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松崎のり子

103万の壁が150万に。2018年から徐々に働く人の税金が変わる

  • 松崎のり子

2017.12.28

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毎年12月には、ボーナス以外にも大きなお金のイベントがあります。それが、「税制改正大綱」の発表。これは来年度以降の税金について、今の制度の見直しをしたり新税の創設を提案するもの。実際にはこれを基にした法案が、年明けの国会にかけられて正式決定しますが、これを読むと政府が考えている税への考えが見えてきます。

2018年度の大綱では、所得税の見直しが目玉の一つ。まず、すべての人が対象となる基礎控除(収入から税金がかからないように引いてくれるお金)を10万円増やし、逆に会社員が対象になる給与所得控除(年収に応じて金額が増える)は10万円引き下げます。この場合、年収850万円以下の会社員は増税にも減税にもならないと言われていますが、それ以上の年収を稼ぐ人は増税に。ただし、政府の説明では、22歳以下の子どもを扶養しているか、介護が必要な人がいる場合は除くとあります。
基礎控除が上がるということは、これまで給与所得控除が使えなかった自営業やフリーランスで働く人には減税になります。会社員だけでない、様々な働き方が増えている実情に合わせた改正ということなのでしょう。
この税制改正法案がこのまま成立すれば、2020年より新しい制度に変わることになります。

いよいよ変わる「103万円の壁」→「150万円の壁」

すでに先の税制改正で変更が決定しており、2018年1月からスタートするのは、「配偶者控除(正確には配偶者特別控除)」の新しい仕組み。これまで夫が「配偶者控除」を受けるためには、妻が給与収入を103万円以下に抑える必要がありました。それが、女性の働き方を制限している「壁」になっているのではとの意見が出て、この年収103万円を150万円まで引き上げることが決定したのです。
ただし、ここには二つの注意点が。一つは、企業から支給されている「配偶者手当」。支給要件に、配偶者の年収は103万円以内という規定がある場合には、それを超えてしまうと受け取れなくなるため夫の手取りが実質減に。また、妻が一定の年収を越えると、自分で厚生年金や健康保険に加入することになって社会保険料を払う必要があります。対象になる年収の基準は、従業員501人以上の大企業に勤めている人なら106万円、中小企業でも130万円を超えた場合です。
税金と社会保険はバラバラに運用されており、正直わかりにくいのが現状です。ただし、政府の考えは「女性にもっと働いてほしい、そして社会保険料も相応に負担してほしい」なので、この先も少しずつ改正が行われるでしょう。他人事と思わず、制度改正のニュースを意識することは大切なのです。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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