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【ガソリン税の暫定税率が廃止!】2025年12月31日からどう変わる? 価格は下がる? 消費経済ジャーナリストが解説

  • 松崎のり子

2025.12.09

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2025年12月31日でガソリン税の暫定税率が廃止へ

2025年12月31日でガソリン税の暫定税率が廃止へ ガソリンスタンドイメージ画像
松崎のり子さんマネー連載

物価高対策として野党が求めてきたガソリン税の暫定税率の廃止が、いよいよ実現しそうです。
この暫定税率とはなんでしょうか。元々は1974年に2年間の臨時措置として、道路を作る財源として導入されたものですが、その後は一般財源となり、これまで残り続けたのです。

ガソリン税本体の税率は、1ℓ当たり28.7円で、そのうえに25.1円の暫定税率と石油石炭税2.8円が上乗せされています。しかも、この合計価格に10%の消費税がかかっているという、異常な二重課税状態なのです。

暫定税率が廃止されればガソリン価格は25.1円下がるはずですが、政府はこれまで廃止ではなく1ℓ当たり10円の補助金を出すという方針でした。今回、ようやく廃止が決定しましたが、ガソリンの買い控えが起きないようにと、廃止期限である年末までは段階的に補助金を拡充する方針です。ガソリンに対する補助金は2025年11月27日以降は20円ですが、12月11日以降は25.1円(いずれも1ℓ当たり)で、12月31日の暫定税率廃止とともに、この補助金も終了します。
なお、軽油にかかる暫定税率は、ガソリンより遅れて2026年4月1日に廃止される予定です。

税収の穴埋めをどうするかが課題に

2025年12月31日でガソリン税の暫定税率が廃止へ 車でお出かけイメージ画像 松崎のり子さんマネー連載 

暫定税率の廃止によって、ガソリン価格が下がることは確かでしょう。報道によると、「車での移動が多い地方での恩恵が大きく、都市部ではそれほどではない」という説もありますが、そうでしょうか。
ガソリンや軽油の価格が下がれば、物価高の原因として必ず取り上げられる「輸送コスト」の軽減につながるでしょう。配達に関わる業者や、介護事業など送迎を伴う事業者の負担軽減など、都市部であってもメリットを受ける人は多いのではないでしょうか。また、ガソリン価格が下がれば、車で旅行やレジャーに出かける機会が増え、消費を盛り上げるというプラス影響も期待されます。

ただ、心配な面もあります。暫定税率の廃止によって年間で約1.5兆円の税収が消えてしまうといわれているからです。特に地方自治体には大きな税収減になると懸念されています。その穴埋めをどうしていくかはまだ結論が出ていませんが、その方法として新たな税金が導入されるようでは本末転倒でしょう。高市政権のかじ取り、いえハンドルさばきが早々に試されることになりそうですね。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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