子どもとの触れあいは、新しい発見や喜びもあれば、悩みもつきないもの。
しっかり育って欲しい、きちんとしつけなければ、と思うあまり、つい、子どもを厳しく否定する"呪いの言葉"をかけてしまうことも・・・
「子育てに対してまじめなお母さんが、呪いの言葉を口にしてしまっているケースも多い」と話すのは、NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事の天野ひかりさん。
子どもにちゃんと本意を伝えるにはどうすればいいの?
LEE12月号では、子どもとのコミュニケーションを見直す、"伝わる話し方"を取材。
まずは読者のエピソードから。あなたにもこんな経験、ありませんか?
私も子どもに言っている!?こんな言葉も"呪い"かも…
「家でぎゃあぎゃあ泣いたときに、『もう泣かないで!』 と口ぐせのように言っていたら、ある日、幼稚園で先生に『元気がなく、声をかけると部屋の隅に行ってしくしく泣いた。幼稚園では、泣きたいときは泣いていいんだよと伝えました』と聞きました。娘に尋ねると、泣いてはいけないと思っていた、と。私の言葉のせいだ……と深く反省」(きな子・31歳・福岡県)
「ついほかの子と比較して『みんなできてるのに、なんでできないの?』と言ってしまいがち。息子の負けず嫌いな性格に火をつけられる言葉だと思っていましたが……。最近は、新しいことを始めるときに息子が『みんなはできてる?』と気にするようになったのが気がかりです」(こなつ・32歳・東京都)
「『約束守れないなら、サッカーやめなさい』などと交換条件のような言い方をしてしまいます」(トトロ・36歳・神奈川県)
今も胸にひっかかっている 母にかけられた"呪いの言葉"エピソード
「幼少期、ダンスや絵を習いたいなどと言うと、『そんな道で成功する人なんて限られてる。あなたに才能はないんだから、とにかく勉強しなさい』。『医者になりたい』と言うと、『あなたにはそんな頭脳もお金もないから、無理無理』。
――母からいつもそんな言葉をかけられ、自分には何の取り柄もない、可能性もない、と思っていました」(しいたけ茶・30歳・大阪府)
「『お母さんが言ったことで間違ったことある?』が母の口ぐせ。母の言う進路に進み、なんでも言うことを聞いて、それが正しい、答えは一つ! と思い、物事には答えが複数あることに気づいていなかったように思います。母の言うとおりにできないことは、挫折だと思っていました」(深美・35歳・千葉県)
「『人様に恥ずかしくないように』と、母に呪文のように唱えられていた私。青春時代は、何をするにも人の目が気になってしまい、自分というものを持てなかった」(内弁慶さん・34歳・静岡県)
「なんでも否定から入る母親でした。何があっても、『あなたが悪い』『あなたが我慢しなさい』『できるわけがない』の連続。その影響か、自分もいまだにネガティブで自己肯定できません。『親を悪く言う者は悪』という考え方が一般的な中で"毒親"というワードがあると知ったときはなんだかホッとしました」(N・36歳・石川県)
なぜ"呪いの言葉"をかけてしまう? その影響は?
「母親として、この子を“しつけなければ”というプレッシャーや強迫観念から、時として直接的で短絡的な言葉を使ってしまうんです」と天野さん。
「親の言うことを聞ける子になってほしいと思うあまり、『今すぐ片付けなさい』『この色の絵具で描きなさい』などと押しつけ、それが呪いの言葉になってしまう。子どもをきちんと育てたい、能力を伸ばしてあげたいという目標設定は正しいのに、言葉がけという手段を誤っているんです」
このように“呪いの言葉”をかけ続けられると、子どもにはどんな影響があるのでしょうか?
「ママだけが子どもと触れ合うわけではないので、その言葉が一生を左右するということはありません。
ただ、もちろん影響はあって、自信が持てず、自分が愛されていると思えない“自己肯定感”の低い子どもになってしまう可能性が。
自己肯定感が育まれると、挑戦する心や壁にぶつかったときに乗り越えようと思う強さが生まれます。また、自分を認められると、相手の立場に立ってやさしくなれるという効果も。いつも友達のおもちゃを取り上げていた子どもにママがとことん付き合って遊んだら、満足して貸してあげられるようになったケースもあります」
自己肯定感を育むためには、まず子どもがすることを認めて、否定しないことだと言います。
「こう話すと『甘やかしすぎてしまうのでは』と心配するお母さんが多いのですが、大丈夫。子どもは保育園や幼稚園、外の世界で少しずつ疎外感や社会の厳しさを味わっています。親と一緒の時間だけは、全肯定してもバランスはとれるもの。ぜひ子どもの興味のあることを100%認めて、一緒に楽しむ声かけをしてあげてください」
これってちゃんと伝わってる? 子どもへの言葉がけQ&A
Q 「悪いことをしたら鬼が来るよ」「○○したらゲームしていいよ」など交換条件でやらせようとするのはNG?
A ご褒美のために頑張ることは問題なし
どちらも問題ありません。体罰や食事を与えないなど実際に罰を与えるのはNGですが、悪いことをしたらしっぺ返しがあると比喩から学ぶのは大事なこと。また、ご褒美も動機づけとして、ありです。
ご褒美がないとやらなくなるのでは?と心配する方もいますが、子どもはもっと賢い。ケーキがテストでいい点を取ることになり、褒められる喜びや達成感に変わる。目標設定がどんどん置き換わっていくのです。
Q 注意しても直らないと「なんで~できないの!?」と問い詰めがち。これって問題あり?
A 子どもを責め立てる「WHY」はNGワード!
WHYは使わないほうがよいNGワード。「なぜ」には叱責するニュアンスがあり、子どもが追い詰められます。
そもそも、お母さんも本当に理由が知りたいわけではなく、怒りがこぼれ出てしまっただけでは。誰でもイライラすることはあるので、それならば「もう、こぼした~!」などと、なぜは使わず、ただいら立ちを表現して(笑)。後から理由を説明して謝れば、子どもも引きずらないと思います。
次回は、つい言ってしまうことの多いネガティブワードを7パターンに分け、その言い換え具体例をレクチャーします!
2017年11/7発売LEE12月号『呪いの言葉、かけてませんか?子どもに"ちゃんと伝わる"話し方』から
イラストレーション/モリナオミ 取材・原文/野々山 幸
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