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KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねても、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、骨董市での出会いをきっかけに魅力に気づいた、古い漆器のお話。
file
31.
[骨董]Antique

Made in: Japan
Item: Old lacquer ware
古い漆器
小物を入れたり、お盆は敷いたり……実は気軽に取り入れられる、和のアクセント
漆器を取り入れるなら、実は食卓よりもインテリアのほうが気軽なように思います。
私が初めて気負いなく漆と向き合えたのは、確か20代の終わり頃。都内の骨董市で、茶托ほどの小皿を見つけたときでした。
それまでは、漆器といえばお正月に登場する特別な器のイメージ。当時の私には、どこか手に余る存在にも感じられました。ところがそのとき、手にとった古い小皿はなんだか親しげな表情。ふと思い浮かんだのは、料理を盛られた姿ではなく、アクセサリーなどの小物を載せられて、部屋にちょこんと置かれた様子でした。
それ以来、「漆器は奥深いけど難しくない」と気づき、都内の骨董市や旅先の骨董屋さんなどでも、こまめにチェックするアイテムに。古い漆器は手頃な価格のものが多いのもいいんですよね。土地それぞれで、おもしろい掘り出し物に出会えるのもまた、楽しくて。
古い漆のよさは、新品時代のつややかさがいい感じに沈んでいるところ。金箔も輝きが落ち着いて、しっとりなじんでいます。奥ゆかしい絵柄のかわいさにうれしくなったり、大胆でグラフィカルな文様のモダンさにハッとしたり。昔の名もない職人さんたちが持つ高い美的センスには、あらためて驚かされます。
漆器をインテリアに取り入れるなら、「余白」を意識して。アクセサリーを入れるにしても上に何かを置くにしても、絵や文様がさりげなく見える量に抑えるのがポイントです。

飛騨高山で見つけた盆は、珍しい緑色。「大胆な菊の文様が素晴らしい。同じく和の空気とモダンな魅力を併せ持つ、額賀章夫さんの照明と合わせると、その一角だけ凛と空気が変わります。お盆でもお皿でも、ものを置くときは文様が引き立つように位置を見極めて」(石井佳苗さん)

京都のお気に入りの骨董店「三髭堂」で購入。「こちらは大胆な市松模様。昔の日本人の文様の使い方は鮮やかで感心させられます」(石井佳苗さん)。それぞれ形の違うお香類も、漆の文箱に入れれば端正に。
Item:
Old lacquer ware
Japan
大胆な文様や奥ゆかしい図案を楽しみながら、小さなものからコレクション

意外にもお部屋にも取り入れやすい漆器。お盆はオブジェや照明の台座感覚で敷いたり、食器に小物を入れたりと自由な発想で使ってほしいそう。「また、漆は土地により質感などに特徴があるのも興味深いですよね。まるで旅の思い出を集めているみたい。漆器は割れづらいし軽いので、自分へのおみやげとしてもちょうどいいんです」(石井佳苗さん)。上から時計回りに、盛岡、金沢、京都、鎌倉にて出会ったもの。

Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2026年LEE1・2月合併号(12/5発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。
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