LEE11月号では、スタイルは違えど、素敵な8軒のお宅を取材!
それぞれのお宅の「暮らしのかたち」から、お気に入りの雑貨や家具、おすすめのショップなど、大増42ページでご紹介しています。
これから家族で暮らしていく家だから。居心地が良く、住みやすい場所にしたいですよね。
今回、取材をしてみえてきたのは、いい家をつくるためには「家づくりに入る前」こそが重要だということ。
本当に大事にしたいことは何か、どんな暮らしをしたいのか。
時間をかけて話し合い、かたちにした。それが「美しい家」でした。
今日のLEEでも5軒のお宅をご紹介します。
04 2年をかけてじっくり手を入れ「今」のカントリースタイルを実践
鰤岡和子さん(菓子職人)
鰤岡力也さん(家具職人)
◆ 妻42歳 夫41歳 娘5歳
◆ 戸建て2階建て
◆ 106㎡
◆ 設計/すわ製作所
鰤岡さん夫妻がこの家を購入したのは、和子さんの出産がきっかけでした。
それまでは菓子店と家具工房をそれぞれ営み、猛烈に働き、忙しい日々を送っていたふたり。以前住んでいたマンションは、仕事から帰ってほぼ寝るだけ。「部活の部室みたいでした(笑)」と振り返ります。
もっと暮らしそのものを大切にできる場を、駅前の雑踏ではなく豊かな自然が子供の遊び場になるようにと、数年かけて探したこちらの家は、敷地は300坪、山付きの築70年の一戸建てでした。
「大きな道路に面していないので建築条件が厳しく、新築が建てられない土地だったんです。でもその分格安で購入できたし、緑にあふれたまわりの環境がとても素晴らしくて」
家の外壁は木目が美しく虫がつきにくい、レッドシダーを使用。周囲は豊かな自然が広がり、子供の格好の遊び場になっています。
家具ブランド「モーブレーワークス」を主宰し、家具製作のほか、店舗の内装デザインなども行う力也さん。新居はショールームを兼ねたいと、友人である設計士と相談しながら、2年という時間をかけ、リノベーションを行っていきました。
間取り
家の中心は、広々としたリビングダイニング。キッチンもテーブルを置けるくらい広くとり、2階は寝室に。
「もともとあった天井を抜き、空間を高く広くしました。現れた梁を見ながら、この空間を生かすインテリアを考えました」と力也さん。
「イメージしたのは、アメリカのカントリースタイル。かつて日本で流行したカントリーよりもさらに一歩進んで、どこか男っぽい、エッジをきかせた骨太な雰囲気にしたいと考えました」
アメリカから取り寄せたピッチパインの古材を製材して組み直した床や、色みを厳選して切れ目なく張ったレッドシダーの壁など。
素人目にはなかなかわからない細部へのこだわりの積み重ねと、古い家特有の落ち着いた佇まいの融合が、なんとも言えない居心地のよさにつながっています。
そこにアメリカ製の薪ストーブや力也さんが手がける家具を配置。引っ越したのは昨年1月ですが、すでに何年も過ごしたかのような趣を感じさせます。
「収納をたっぷりお願い」という、和子さんのリクエストから生まれたキッチン。通常の日本製の調理台よりもやや高く、シンクはホーロー製。右奥にあるのは、「モーブレーワークス」オリジナルのハイスツール。
都内にあるコーヒーショップのためにデザインした形で、家事の合間にひと息つくときなどに便利!
ダイニングテーブルは、力也さんが独立したての頃に製作したもの。以前の住まいでも愛用していたので味わいも増しており、原点のような家具なんだとか。
力也さんが特に気に入っているというのが洗面所。
「蛇口がふたつのシンクはアメリカのコーラー社のもの。現地で入った雑貨店で一目惚れして、同じものをホームセンターで探し、送りました」
焼き菓子ブランド「ウォルド・ペストリー」を主宰する和子さん。そんな和子さんのお菓子工房がこちら。三角屋根で山小屋風に。昼の間はこちらで仕事を行っています。
・・・
この家に住むことで、それまでの仕事中心の生活から、家族で過ごす時間を第一にする暮らしへと、ごく自然に移行することができたというお二人。
「家の裏には里山のハイキングコースがあるので、休日はピクニックに行ったり、虫捕りや花摘みをしたり。自然が豊かな分、もちろん草刈りなど手入れも大変ですが、それも楽しみながらやっています」
撮影/松村隆史 取材・原文/田中のり子 間取り図作成/前田優子
詳しくは2017年10/7発売LEE11月号に掲載しています。
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