あなたは大丈夫?【デジタルデバイス依存度チェック】デジタルデバイスの使用が起こす、脳への悪影響について脳科学者が解説!
2026.02.13
今度こそ挫折しない!
親子で始めるデジタルデトックス

今やインフラとも呼べるスマホやPC。でも使いすぎやその弊害も気になる今こそ、“あえて”距離をとる生活してみませんか? 自分にとって適切な使用時間や使い方を身につけることで、人生がさらに豊かに、充実する可能性大!
脳科学者が解説!
デジタル習慣が脳に与える影響とは?
スマホの過度な使用が眼や姿勢に悪影響を与えるのは言わずもがなですが、脳にも深刻な影響を及ぼすことが科学的に明らかに!?
あなたは大丈夫?
デジタルデバイス依存度チェック

「『スマホ依存症』という言葉はよく聞かれますが、アルコールや薬物の依存症とは違い、正式に病気としては認定されておらず、医学的な基準はありません。どの程度を使いすぎとみなすかは個人差があるため一律に『○時間』とは言えず、依存か否かを見るには時間よりも『状態』がわかりやすいです。下の3つの状態が1つでも当てはまれば、依存度が高いと言えるでしょう。こうした状態が見られたら、すぐ対策を始めることをおすすめします」
Check List
☑︎ 使う時間を自分でコントロールできている?
いつの間にか何時間も“溶けて”しまい、仕事や生活に差し支えているなど
☑︎ 生活の中で優先度が高くなりすぎていない?
ほかにやるべきことがあるのに手放せなかったり、常に気になってしまうなど
☑︎ 心身に悪影響が出ていない?
SNSを見て落ち込んだり、肩や首のコリもひどく疲労感が抜けないなど

教えてくれたのは…
榊 浩平さん
医学博士
東北大学応用認知神経科学センター助教。博士(医学)。人間の「生きる力」を育てる教育法の開発を目指し、実験で得られた結果と教育現場をつなぐ取り組みも行う。著書に『スマホはどこまで脳を壊すか』(朝日新書)がある。
スマホに頼りすぎると脳が衰えていくのは必然
「スマホをはじめとしたデジタルデバイスは、人間にラクをさせるための道具。言い換えると、デジタルデバイスは脳の働きを肩代わりしてくれるものです。脳は筋肉と同じで、使えば使うほど成長しますし、使わなければ衰えます。デジタルデバイスを見てばかりで脳、細かく言うと前頭前野(下記参照)が使われなくなると、子どもの場合は脳の発達が阻害され、大人の場合は認知症のリスクが高まる可能性も指摘されています。また、使用時間が長くなることで運動不足や睡眠不足を招き、病気につながる恐れもありますし、SNSは劣等感を抱かせ幸福度を下げるという研究も。便利さや楽しさを享受するはずが、むしろ多くのデメリットがもたらされてしまいます。
この時代に、デジタルをまったく使わないオフライン生活は難しいでしょう。ですがちょっとした工夫で、見ない時間を増やすことはできます。ぜひご自身とお子さんの未来のために、オンライン習慣を見直すべくデジタルデトックスを始めてみてほしいと思います」
デジタルデバイスの使用が起こす、脳への悪影響
スマホを見ているとき、私たちの脳内ではどんなことが起きているの? なぜ依存傾向に陥ってしまうの? そのメカニズムを解説。
報酬系への影響
短時間で急激な快楽を得ることで、依存性が高まる
「脳には『報酬系』と呼ばれる神経回路があります。私たちが『うれしい』『楽しい』と感じるとき、その回路ではドーパミンという神経物質が分泌されて快感が起こります。それはやる気や意欲の元ともなるので、報酬系が刺激されること自体は悪いことではありません。ですがSNSやゲーム、動画等で得られる快感は、短時間で現実では起こり得ないほどの強烈な快感をもたらします。こうしたことが続くと徐々に快楽に対する『耐性』がついてきて、さらに強い刺激を求めるように。それがアクセルとなり『もっともっと』と依存につながります」
前頭前野への影響
記憶力や認知能力、自分をコントロールする力に影響が
「前頭前野とは脳の前側、ちょうどおでこの裏あたりにある領域。思考や理解、感情のコントロールやコミュニケーションなどいわゆる『人間らしさ』を司る部分です。スマホやタブレットをはじめ、何であれデジタルデバイスの画面を見ているとき、読書などのアナログな行動と比較して、前頭前野の活動が低下することがわかっています。デジタルデバイスを見る時間が長い=前頭前野が使われないことが多いということになり、感情をコントロールしたり状況に合わせて行動を選択するのが難しくなったり、学力低下などのリスクも生じます」

