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LIFE

古川はる香

ひとりっ子でもいいですか?―「ひとりっ子」親、子育てについて考える―

  • 古川はる香

2018.01.15

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「ひとりっ子でもいいですか?」その答えが見つからない

2018年1月現在。わが家に子どもは5歳の娘ひとり。娘はいわゆる「ひとりっ子」です。

「2人目」を考えなかったわけではなく、娘が産まれてからことあるごとに「もうひとり産む? 育てる?」を考えては「無理だなあ」を繰り返してきました。その結果の今日なのです。

そして、今日にいたるまで「うちはひとりっ子でよし!」と腹が決まったことはないし、いまだに「ひとりっ子でもいいのかな? きょうだいいないとダメかな?」と揺れてばかり。

子どもを何人育てるかなんて、その家庭ごとに最適解はちがうし、そもそも思った通りになるかどうかもわからない。本人が、夫婦が、「うちはこれでよし!」と思えばそれでいいのでしょう。

それでも、自分以外の誰かに「それでOKですよ!」と言われたくて、こう尋ねたい気分になってしまうんです。

「ひとりっ子でもいいですか?」

 

親の注目を一身に集められるのは、「ひとりっ子」の特典かもしれません。

 

「2人目」の壁を超えられなかった理由

「2人目」を決心できなかった最大の理由は、総じていえば「今なら!」の決心が固まらなかったから。うちの場合、何が「今なら!」のネックになっていたかというと、

① 育児にいっぱいいっぱいだった

もともと体力に自信がないのに加え、娘を産んだ時点で36歳。惰眠をむさぼるのが趣味といっても差し支えない私に襲い掛かる産後の細切れ睡眠! その後も魔のイヤイヤ期! なかなか進まないトイレトレーニング! 終わらないイヤイヤ期からの反抗期! と、次々に襲い来る子育てのヤマ場を乗り越えるので精いっぱいだったこの5年……。

「このタイミングでつわりが起きたら!? 切迫早産で絶対安静になったら?」と考えると、周囲からの援助を含めてあまりのリソース不足。二の足を踏んでしまったのです。

② 仕事にいっぱいいっぱいだった

産後に仕事復帰してから1,2年は、娘の発熱などで保育園を休むことも多く、私自身が体調を崩すのもしょっちゅう。思ったように仕事時間も確保できず、あきらめた仕事も。その反動もあってか、娘が2歳を過ぎて体力がついてからは、積極的に仕事を開拓していったところ、ありがたいことに反応もいただけて。ようやく自分なりに納得できるペースで走り始めたキャリアを、また「妊娠・出産」でゆるめてしまうことに迷いがありました。

 

そんなこんなで「あと1年経ったら」「あと半年過ぎたら」と機会をうかがっているうちに、私が40代に突入。いよいよ「2人目産むのか?」問題の決断リミットが見えてしまったのです。

娘とは思い立って2人旅に出ることも。そんな「ひとりっ子」ならではの気軽さをもう少し満喫したいという気持ちもありました。

 

「きょうだい」はいなきゃダメですか?

そもそも私が「ひとりっ子ではまずい!」と感じてしまう理由は何なのか。

私自身が「きょうだいがいてよかった」と思っているのが大きいかもしれません。

私は7歳までひとりっ子でした。幼稚園に入ってから「友達にはきょうだいがいる!」ということに気づき、「私もきょうだいがほしい!」と強く思うようになったのです。そうして妹が産まれたときの感動といったら、娘が産まれたときと並ぶものでした。

娘も当時の私と同じように「きょうだいがいたら」と思うことがあるのでしょう。実際、保育園のクラスメイトなどお友達に妹や弟が産まれると「うちにも赤ちゃんいたらいいな……」とつぶやいています。そしてそのたびに心が痛みます。

実際、大人になるまでひとりっ子だったとしても、「きょうだいがほしい」という思いは消えないのでしょうか。そして「きょうだい」に代わる存在に出会うことはできないのでしょうか。

身近なひとりっ子の友達に取材してみました。

 

 

4歳違いのいとこ(私の妹の子)とは頻繁に会っています。お世話をしてあげる反面、赤ちゃん返りも(笑)。いとことの関係で「きょうだい」に近い感覚を味わってもらえればと思っています。

 

「きょうだい」とは「親が亡くなったとき、同じ気持ちで泣ける人」……?

