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KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねても、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は、最近あらためて魅力を感じている、あの名作照明について。
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30.
[照明]Lamp

Brand: Louis Poulsen
ルイスポールセン
Item: PH Lamp
ペンダントランプ「PHランプ」
そこに存在するだけで美しい、綿密に設計された光と唯一無二のデザイン
ルイスポールセンのPHシリーズの秀逸なデザインは、やはり特別。特にペンダントランプは、ダイニングやリビングの照明として人気です。その個性的なフォルムがアクセントになり、空間がぐっと引き締まります。
定番中の定番なだけに、あらためて購入とはなりにくかったのですが、数年前、心奪われたのが「PH 5 リテイク」。2023年にLEEの取材で訪れたコペンハーゲンの発表会で出会い、今年、日本にも上陸したと聞いて、すぐに手に入れました。
まず目を引くのが、味わい深いシェードの質感です。こちらは、主に塗装不良等、生産工程で通常出荷できなかった(ただし機能的には問題がない)PH 5の塗装を剥離し、一点ものとして作り替えた品。素地のアルミやスチールが独特なニュアンスで現れています。素地のため、くすみやさびが出ることもある。けれど、そこにこそ私のような“経年変化好き”は魅力を感じてしまうわけです。
ちなみに、わが家の寝室の照明は白いガラス製のPH 2/1。長く愛用しているのですが、今年ロサンゼルスのギャラリーで黄色の小さなヴィンテージものを目にして以来、カラーガラスの可愛さを再認識。そこからこぼれる光がまた美しいのです。
ビジュアルの話ばかりになりましたが、ルイスポールセンの照明の素晴らしさは、どのデザインも配光が綿密に計算され、まぶしさを感じさせないところ。まさに、機能あってこその名作、と納得します。

サイズの異なる吹きガラスシェードを重ねた美しいバランス。「ピンク色もルイスポールセンが手がけると、こんなに上品。真鍮のゴールドをきかせた大人好みの可愛らしさです」(石井佳苗さん)

石井家の寝室を照らすのは白のガラス製PH 2/1。「心も休めたい寝室には、ガラス越しの柔らかな光がぴったり。“灯していないときにも美しい”が私の照明選びの条件です」(石井佳苗さん)
Designer:
Poul Henningsen
Copenhagen, 1925〜
一つひとつ風合いが異なる素地の表情が愛おしい

“光の巨匠”とも称されたポール・ヘニングセンの手によるPHシリーズは、ブランドを代表する照明のひとつ。「リテイク」は、リサイクルとアップサイクルへの信念から、デンマーク本国で2021年よりスタートした試み。日本では今年から発売開始に。

Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2025年LEE12月号(11/7発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。
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