前頭前野は、状況に合わせて適切な行動を選択させるブレーキのような役割も果たす。活動が低下するとその力は弱まるのに対し、報酬系のアクセルは強まっているためにブレーキがききづらくなり、依存状態になるという負のスパイラルに陥る。スマホやインターネットへの依存度が高い人ほど、注意欠陥、抑うつ、敵対心などの傾向が高いことがわかっている。
⬇︎
脳のアクセル(報酬系)と脳のブレーキ(前頭前野)のバランスが崩れることで、デジタルデバイスへの依存がさらに加速!
デジタルデバイスに依存した脳を立て直すには?
とにかく「スマホを見ない時間を増やすこと」が肝心。子どもと大人、それぞれの脳の状態に合わせた方法を見てみましょう。

子どもと大人では脳の状況が異なります
「見る、食べる、動くなど生きるうえで基本的な身体活動を司る脳の低次機能は早い段階で発達のピークに達するのに対し、前頭前野は脳の中でも発達がゆっくりな領域。乳幼児期は本格的な発達に入る前であり、自分をコントロールすることが難しいため、この時期は本来ならデジタルデバイス使用はゼロがベストです。小学校低~中学年もまだ未発達で、小学校高学年から20歳頃にかけて少しずつ成熟していきます。つまり前頭前野の成長の黄金期である10代が『自分をコントロールする力』を養う最適な時期。この先も適切にデジタルデバイスを使えるかは、10代にきちんとトレーニングを積んで前頭前野を育てられるかが大きくかかわってきます」
子どもの場合
デジタルデバイスの使用に関するルールを、家族で決めて、家族で守る
「子どもはいい意味でも悪い意味でも発達途上。やり方次第でこの先どのようにも方向づけができます。病気においては『予防は一番効果の高い治療法』と言われますが、これはスマホ依存にも当てはまることで、オンライン習慣が定着する前にぜひ予防を心がけてほしいです。そのためには、子どもの時期から『ルールを決めて守る』というトレーニングを積んでいくことが大事。子どもだけに守らせるのではなく、家族みんなで取り組むこともポイントです。また、スマホの時間を“ただ減らす”というのは難しいので、代わりに親子でのかかわりを増やしたい。日常的には運動や工作、読書などもいいですし、親子で脱スマホキャンプ等に参加するのもおすすめです」
ルール作りのPoint
1 親がルールを押しつけずしっかり話し合うこと
「親が作った決め事を一方的に押しつけるのでは、子どもの反発を招きます。子どもと話し合いながら落としどころを探しましょう。子どもが『自分で作ったルール』という意識が持てると、守ろうとする行動につながります」
2 子どものルールを作るのではなく、家族のルールを作ること
「子どもにはルールを課すのに『大人はいいの』では子どもも納得いかないでしょう。『家族みんなの約束』として、親も一緒に守るようにしてみましょう。親自身のデジタルデトックスにもなり、みんなにいい影響があるはず」

大人の場合
デジタルデバイスから離れる“仕組み”を作る
「大人の脳はすでに成熟しているため、自分の意思のみでスマホ使用をコントロールする力は“頭打ち”と言ってもいいでしょう。それゆえ、意思に頼るのではなく“仕組み作り”に軸をおいて。仕組みとは『必要な情報にはこちらからアクセスする』ための仕組みです。例えばアプリの通知はすべてオフにしておく、アプリアイコンはトップ画面ではなくアプリライブラリに収める、といったことです。『つい手に取ってしまう』を減らすには、アプリを開くまでの手間を増やすのが有効。『めんどくさいな』と感じられたら成功です」
榊さんが実践しているTips
1 アプリはすべてライブラリに収納
「スマホのホーム画面にあるアプリは、カレンダー、地図、設定のみ。それ以外はホーム画面を一番右までスワイプした場所にある『アプリライブラリ』へ集約。アプリを起動する手間を増やし、スマホを触るハードルを上げます」
2 SNSを見るときは“目的ありき”。必要なときはパソコンで
「情報収集などでSNSを見る必要があるときも。その程度であればアプリは不要で、見たいときだけパソコンからログインして見ます。これなら次々流れてくる目的外の投稿をつい見てしまう、ということもありません」
Staff Credit
イラストレーション/akisa yagi 取材・文/遊佐信子
こちらは2026年LEE3月号(2/6発売)「親子で始めるデジタルデトックス」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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