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作り手の審美眼が息づく質感とフォルム

「木のオブジェ」木の美しさをのびやかに表現する小山剛さんの作品【石井佳苗さんのインテリア名品】

  • 石井佳苗

2026.02.28

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連載

KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items

スタイリスト

石井佳苗の「インテリア名品」

テイストの変遷や引っ越しを重ねても、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、木の美しさをのびやかに表現する小山剛さんの作品について。

石井佳苗さん

石井佳苗さん

Kanae Ishii

スタイリスト

雑誌や書籍、広告など多分野で活躍するインテリアスタイリスト。住まいづくりの感覚を磨くヒントを綴った著書『Heima』(扶桑社)も好評。オンラインレッスンは今年で7年目。

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32.

[オブジェ]Objects

木のオブジェ

Woodworker:Go Koyama
小山 剛
Item:Wood sculpture
木のオブジェ

木の温かみがありながら、軽やか。繊細な手仕事に圧倒される彫り跡

小山剛さんの作品に出会ったきっかけは、友人に「知り合いの木工作家が個展を開くから」と誘われたことでした。目にした瞬間、どこか不思議な魅力に惹かれてしまった記憶があります。

その後、友人の紹介で工房を訪ねる機会があり、創作現場を見せてもらえたのも幸運でした。彼の作り方は、本当に独特。ノミなどの手持ちの道具を使って、木のかたまりをひと彫りずつ形作っていくというスタイルです。どれも作品の表面はつるりとしているのですが、これもやすりがけはしていないそう。ノミやカンナで、この驚くほどのなめらかさを出している。よく見ると彫り跡が確認できますが、そのわずかな痕跡を確認するたび、作品を生み出す緻密な手仕事が想像されて、ハッとします。実際に制作現場を見せてもらったことで感動し、その後個展に出かけて手に入れたのが、自然な木目が美しい、左ページの作品です。

木のオブジェは温かみがあり、インテリアになじむのが長所。もちろん小山さんの作品もそう。ただ、ほかのものと違うのは、高い審美眼によってそぎ落とされたフォルムや表面感ゆえに、静謐でモダンに感じられるところ。やや温度が低いというか、軽やかな浮遊感があるんですね。それでいて、徹底した手仕事で仕上げられているという驚くほどの熱量も。その相反するように見える個性が両立しているところが彼の魅力であり、私がずっと作家として注目している理由でもあるのです。

揺らぎのあるこのフォルムも、木のかたまりからノミを使って彫り出されている。

「ごくミニマルな形なんですが、不思議と目が離せない」と石井さん。揺らぎのあるこのフォルムも、木のかたまりからノミを使って彫り出されている。「木工作家さんの作品は食器などの実用的なものが多いけれど、小山さんは初期の頃からオブジェも作り続けていたのが興味深かったんですよね」(石井佳苗さん)

細長い楕円形リングのオブジェ。壁に掛けたり、立てかけるだけでも絵になる。

細長い楕円形リングのオブジェ。壁に掛けたり、立てかけるだけでも絵になる。「表面の彫り跡は、見たり触ったりしているだけでも温かい気持ちになるんです」(石井佳苗さん)

Woodworker:

Go Koyama

Japan, 2010〜

シンプルな空間でこそきわだつ、作り手の審美眼が息づく質感とフォルム

こちらのオブジェは、石井さんが初めて訪れた個展で手に入れたもの。虫食いの跡までも美しく見せる、木の存在感が圧巻。

1983年新潟県生まれ。飛騨国際工芸学園で木工の基礎を学ぶ。谷進一郎氏に師事したのち、家具職人として活動。2013年に作家として初個展を開催し、好評を得る。こちらのオブジェは、石井さんが初めて訪れた個展で手に入れたもの。虫食いの跡までも美しく見せる、木の存在感が圧巻。「小山さんは、作品作りに使う道具まで、自分でこだわりをもって自作されているんですよ」(石井佳苗さん)

猫

Staff Credit

撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2026年LEE3月号(2/6発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。

石井佳苗 Kanae Ishii

インテリアスタイリスト

「カッシーナ・イクスシー」にて10年間勤務後、独立。雑誌や書籍、広告など多分野にわたる活躍で知られる。住まい作りの感覚を磨くヒントを綴った近著『Heima』(扶桑社)も好評。初心者にもわかりやすいオンラインレッスンも行っている。

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