希望しても保育所などに入れない待機児童数は、残念ながら増えています。
厚生労働省が発表した2017年4月時点の数字では、待機児童数は2万6081人と前年比2528人の増となりました。また、待機児童が100人以上増加したのは、大田区(343人増)、目黒区(318人増)、志野市(268人増)など13市区。逆に100人以上減少したのは、那覇市(359人減)、世田谷区(337人減)、北区(150人減)など10市区となっています。
政府は保育所等の施設を増やしてはいますが、共働き家庭が増えていることや、働きたいと望む人の数に追いついていないのが現状なのです。
こうした状況を背景に、育児休業の制度が2017年10月から変更になりました。働く人が出産・育児で会社を休む場合、収入が減ってしまうことへの対策として、雇用保険より育児休業給付を受けることができます。受け取れる金額は、育休開始前の日額賃金(ただし上限あり)×休んだ日数×67%(6か月まで)もしくは50%(6か月経過後から)。受け取れる上限額は、29万9691円(6か月まで)、 22万3650円(6か月経過後)です。支給期間は子どもが1歳に達するまでですが、それまでに保育所に入れず育休を延長しなくてはならない場合には、1歳6カ月に達するまで支給期間を延長することができました。(※出産日翌日の8週間までは産休になるため、そのまま育休を継続して取った場合、育休開始日は出産から58日目です)
申し込みは自分で書類を用意し、会社経由で
今回変更になったのは、この支給期間の部分です。育休を1歳6カ月まで延長しても保育園が決まらない場合、さらに半年、最長2歳まで再延長できるように変わりました。ただし再延長には、市町村が発行する保育所等の入所保留の通知書などの、申し込みを行ったけれど入所できなかったことを証明する書類等が必要です。手続きは会社経由で行いますが、提出に必要な書類は当人が用意しなくてはなりません。早々に保育園が決まるのがなによりですが、それが厳しい場合には、必ず延長手続きを忘れないようにしてください。また、育休終了後に退職する予定の人は、給付の対象にはなりません。
子育てしながら働き続けるためには、公的な制度は大きな助けになります。受け取れるはずのお金がもらえなかった…ということがないよう、自分が利用できる制度をしっかり確認しておきましょう。
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松崎のり子 Noriko Matsuzaki
消費経済ジャーナリスト
消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。