひと煮立ちさせアクを取る。落としブタをして弱火で10分ほど煮る。
汁気は具材の八分目程度に
汁気が多いと煮くずれしやすく、水っぽい煮物に。少ない汁気で煮るときは、落としブタをして煮汁を対流させ、全体に味を行き渡らせる
6. しょうゆと②を加え、落としブタをしてさらに7分ほど煮る。③の牛肉を戻し入れ、落としブタをして5分ほど煮て、塩を加えてなじませる。器に盛り、さやえんどうをのせる。
教えてくれたのは
ワタナベマキさん
料理家。旬の素材を使い、基本を大切にしたシンプルな手順で作る料理を得意とする。夫と中学3年生になる息子との3人暮らし。日々の暮らしを綴るインスタグラム(maki_watanabe)も好評。
LEE 2021年7月号
「なんとなく」が「最高の味」になる
ワタナベマキさんの定番料理のひとワザ
に掲載されています。
詳しい内容は2021年LEE7月号(6/7発売)に掲載中です。
撮影/宮濱祐美子 スタイリスト/駒井京子 取材・原文/福山雅美
ワタナベマキ
料理家
ケータリングをきっかけに、本、雑誌、広告などで料理を提案するように。デザイナーの夫、中学生の息子との毎日から生まれる実践的、かつ体に優しいレシピが好評。『ワタナベマキの10の定番弁当』 (扶桑社ムック)、『旬菜ごよみ365日 季節の味を愛しむ日々とレシピ』(誠文堂新光社)ほか著書多数。