 

ひとりっ子友達2人に「きょうだいほしかった?」と聞くと、答えは2人とも「イエス!」

ひとりは「きょうだいがほしいって言っても、私がほしかったのは兄とか姉とか上のきょうだいだったから、まあ無理だなあと思うようになった」と。

そして「大人になるにつれ、必ずしもきょうだいって仲がいいわけでもないのに気づいて、ひとりのほうが気楽かもとも思うようになった」とも。

確かに世の中のきょうだいすべてが仲良しで、支え合ってるわけではないですよね。骨肉の争いに発展してるのも見かけるし……。

 

「絶対にきょうだいがいなければダメではないんだ!」とちょっと安心していると、もうひとりの友達からはこんな話が。

「10代の頃に読んだ漫画に、”(きょうだいは)親が死んだときに同じ思いで泣ける存在”みたいなことが描いてあって。”私は将来親が死んだときに、同じ気持ちで泣いてくれる人がいない!”と結構な絶望を感じたんだよね。

だからこそ、”きょうだいみたいにつきあえる一生の友達を作る”ことの必要性は、親にも言われたし、自分でもずっと意識してたよ。実際何人かはそういう友達もいるし」

もうひとりの友達も「肉親じゃないけど、ウマが合う人と出会うことはすごく大事」と。

 



子どもが「一生の友達」をつくるため、親は何ができるのか

親の死をきょうだいと同じように悲しんでくれる「一生の友達」。

娘がそんな友達を見つけていくために、親がしてあげられることは!? ひとりっ子友達2人の意見をまとめてみました。

 

■ 親や親以外の大人との関係を育む

「この人とは仲良くなれる!」と思うような人と出会ったら、その出会いを大切にできることがまず第一歩。

そのためには「人っていいもんだな」思える感覚がないと、友達づきあいも難しい。

その感覚を育むのは、親との信頼関係がベースになるだろうし、親以外の大人から大切にされる経験も必要。

 

■ 子どもの選んだ友達を認めてあげる

子どもが「ずっとつきあっていけそう」という友達を見つけたら、親もその子を受け入れる。「あの子はふさわしくない」「つきあわないほうがいい」と親がジャッジしない。

「いい友達と出会えたね」と肯定してあげることで、「私は人を見る目があるんだ」「一生の友達を見つけていけるんだ」という実感が育っていく。

友達づくりや友達づきあいで、成功体験を積み重ねていくことが「人を見る目」を養うことにもつながるのでは。

 

■ 子どもにとっての「一生の友達」に対して自分の子のように接する

「親が亡くなったとき、同じ気持ちで泣ける」ような存在に「友達」になってもらうには、親と子どもの「友達」との間にも親子のような関係が必要。

会って話すのはもちろん、時には家に泊まってもらったり、人生相談にものったり、第二の「親」のような心持ちで接していく。

 

 

つまりは「愛着関係を築く」、「自己肯定感・自己効力感を育てる」、「人の子とも自分の子のように接する」。この3つに集約されるわけです。

これって、ひとりっ子に限らず、子育てでは重要なことなのでは……!?

そりゃ考えてみれば、きょうだいがいたとしても「一生の友達」はいたほうがいいもの。

「血縁」に限定せず、生きていくうえで、さまざまな人とのつながりがあったほうがいいのは当然ですよね。これから親を離れて「自立」していく子どもにとって、人とのつながりは大きな支えであり、財産になるはず。

 

 

「ひとりっ子でもいいですか?」の差し当たっての答えは「ひとりっ子なのであれば、きょうだいに代わる存在ができるようサポートしていく」ということかもしれません。

娘が「一生の友達」と出会って、つきあっていくためにも、私なりに人とのつながりを大切にしながら、娘の友達を自分の子のように受け止められるようキャパシティを鍛えていこうと思います。

ぜひ、同じような思いをおもちのみなさん、こちらまでメールしていただけたら嬉しいです

「暮らしのヒント」メール

kurashi@lee.hpplus.jp

 

 

 

 

古川はる香 Haruka Furukawa

ライター

1976年、大阪府生まれ。雑誌・Web等でライフスタイル、カルチャー、インタビュー記事を執筆。現在のライフテーマは保活と子どもの学び、地域のネットワークづくり。家族は夫と6歳の娘。

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