自分が腕を振るった料理を、自分のレストランで提供するーー。料理好きのLEE読者が憧れる生き方の実践者である「サラベス」オーナー、サラベス・レヴィーンさん。インタビュー後編では、この仕事を始めたきっかけや子育てのこと、アメリカに加え、日本や韓国、台湾で17のレストランを経営するまでを振り返ってもらいました。
成功の手がかりはほんの些細なこと。それに気づけたから、今のサラベスさんがいる。そんなことがわかるお話です。
撮影:亀田亮
サラベス家秘伝のフルーツスプレッドが夢の足がかりに
津島 サラベスさんは、特に料理を勉強されていたわけではありませんね。
サラベス そうです。料理は好きでしたが、ビジネスにするつもりもありませんでした。
津島 サラベス家に伝わるフルーツスプレッドが成功へのきっかけとなりました。いつからビジネスにしようと思ったのですか?
サラベス 始まりは偶然。後に夫になる彼がカフェのオープンに携わることになり、そのオープニングパーティでスプレッドを配ったら非常に評判がよかったのです。
もともとファミリーのためのレシピでしたが「ビジネスになるかも」と、そのカフェに置いたのが最初。そのパーティがなければ、フルーツスプレッドを売ることはなかったでしょう。
仕事でも趣味でも、情熱を傾けられるものでなければ続けられない
津島 サラベスさんは37歳でフルーツスプレッドをビジネスにしています。LEE読者もその世代が多く、自分が作ったものを広く食べてもらいたいと考える人が多いです。夢の体現者として、そのステップアップを教えてください。
サラベス 当時はシングルマザーとして子育てしながら働かなくてはいけませんでした。自分が情熱を注げる仕事をしたかったけれども、何がしたいのか、見つかっていない状況でした。それが先ほどお話したオープニングパーティでスプレッドを提供したことがきっかけで、したいことが見つかりました。
レストランを始めた当時は子どもたちも小さかったですが、自宅とお店が近かったのが幸いでした。子どもたちは学校からお店に帰ってきて宿題をして、一緒にディナーを食べて、一緒におうちに帰る。家庭の仕組みを仕事の中に組み込める恵まれた環境。だからお店を広げていくことができました。
津島 ベーカリーは朝が早いですよね。どう子育てされていましたか?
サラベス ビジネスに理解のある主人が娘をお店に連れて来て一緒に朝食を食べて、学校への送り迎えも主人がしてくれました。主人の協力があったのが非常にラッキーでした。
趣味が仕事になる人、仕事が趣味になる人と、それぞれいるとは思いますが、どちらにしろ頭で考えるのではなく、パッションに訴えかけるものでないと続かないのは同じ。1日12時間も立ち仕事をしたら脚が棒になって痛いけれど、大好きな仕事ならば痛みや疲労も忘れられる。それに結果がついてくればなおさらやる気も起きますよね。仕事は大変なことも多いけれど、心で仕事をするようにしています。
好きなことを見つけるのが、幸せに近づく方法。仕事と家庭のどちらでもいいですが、自己実現をするには好きなことを見つけることが大切ですね。
ラッキーなことに、女性はマルチタスクができます。日本に限らず、多くの女性は家庭と仕事を両立していますし、好きなことが見つかるチャンスが2倍になると思えば、仕事も家事も楽しくなりませんか。
いつもチャレンジしているからポジティブにいられる
津島 お話を聞いていくと、サラベスさんの溢れるバイタリティに驚かされます。落ち込むことなんてないですか?
サラベス 仕事が好きで、疲れてベッドから出たくないことはありません。私にとって料理はチャレンジ。常にアイデアを考えています。
津島 年齢を重ねると頭が固くなる、なんてことはサラベスさんには無縁ですね。
サラベス 常に脳を使い続けていますからね。筋肉と同じで使わないと衰えますが、脳は常に使っているから元気です。
することがないと人間はネガティブなことばかり考えてしまって、精神的にもよくない。だからいつも働いてもいますね。
津島 最後に、まだサラベスの料理を食べたことのない読者におすすめのメニューを教えてください。
サラベス 全部と言いたいところですが(笑)、人気のあるフラッフィーフレンチトースト、レモンリコッタ パンケーキ、クラシック エッグベネディクト、ファーマーズオムレツ以外にもトライしてほしいです。それらは私達にとってもスペシャルなメニューですが、サラダやサンドウィッチ、ディナーメニューもぜひ味わってほしいですね。
それに季節のメニューも。時間を割いてレシピを開発していますし、今のニューヨークの食トレンドがわかりますよ。
<サラベス・レヴィーンさんプロフィール>
1943年ニューヨーク市生まれ。サラベス家に伝わるフルーツスプレッドを販売し、大きな反響を得る。1981年にベーカリーレストランをオープンし、以後順調に店舗数を増やしている。自身もキッチンに立ち、毎日精力的に料理を作っている。
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津島千佳 Tica Tsushima
ライター
1981年香川県生まれ。主にファッションやライフスタイル、インタビュー分野で活動中。夫婦揃って8月1日生まれ。‘15年生まれの息子は空気を読まず8月2日に誕生。