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LIFE

できることから「社会貢献」

「社会貢献」は「自分のため」でもあるんです

  • LEE編集部

2016.10.30

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LEE世代は社会問題への関心も高くなってくる半面、自由に動けなかったり、寄付先などの情報を探す時間がなかったり。何かしたくてもなかなか……という人も多いのでは?
実は今、いろいろな問題を解決するための団体や活動はたくさんあって、それを応援する方法もさまざま、情報にアクセスするのもすごく簡単に。
忙しくてもできること、実はこんなにあるんです!

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撮影/亀田 亮 イラストレーション/船越谷 香 取材・原文/中沢明子
この記事は2016年9月7日発売LEE10月号の再掲載です。


PART 1 寄付はしたいけど、いろんな不安や疑問が・・・

寄付に詳しいノンフィクション・ライター
近藤由美さんに聞きました

 

――震災や水害、子供の貧困など、国内で深刻な問題が山積している今、小さくとも何か「社会貢献」して役立ちたい!と考えているLEE読者がたくさんいます。
ただ、どこに寄付すればいいか決められない、どんなふうに応援すればいいかわからない、寄付したお金がきちんと役立っているか心配だなど、不安要素もあります。

<社会貢献についてLEE100人隊に緊急アンケート!>
(総回答数56名)

Q これまでに寄付やボランティアをしたことがありますか?
社会貢献アンケート1

Q 寄付やボランティアをするにあたって不安に思うことは?
(複数回答可。3つまで)
社会貢献アンケート2

 

まず、「社会貢献」の方法はさまざまあることを知っていただければと思います。
応援したい活動をしているNPO団体などに直接お金を寄付する以外に、間接的な寄付の仕方もあります。

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例えば、イオンリテールの「イオン幸せの黄色いレシート」は毎月11日付けのレシートを地域に貢献するボランティア団体を選んでボックスに投函すると、レシート合計額の1%分の品物が団体に寄付される仕組み。

また、百円単位の少額から、支援先が求める物資リストにあるものをクリック一つで送れる「スマートサプライ」は無駄のない寄付方法として熊本地震でも活用されました。

ほかにも医療用ウィッグ用の髪の毛の寄付、マラソンに出走すると寄付ができるチャリティランなどユニークなもの、自分が持っているスキルやアイデア、時間などを寄付するボランティアもあります。

寄付は「エネルギーの循環」自分にもメリットのある行為です

こうした寄付をはじめとする社会貢献は社会と積極的にコミットする糸口であり、接点です。
私が取材した「寄付を実践する人たち」は皆さん、キラキラ輝いていて、幸福度が高かったんですよ。自分の行為が社会の役に立っていることを感じ、自分も幸せな気持ちになったという「成功体験」が彼ら、彼女たちを輝かせていたんです。

私自身も「認定NPO法人さなぎ達」という横浜の路上生活者やその可能性がある人々を支援する団体に物品寄付をしたのですが、団体の代表の方からはもちろん、支援先である当事者の方から直接声を聞くことができ、「人から感謝されることがこんなにうれしいなんて!」と実感しました。

当たり前のことのように思えるかもしれませんが、寄付したものがそれを必要としている人のところに届き、有効に活用してもらえるという「寄付の可視化」は大事なポイントです。

寄付は強いられてするものではありませんし、まして義務でもありません。自発的かつポジティブなエネルギーをおすそ分けし合うもの。ですから、結果的に自分もポジティブなエネルギーをもらえる「エネルギーの循環」なんです。

 

用語メモ NPO法人って?

特定非営利活動法人ともいう。阪神・淡路大震災後の1998年に施行された特定非営利活動促進法に基づき設立した「特定の公益的・非営利活動を行う」法人。
「災害救援活動」等、20種類の分野で非営利活動を行い、透明な情報開示を求められる。認定NPO法人はさらに厳格な要件を満たし、所轄の都道府県知事や市長から認定を受けた団体。

 

――社会には多くの問題があります。すべてを支援できない中で、支援先はどのように決めたらいいでしょうか。

自分の身の回りで気になる問題がある、新聞やテレビで知って、知人がかかわっている活動がある、あるいはNPO団体を紹介しているウェブサイトや本を見て、なんとなくピンときたものを選ぶ、などがあると思います。

どのように決めてもいいですが、私の場合は最後のパターンに近いものでした。不思議というか必然というか、「認定NPO法人さなぎ達」を選んで寄付をした後で、子供の頃、父が困難な状況にある人々を家に呼び、食事やお酒を振る舞い、その方々の仕事を探していたことを思い出しました。

こうした人生経験が意識の中に潜在的に存在していて、ふと導かれるようなケースもあると思いますよ。

 

私たちのお金ってちゃんと使われてるの?
不安解消のために、寄付先のHPでここをチェック

チェック 法人格はあるか(市民グループなどもあるので絶対ではない)
チェック ホームページがきちんと更新されているか
チェック きちんと、しかもわかりやすく情報開示しているか
チェック 代表者の顔がしっかりわかるか
チェック 活動理念や方針が「きれいごと」ばかりでなく、具体的に書かれているか
チェック 広くイベントの参加やボランティアを募集しているか
チェック 寄付者のメッセージや活動報告が掲載されているか(支援者を大切にしているか)

