料理や食材によって塩を変えてみよう!
前回、『塩屋(まーすや)』のソルトソムリエ片野晃さんから、塩についての基礎知識を学びました。味見させてもらうと、ひとつひとつが個性的で、こんなにも味が違うものかと驚きました。今回はより具体的に食材や料理に合った塩を提案してもらいます。
テイスティングコーナーでいろいろ試して、私が購入してきたものがこちらです。岩塩、海水塩、藻塩など、産地も国内外いろいろなところのものを選びました。塩屋オリジナルの合わせ塩も便利そうです!これでお料理の幅も広がるかな?
肉に合わせたいしっかり塩味の大粒の塩
肉の旨みを引出しながら、喉を通るまで美味しさを感じさせる塩は、大きめの粒のしっかりしょっぱい塩だそう。片野さんがおすすめしてくれたのは、ボリビアの岩塩『ローズソルト』。粗い粒でサラサラしています。
この岩塩のピンク色は酸化鉄の鉄分に由来するものです。そして、牛肉自体も鉄分を多く含んでいるのですが、この鉄分同士が手をつなぐことで、旨みがワンランク上がるのだとか。「これをソルトソムリエ界では同化の法則と呼びます」と片野さん。
魚には粒が大きめのまろやかな塩がピッタリ
魚介類、特に刺身におすすめしたいという塩が、能登の『わじまの海塩』。肉同様に咀嚼回数が多い刺身には、粒が大きめの方が合います。父娘で手作りの特殊な設備を使って作られるこの塩は、だしのような旨みが広がるのだとか。マグネシウム分が多いけれど、苦味が強くないという不思議な塩。
片野さんは「地産地塩と言って、食材が取れた場所の塩が相性がいいという法則もあるので、ぜひ日本海のお魚をこのわじまの海塩を合わせてほしいです。11月頃には石川県でとれた寒ブリをこの塩で食べると最高ですよ!」と話します。
野菜の天ぷらを味わうための、きめ細かな塩
天ぷらには、さらさらとしたパウダー状の沖縄の『うるわしの花塩』が最適。口の中でさっと溶けて、衣の油っぽさだけを飛ばして、衣の中の素材の味を引き立ててくれます。この塩の特徴はサンゴカルシウムを配合していて、湿気に強いところ。味はまろやかな甘みのあとに乳酸のような軽い酸味があるので、天ぷらのほかにも乳製品との相性もいいそうです。塩なのに不思議!
野菜にはフランスで有名なカマルグを
野菜にはしょっぱ味がまろやかで粒が小さめの塩を選びます。フランスはプロバンス地方の塩、『カマルグ・フルール・ド・セル』。フルール・ド・セルとは、フランス語で「塩の花」という意味です。最初に塩が結晶化する時に花が咲いたようにふわっと結晶化することから名づけられました。
日本で有名なフランスの塩といえば、ゲランドですよね。パリで修業した日本人シェフやパティシエがゲランドを使っていたため、日本に戻ってからも使い慣れたゲランドを使うことが多く、有名になったそうです。でも、フランス人の中で人気が高いのは、実はカマルグの方なんだとか。蓋のラベルにはパデュリエと呼ばれる塩職人の名前が入っていて、現地ではパデュリエによっても人気が分かれるくらい、塩通がいるそうです。
カマルグを使って、菜の花のペペロンチーノを作ってみました!菜の花の苦みをコクのある旨みに変化してくれるのがカマルグ。確かに、菜の花の味はしっかりするのに特有のえぐみを感じず甘みも感じられます。菜の花をゆでる時にも、この塩を使ったところ、緑色がきれいに発色しました。あえてコショウも使わずに、オリーブオイルとこの塩のみでの味付けでしたが、最後まで飽きずに美味しく食べられました。
いかがでしたか?本当にいろんな塩があってまだまだ奥が深そうです。和洋問わず、塩は活躍の場が広いことがわかりました。せっかく多くの塩を手に入れたので、活用したいと思います。「肉を焼いただけ、卵を焼いただけ…」というシンプルすぎるメニューでも、塩次第でごちそうに変身してくれそう(笑)。みなさんもぜひ、お試しあれ!
『塩屋(まーすやー)』公式サイト→http://shop-ma-suya.jp/
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上紙夏花 Natsuka Uegami
ライター/ビューティープランナー
1977年、大阪府生まれ。吉本新喜劇の女優を経て、ライターに。現在は化粧品の商品開発やPRを手掛けるほか、ベビーマッサージ講師としても活動している。夫・息子9歳、3歳