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ライター石井絵里がおすすめ!

【今月のおすすめ本】田内 学『お金の不安という幻想』、山脇りこ『歩いて旅する、ひとり京都』他2編|2025

2025.12.02

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今月の注目情報をお届け!

石井絵里さん

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石井絵里さん

ライター

何年かぶりにコンビニでチョコを買おうとしたら高くて仰天! というかデフレ時代が長すぎましたね。

『お金の不安という幻想』
田内 学 ¥1650/朝日新聞出版

令和のマネーに対するモヤり、恐れを解く、ヒントが満載!

『お金の不安という幻想』田内 学 ¥1650/朝日新聞出版

私が中学1年生の夏頃に、バブル経済が崩壊しました。ということは、小学校の高学年の間、世は札束とともにウェイウェイとしていたわけで。化石や恐竜に憧れてた私には何の恩恵もなかったものの、近所の竹やぶから億単位の現金入りバッグが見つかった、授業中に先生が「株買ってるんだ」と語り出したなど、ギラついた時代の記憶はあります。一方で「キミたちは最高に恵まれた時代の子どもだから、お金に流されず謙虚に生きろ」と言われて困惑したことも。でも私は、あぶく銭文化に翻弄される大人がうらやましくて。「ボディコン着てディスコで踊りたい」と父親(昭和の猛烈サラリーマン)に話したら、相手にされなかったっけ。思えば同級生の親たちも、24時間戦えますか?と煽られてました。だがその後、日本は失われた30年に突入。

そして令和の今、お金は不安と直結するものに。今月の1冊はそんな現代のマネーにまつわるモヤモヤの正体を説明し、どう向き合うといいのか?を考察する新刊。物価高や老後資金と、考えねばならぬお金問題が山積み。そのうえ子どもたちも「お金を稼げない=ダメ人間」と、物事の判断基準をお金のある・ないで決めてしまいやすい環境に。著者の田内さんは外資系金融会社でトレーダーをしていた、経済と投資のプロ。プロだから言える、昨今の投資ブームの危うさ。物事の“価値”について、多くのエピソードを出しながら、お金より大事なのは仲間であることなどの解説も。若い世代は投資される側であり、金銭以外の判断基準を持ち、人間の能力を社会で育むべき、という視点には説得力があります。 

「つみたてNISAは、クレカ引き落としでポイントがつく証券会社がお得か?」と、今日もちまちましたことに翻弄されている私。でもお金だけで人は幸せになれないよ、とあらためてプロに言われてほっとしたのは確か。幸せや豊かさを考え直すきっかけをくれました。家族で読み、お金の価値観を考えるのにもぴったりです!

『歩いて旅する、ひとり京都』
山脇りこ ¥1430/集英社

『歩いて旅する、ひとり京都』山脇りこ ¥1430/集英社

50歳を間近に控えた頃から、一人旅を楽しむようになった料理家・山脇さん。人気の京都を中心に、大阪、近江八幡などの関西エリアをマイペースに回るエッセイ。軽やかな文章の中から、一人でも満足感が味わえるお店やスポットなどを多数紹介。読み物として山脇さんの旅の世界観を味わうもよし、お出かけのガイド本として使うもよしと、いろいろな読み方ができそう!



『カウンセリングとは何か』
東畑開人 ¥1540/講談社

『カウンセリングとは何か』東畑開人 ¥1540/講談社

臨床心理士・公認心理師の著者が、これまで療法の種類別に語られがちだったカウンセリングの成り立ちや、それぞれの特徴をまとめたうえで、現代の心理学を深掘りする1冊。「話を聞く」だけがカウンセラーの役割ではないこと、臨床心理学で人間の心を変え整える目的についてなど、数々の問いが。カウンセリングを利用してみたい人にとっても、よい手引きになる!

『スウスウとチャッポン』
文・くどうれいん 絵・コンドウアキ ¥1430/白泉社

『スウスウとチャッポン』文・くどうれいん 絵・コンドウアキ ¥1430/白泉社

エッセイ『湯気を食べる』が第12回料理レシピ本大賞【料理部門】に入賞した、くどうれいんさんと、「リラックマ」の生みの親として活躍するコンドウアキさんがコラボ絵本を制作。掃除機のスウスウと、バスタブのチャッポンが毎日の仕事に不満爆発! 家出をして外の世界を大冒険。二人はどうなってしまうのか⁉


Staff Credit

イラストレーション/SAITOE
こちらは2025年LEE12月号(11/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

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