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デンマーク発のオーディオ・ビジュアルブランド「Bang & Olufsen」100周年の展覧会に行ってきました

  • 神原サリー

2026.04.10

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Vol. #

127

Bang & Olufsen
表参道ヒルズ B3F スペース オーで4月12日(日)まで開催中の展覧会「Beautiful Sound and Design – バング & オルフセンが紡ぐ美しい音とデザインの100年」

6連のCDプレーヤーとして日本でも大ヒットを飛ばした「Beosound 9000」など、「見たことがある」「知っている!」という人も多いはずのデンマークのブランド「Bang & Olufsen(バング&オルフセン)」表参道ヒルズでは展覧会「Beautiful Sound and Design – バング & オルフセンが紡ぐ美しい音とデザインの100年」を開催中です。残り少ない会期となりますが、展覧会の様子を通じて、同社の歴史やこだわりのアイテムの魅力をご紹介したいと思います。

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6連のCDプレーヤーとして日本でも大ヒットを飛ばした「Beosound 9000」(1996年)

デンマーク北部で1925年に創業されたバング&オルフセン

Bang & Olufsenは、デンマーク北部のストルーアでピーター・バングとスヴェン・オルフセンによって1925年に設立されました。ふたりの創業者のイノベーションの精神は1世紀にわたってブランドに引き継がれ、卓越したサウンドと美しく洗練されたデザインが融合する、暮らしや空間に寄り添うプロダクトを生み出し続けてきました。

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Bang & Olufsen Japan代表 マーティン・ゴーディアン氏

今回の展覧会の会場では、ブランドを象徴するプロダクトであるレコードプレイヤーの盤面に見立てたレイアウトに、初期の1930年代から近年まで数々のプロダクトが並んでいて壮観。

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Beogram 4004(1972)。スピンドルの中心から外側に向けて線を描くデザインは、今回の展覧会の床のデザインとしても採用されています

元々は、農家で組み立てたラジオからその歴史が始まったバング&オルフセンですが、第二次世界大戦後のラジオ用真空管不足を受け、代替製品として1947年にドライシェーバーを発表。しばらくはラジオの代わりにシェーバーを販売することでブランドを維持していたそうです。会場には、同社の最も古い製品としてこちらのシェーバーが並んでいましたが、革のケースも併せて展示されている様子に、同社のデザインやものづくりへの愛着のようなものが感じられました。

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農家で組み立てたラジオから歴史が始まり、最新の技術によるサウンドシステムへ至ったブランドですか、第二次世界大戦後のラジオ用真空管不足を受け、代替製品として1947年にドライシェーバーを発表。これはそのころの製品で今回の展覧会で最も古いものとなっています
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これまでのあらゆるラジオ、テレビ、スピーカーなどのすべての製品は四辺すべてに枠が付いていたのに、上下のみに枠を残し、中央部の金属プレートが左右両端を側面まで貫くデザインが画期だったラジオ
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戦後に登場したラジオを含め、これまでの画期的な製品を集めたビジュアルが印象的でした

そしてやはり目を引いたのは、6連のCDプレーヤーとして日本でも大ヒットを飛ばした「Beosound 9000」(1996年)。洗練された革新的なデザインには、モーターで開閉するガラスカバー、タッチセンサー式のボタン、リスナーのお気に入りのアルバムを表示しながら数秒で曲とCDを素早く切り替えることができる最新技術が盛り込まれていたのですからすごいですよね。しかも縦置きだけでなく、横向きにして壁掛けとしても使えるところも素晴らしく、デザイナー、デイビット・ルイスの手腕に惚れ惚れとしてしまいます。

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ブランドの美学を体現する6名のデザイナーの一人、デイビット・ルイス

ブランドの美学を体現する6名のデザイナーたち

バング&オルフセンには各時代を象徴するデザイナーとプロダクトがあり、それを知ることでより理解が深まります。現在に近づくにつれて、知っているプロダクトが増え、それを生み出したデザイナーの思いや目指す方向性などがわかるのもこうした展覧会だからこそ。今回はブランドの美学を体現する6名のデザイナーたちの紹介と、代表的なプロダクトが順を追って展示されていたのがとても印象的でした。

中でも、私自身が気に入って愛用している円盤型のBluetoothスピーカー「BeoPlay A1」は、2016年に発売されてすぐに購入したもの。レザーのストラップが付いていて持ち運びしやすく、掛けて使うことも置いて使うこともできます。これを手掛けたのがデンマークのデザイナー、セシリー・マンツで、彼女はデザインを「日常のための機能的な芸術」と位置付けているとのこと。過度な装飾や誇張を避け、素材や構造、使い心地といった本質的な要素に丁寧に向き合うことで静かで明快なフォルムを生み出してきました。北欧の機能主義を基盤にしながらも柔らかな感性を通して生活空間に自然と溶け込む佇まいを生み出しています。

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1972年デンマーク生まれのセシリー・マンツは家具や照明、セラミック、オーディオ分野まで幅広い分野で活動しています

BeoPlay A1は現在もBeosound A1(第2世代)としてブラッシュアップされていますが、発売当初に10色以上のカラーバリエーションがあったBeoPlay A1は今でも人気があるようです

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セシリー・マンツのコードレススピーカー、Beosound A1用のスタンドをカリモクが手掛けたものも展示されていました

日本のクラフツマンシップとのコラボレーションも

バング&オルフセンが大切にするクラフツマンシップの精神と、日本独自の工芸技術が共鳴するプロジェクトが始動したということも、注目すべきトピックとしては見逃せません

1816年に新潟県燕市に創業した鎚起銅器の工房「玉川堂」とのコラボレーションでは、2つの表現を展開。ひとつはデンマークの国花マーガレットとも日本の菊ともとれるモチーフ、そしてもうひとつは波を想起させる模様が施された造形でそれが美しいスピーカーとして仕上がっています。佐賀県で300年の歴史を持つ名尾手すき和紙で仕上げられたスピーカーも深い味わいがあり、これから商品化されて世界に羽ばたく日が来るのを楽しみに待ちたいと思わされました

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玉川堂、名尾手すき和紙といった日本のクラフツマンシップの精神と、日本独自の工芸技術が共鳴するプロジェクトも始動しています

そのほかにもフルオーダーメイドのカスタマイズサービス「Atelier」など、音とデザインの可能性の限界を押し広げるブランドのクラフツマンシップが紹介されていて、次の100年に向かっての歩みに期待が高まる展覧会。会期は残り少ないですが、もしも足を運べる機会がありそうでしたらぜひ訪れてみてはと思います。

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ルイスポールセンのペンダントライト「PH5」も展示会場内を彩っていました。奥に見えるのは家具のようにどんな部屋にもカスタマイズして置けるアイコニックなスピーカー「Beosundo A9」
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5月に刊行予定のブランド初のコンセプトブック「バング & オルフセンの音とデザイン」(青幻舎)の先行販売も

※2026年4月12日(日)まで表参道ヒルズB3F スペース オーで開催中。11:00〜19:00、最終日のみ17時まで。入場料は無料



DATA

「神原サリーの愛しの家電語り」は、毎月2回更新。次回もお楽しみに!

●Info●
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神原サリー Sally Kamihara

家電ライフスタイルプロデューサー

新聞社勤務、フリーランスライターを経て、家電ライフスタイルプロデューサーとして独立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」べく、東京・広尾の「家電アトリエ」をベースにテレビやラジオ、雑誌やウェブなどさまざまなメディアで情報発信中。商品企画やコンサルティングの仕事も多数。

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