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【今月のおすすめ映画】『サンキュー、チャック』スティーヴン・キング原作×トム・ヒドルストン主演の珠玉作。他3本
2026.04.12
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折田千鶴子さん
映画ライター
兄は受験勉強が本格化。弟は部活(端艇部)も最終学年でさらに筋肉増強中。双子なのに違いすぎ!
『サンキュー、チャック』

スティーヴン・キング原作×トム・ヒドルストン主演の珠玉作
地球がもうすぐ滅亡する世界を背景にした終末映画にして、なぜか胸にぬくもりが灯る奇跡の味わいと感動に満ちた異色作。しかもS・キング原作と聞くとホラー映画かと思いきや、『スタンド・バイ・ミー』『ショーシャンクの空に』などもあったと納得。トロント国際映画祭で観客賞受賞の、これぞ今、私たちが求める魅惑のヒューマン・ミステリーだ。
各地で自然災害が頻発しネットもつながらず、職場を放棄する人が続出。世界は終末に近づいていた。そんな中、番組が消えたテレビやラジオ、または街頭の看板に「素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という広告が現れ始める。だが誰もそのチャック(トム・ヒドルストン)を知らない。そんな折、高校教師マーティ(キウェテル・イジョフォー)は、看護師をする元妻(カレン・ギラン)が絶望で自殺を図る人々の対処に疲れ切った様子に心を痛める。翌日は電話も不通になり、マーティは彼女 が住む町に向かって歩き始める。果たして道中でも名前を見かけるチャックとは何者か。39年の意味は?
粛々と日常を保とうとするマーティと元妻が〝優しさとつながり〟を求め合う姿は、私たちに東日本大震災のときのことを思い出させもする。その後に訪れたコロナ禍について、’20 年に発表された原作を読んだマイク・フラナガン監督は、「ロックダウン直後、誰もが日常から切り離され、どこか黙示録的な空気の中に放り込まれた」と語る。当時を身をもって知る私たちは、とても絵空事と思えない。そんな滅亡寸前の世界から少し時計が逆回転し、アタッシェケースを持ったチャックが登場。いかにも〝まじめな堅物〟に見える彼が、路上のドラム演奏に導かれ、リズムを刻み、抑え切れない体で踊り出すシーンに心奪われる。若い女性も飛び入りするその躍動感あふれるダンスシーンは、続々と詰めかける通行人同様に、私たちをワクワク高揚させる。
さらに時はさかのぼり、この好紳士チャックが、どんな人生を歩んできたかが綴られていく。つらい運命にさらされた少年チャック。それでも彼はじっと目を凝らし、自分を見失わず、小さな希望を見いだしながら周囲の人々とつながり、愛を育んでいく。祖母から踊りを教えられるシーンに始まり、何気ない多様なエピソードやいろんな人と交わす会話や詩などすべてが有機的に絡み合い、いろんな謎をゆっくりと解いていく。最後「なるほど、そういうことだったのか」という納得とともに、静かに感動が湧き上がってくる。彼が通り過ぎずに立ち止まり、踊り出したように、私たちは心ときめくことにもっと自由で敏感であるべきなのだろう。たとえ悲しい予感に包まれても、先に何が起こるかを検知できたとしても、今を生きること、その瞬間を大切にする尊さを心に握りしめさせてくれる。
『アベンジャーズ』シリーズのロキ役で知られるトム・ヒドルストンが本当に素敵! ちなみに登場するいくつかのダンスシーンは、『ラ・ラ・ランド』の振付師が担当というのもうれしい。
5月1日より全国公開
『ARCO/アルコ』

ナタリー・ポートマン製作総指揮
CHANEL協賛のSFファンタジー
気候変動が進んだ2075年。10歳の少女イリスは、虹色の謎の物体が空から落下するのを目撃する。好奇心旺盛な彼女は落下地点へと急ぎ、タイムトラベルが可能な虹色スーツで未来から不時着した、少年アルコと出会う。イリスは、未来へ戻る手がかりを探す彼の手助けをしようとするが、そんな2人を三つ子の怪しい男たちがつけ狙うように追いかけ……。近未来を舞台に、両親が忙しくて孤独を抱える少女と、未来に帰ろうとする少年が繰り広げる友情、奮闘と冒険にワクワクを禁じ得ない。すでに各賞を受賞、アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネート。
4月24日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにて公開
『ハムネット』

『ノマドランド』のクロエ・ジャオ最新作。名作に隠された悲劇とは
名作戯曲『ハムレット』誕生の陰に秘められし悲劇を描く。1580年、英国の小村で薬草の知識と神秘的な力を持つアグネスは、貧しいラテン教師ウィリアム・シェイクスピアと惹かれ合う。結婚して3人の子どもが生まれるが、ウィリアムはロンドンに出て演劇のキャリアを模索し、アグネスは土地を離れず家庭を守っていた。だがある日、一家に大きな悲劇が訪れ、夫婦の絆が試される。妻アグネスを中心に据えたことで、初めて知るシェイクスピアの姿に興味津々。腹の底から噴き出すような涙は、さすがジャオ監督! アカデミー賞主演女優賞を受賞。
4月10日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国公開
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配信 CINEMA&DRAMA
『歌うたい』

心にしみる歌声に痺れる濃密な18分
場末のバーで、持ち金のない男のひと言により100ドルとビールを賭けた〝歌合戦〞が始まる。人生に疲れ切ったような男たちが、空気をビリビリ震わせ、魂を揺さぶる歌声を響かせるまさかの展開に、思わず鳥肌を立てて聴き惚れてしまう。しょっぱい人生を送ってきたからこそ、悲哀や味や深い物語があるのかと圧倒される。歌う者のみならず耳を傾ける男たちの姿にもジワジワ感動。タバコの煙が漂う狭い空間に、いつしか労わりと連帯の空気が生まれる終盤、心が震えて落涙。アカデミー賞短編映画賞を受賞。
Netflix映画『歌うたい』独占配信中
Staff Credit
イラストレーション/SAITOE
こちらは2026年LEE5月号 (4/7発売)『カルチャーナビ』に掲載の記事です。
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