 

『世の中を良くして自分も幸福になれる「寄付」のすすめ』(近藤由美著/東洋経済新報社)第8 章「後悔しない寄付先選び」より。

 

近藤さんおすすめ
寄付やボランティアをしてみようと思ったら、
まずはここにアクセス

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★オンライン寄付サイトの老舗
Give One(ギブワン)
オンライン決済できる寄付サイトとして2001年にスタート。多彩な支援先が紹介されていて見るだけで興味深い。’16年8月現在、249プロジェクトを掲載。1000円以上なら1円単位で額を決められる。

★日本最大級のポータルサイトで探す
Yahoo! ボランティア
全国の地域別、「子ども・教育」「地域・人権」といったカテゴリー別に、ボランティアを求めている団体やプロジェクトを探せる。’16年8 月現在、21659件の募集あり。随時情報が更新されている。

★NPO、被災地支援で急成長
READYFOR?
2011年3 月スタート。さまざまな社会問題を解決するための支援を募るプロジェクトに商品やイベントといった特典付き寄付ができる。これまでに離島医療用飛行機購入など、5000件以上が成立。

★支援や災害の最新情報を提供
CANPAN FIELDS
日本財団CANPANプロジェクトが提供する公益事業コミュニティサイト。熊本地震の支援募集や最新情報をチェックしたいときなどに役立つ。そのほか、さまざまなボランティア募集情報を豊富に記載。

★地域×クラウドファンディング
FAAVO(ファーボ)
ふるさとや好きな地域の志ある活動を支援できるサイト。日本各地の夏祭りや香川・丸亀市商店街で「みんなが集まれる秘密基地を作りたい」といったプロジェクトを紹介。地域貢献に参加できる。

★iPS細胞発展の役に立てる!
JAPANGIVING
ノーベル生理学・医学賞受賞者、山中伸弥教授がチャリティーランナーとして「iPS細胞研究所」への支援を募ったことで有名なNPO向けの寄付サイト。自治体と連携し、ユニークなふるさと納税先も紹介。

 

社会貢献すると自分が困ったときに誰かが支えてくれると信じられる

もともと私はマネー雑誌の編集者なのですが、読者にとってわかりやすい金融の記事を作成する中で、投資の方法の一つである長期投資という考え方に引かれました。

長期投資とは、株式を頻繁に売買することで利ざやを稼ぐ短期投資と違い、社会に役立つ、人々の暮らしに貢献する企業の株を長い目で保有し、その企業を応援する投資方法です。
社会の役に立つ企業は、多くの支持を受けて成長し、株主にも利益が還元されるものなのです。

そして寄付も実はみんなで支え合いながら困難を乗り越え、解決し、社会をよりよくしていこうという『未来への投資』なんですよね。そこに気づいて、自分も寄付しようと思いました。

もともと、私たちには承認欲求というものがあります。誰かに認められたいという、人間が人間らしく生きるための欲求ですね。
寄付したり、自分のスキルや時間を提供したりすることで、相手に感謝され、役に立てたと実感できたとき、自分を無条件に受け入れることができる。すなわち、自己肯定感が生まれるのです。

寄付や社会貢献は相手とのつながりをリアルに感じられる行為であり、だから自分も幸福感を得られるのです。
そして、いつか自分が困ったとき、誰かがきっと自分のために動いてくれる、社会は「支え合い」で成り立っているのだと、信じられるようになるはずです。

そうした循環が自分の身の回り、地域やコミュニティに起これば、生きるうえでの安心感になる。つまり、セーフティネットですね。
一人でも多くの人が無理なくできる範囲でエネルギーを社会に流し始めれば、すぐとは言いませんが、社会もその分よい方向に前進するのではないでしょうか。

近年は政府も制度を整えつつあります。

2010年に民主党政権が公共サービスを行政だけでなくNPOや市民が主体性を持って行えるように制度を整える「新しい公共」という国家戦略を打ち出しました。その一環として2011年に「新寄付税制」が始まり、寄付額の4割が所得税額から税額控除できるようになりました。

自民党政権になってからもその流れを受け継いで「共助社会」と名を変え、安倍内閣による「骨太の方針」には「寄付の促進」が盛り込まれています。
寄付やボランティアなど、社会に貢献しようと思い立ったら、寄付の優遇制度も含め、市民が取り組みやすい環境が整ったといえます。
最近では、自治体への寄付としてのふるさと納税やインターネットを介してのクラウドファンディングなど、新しい寄付の仕組みや方法も登場してきています。

日常的に助け合える社会は、自分にとっても暮らしやすい社会。何か社会貢献したい、と思ったら、それは自分のためでもあると考えて、ぜひ一歩踏み出してみてください。

PROFILE
近藤由美さん
1967年宮城県生まれ。
’99年、マネー誌『ダイヤモンドZAi』(ダイヤモンド社)創刊メンバーに。
現在は、フリーランスでマネー関連の企画に携わる。著書に『世の中を良くして自分も幸福になれる「寄付」のすすめ』(東洋経済新報社)。


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LEE編集部 LEE Editors

1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
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