■「二拝二拍手一礼」……いつ願い事を!? 問題
高見澤 第1回では、参拝時の服装マナーや手水のお作法などについて伺いました。今回は、社殿での参拝の仕方について伺います。「近所の神社では鈴の緒が重いためか、鈴がうまくなりません。神様に聞こえているか心配です」という読者からの質問がありました。
宮司 鈴が鳴ったかどうかではなくて、行ったということが大事なので、問題ありませんよ。当社には鈴はありませんが、鈴がない神社がダメというわけでもありません。音の話ですと、柏手の音が「一回目は鳴ったのに、二回目がちゃんと鳴らなかった」なんて場合に、気にされる方、実はすごく多いんです。気になるんでしたらやり直してもよいですが、作法的には問題がないので、やり直ししなくても大丈夫です。私たちはうまく鳴らなくてもやり直しはしませんよ。
高見澤 そうなんですね! 今後は拍手をしくじっても平静を保てそうです。いよいよ参拝の要、「二拝二拍手一礼」についてです。これ、やり方を失念してしまった場合、やはり失礼にあたるのでしょうか?
宮司 これもあくまでも礼儀で、神様に対して失礼がないようにと神社側が決めたものなんですよ。ただ善し悪しで、このやり方ばっかり気になって、ちっとも気持ちが入らないという場合もあると思います。作法よりも気持ちを入れてお参りする、ということを大事にしてほしいですよね。
高見澤 作法ばかりに気を取られるのは本末転倒ですもんね。とはいえ、「二拝二拍手一礼」の順番をまずおさらいしたいのですが……。
宮司 もしお賽銭をお納めになる場合は、最初はお賽銭からですね。次に鈴があれば鈴を鳴らします。その後に「二拝二拍手一礼」です。
最初に二回おじぎをして(二拝)、次に二回柏手をして(二拍手)、最後に「失礼しました」の礼をします(一礼)。最初の「拝」と、最後の「礼」は、同じように頭を下げますが、実は意味が異なるものなんですよ。
高見澤 意味を理解すると、間違えずにできそうな気がします。あの、いつも疑問だったのですが、お願いごとやお祈りはいつしたらいいんでしょうか……? 正直に言いますと、最後の一礼をしたところで、「しまった! お願いごとを言わずに終わってしまった!!」なんてこともあるのですが……。
宮司 「二拝二拍手一礼」はひとつの流れなので、そこまで一気に行います。その後、ご自身が頭を下げて、いろいろなことを念じたり、お祈りする。当社ではそう申し上げています。
高見澤 そうだったんですね……。今日は「二拍手」の後にお願いごとをしてしまいました……。後ろの方を待たせているんじゃないかと心配になりつつも……。
宮司 「二拍手」の後でも間違いではないのです。ただ、お願いや神様とのお話というのは、短い時もあれば長い時もありますし、混雑時は後ろが気になって集中できないですよね。であれば、一度「二拝二拍手一礼」の作法をすべて済ませて、はじに寄ってから、ゆっくり拝むという方法もあります。
高見澤 祈りは最後にゆっくり……でしたら、神様に伝えたいことをちゃんと伝えられそうですね。「二拍手」の後だと、ちょうど手を合わせていてそのまま合掌に移れるので、そのタイミングで祈るのだと誤解していました。
宮司 あの、神社ではどんな時も、合掌、手を合わせて拝むという作法はないんですよ。私たちは、柏手を打った後、すぐに手を下げています。
高見澤 え……!? 私、お寺でのお作法とごっちゃになってるんですかね?
宮司 そうかもしれませんね。もちろん、神社でも、手を合わせて拝んではいけない、というわけではありませんよ。気持ちの上で、祈る時は手を合わせると落ち着くという方は、そうされてもよいと思います。
それよりも、お祈りをする時は、「おそれおそれ申し上げます」という気持ちで、頭を下げてお願いをするのが礼儀で、大切だと思っています。顔をあげたままお願いごとをするのは、神様に対して失礼かと思いますので。
高見澤 なるほど。実は先程、社殿に向かって顔をあげて微笑みながら「今日の取材、宜しくお願いします」とお祈りしたところでした……。ラフすぎましたね。今後は頭を下げて祈ります。
■願いごと、長々しちゃってもよいですか?
高見澤 ところで、祈りのささげ方で、何かポイントはありますか? あんまり長々とお願いごとを言うのは、欲深さを見透かされそうで躊躇してしまうのですが……。
宮司 まず神社には二通りあります。「氏神さま」と、「崇敬神社」です。「氏神さま」はその土地の神様です。必ず私たちは何かあったらまずその土地の神様にお伝えしたり、お願いします。その後、例えばお子さんの受験で合格祈願をしたいのでしたら、ご利益のある「崇敬神社」、天神様のようなところへお参りに行きます。
「崇敬神社」であれば、祈りのささげ方についても、いろいろと細かな決まりごとがある場合もあるのですが、日々お参りする身近な存在である「氏神さま」に対しては、これを言っちゃいけない、あれを言っちゃいけないというのはないんです。どんなことでもお伝えしてください。
高見澤 しょっちゅう参拝していると、育児の細かな心配ごとやら、些細な愚痴なども多くなってしまいそうですが……。
宮司 そういった大変な時こそ、ぜひ神社にお参りして、子供の成長のご報告と共に、産後の苦しい気持ちを神様に伝えてほしいですね。
高見澤 色々聞いて頂けるカウンセラー的な側面もあるとは……。意外でしたが、心がすっきりしそうですね。いろいろと、疑問が解決しました。ありがとうございます!
◇来週は「七五三」の気になるアレコレや、参拝時の気がかりパートⅡについて伺います。ぜひご覧ください。
池袋氷川神社(東京都豊島区)
「武蔵野国一ノ宮」の氷川神社(埼玉県さいたま市)と同系の御祭神をおまつりする神社で、旧「池袋村」の氏神さま。境内には富士山の溶岩で築造された「池袋富士塚」があり、全国からも参拝客が訪れる。毎年七月一日には「お山開き」が行われる。平成28年は「平成の大改修」が行われ、10月16日には完成を祝う神輿巡行を予定している。
イラストレーション/烏山ミライ
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高見澤恵美 Emi Takamizawa
LEEwebエディター・ライター
1978年、埼玉県生まれ。女性誌を中心に女性の性質や人間関係の悩みに迫り、有名無名千人超を取材。関心あるキーワードは「育児」「健康」「DIY」「観劇」など。家族は夫と4歳の息子。