LEE COVER INTERVIEW
北川景子さんの「Day & Night」

光り輝くような美しさと、誠実でひたむきな人柄で、私たちを魅了し続ける北川景子さん。明るくにぎやかなプライベートの近況からダークな世界に飛び込む難役に挑んだ最新作への思いまで、多彩な表情でまっすぐな言葉を届けてくれました!
Profile 北川景子さん
きたがわ・けいこ●1986年8月22日生まれ。兵庫県出身。2003年、 雑誌『SEVENTEEN』でモデルデビューし、俳優としても活動開始。 以降、幅広い分野で大活躍。近作にドラマ『あなたを奪ったその日から』等。現在、NHK連続テレビ 小説『ばけばけ』に出演中。出演映画『未来』が2026年5月に公開予定。
Day
“親歴5年”、自分なりにリズムをつかめた気がします

吸引力絶大な表紙のニットコーデに、本特集のラフ&シックなスタイル。すべてをスマートに着こなし、それぞれの世界観を創り上げてくれた北川さん。
「私の中の今回のテーマは、〝大人のカジュアル〞。親近感のあるスタイルを、小物やメイクのひと工夫で進化させる提案ができたら、と考えながら撮影に臨みました。マイブームの、バーガンディ色のアイテムを着られたのもうれしかったですね。スタッフさんと話し合いながらページを作っていく雑誌の現場が、私、とても好きなんです」
「今年は、序盤からドラマ『あなたを奪ったその日から』の撮影があって。エネルギーは必要だったものの、いい作品にかかわれていることを実感できて充実していました。実は、子どもが二人になってから初めての連ドラで心配だったんですが……上の子が下の子の面倒を見てくれるようになったり、周りの力も借りるようになったりして、『あれ、意外と大丈夫かも?』って。もちろん、これまでにはうまくいかない時期もあったし、これからもあると思うけれど、親歴5年になった’25年は、自分なりにリズムをつかめて希望が見えた年、だったかもしれません」
その秘訣は、北川さんらしい、愛情深く潔い姿勢にありました。
「私は、家庭に仕事を持ち込まないタイプ。作品中は家を空ける時間が長いから、帰ったときには、子どもたちの中に『見て見て!』『聞いて聞いて!』が、たくさんあると思うんですよね。それを、なるべく叶えたいんです。そもそも私の場合、子どもの隣で台本を開いたとしても集中できそうにない(笑)。だったら、じっくり向き合ってから自分の時間を取ったほうがよさそう、と。最近は、二人が21時に寝た後、夫婦でその日の出来事をシェアしてから、思い思いに過ごすのがルーティンに。夫は曲を作り、私はセリフを覚え……。この時間に、おかずの作り置きや趣味の手芸をするのも、いい気分転換になっています」
時折SNSで紹介されるようになった手芸作品に、注目している人も多いはず。北川さん自身も、新たな趣味に夢中のよう!
「手芸は、学生時代に家庭科の授業で触れた程度。仕事を始めてからは縁がなくて、待ち時間に編み物をしている女優さんを見ても『すごいなぁ』と思うだけだったんです。でも、娘の入園時に、指定サイズのグッズを用意することになって。娘は私譲りのこだわり派で、布の色や柄に明確な理想があったので、『じゃあ作ってみるね』とチャレンジ。娘が喜んで、次々にリクエストしてくれるようになったことで、ハマっていきました。今は、ワンピースを作っているところ。娘と一緒に材料を買いに行くのも、レースやリボンを使ったアレンジを考えるのも、すごく楽しい! そんな私たちを見て夫も喜ぶ、息子に作ってあげたいものも浮かんでくる、と、手芸が家族の交流に一役買っている感じです。さらに、私にとっては、メディテーションのような効果もあるみたい。ミシンに向かっていると、無心になれて落ち着くんですよね」
健康への意識が高まり睡眠を重視するように
いま、大切にしていることを尋ねると、「健康です!」と即答。
「私はもともと、健康を顧みるほうではなかったんです。何事にも『気力と体力で勝負!』と体当たりしていたような。でも、子どもたちが生まれてからは、栄養バランスを考えるようになったり、早寝早起きになったり。自然と生活が大きく変わりました。特に重視しているのは、睡眠。独身の頃は、夜中まで芝居の練習をして、『これだけやったから大丈夫!』と納得してから仮眠を取って家を出ていたんですよね。でも今は、セリフを頭に入れたら、とにかく早く寝る。体調を整えて、現場に穴を空けないことを第一に考えています。昔みたいに準備万端とはいかないけれど、案外そのほうが、相手に合わせて柔軟に動けていい場合もあるんだ、とも気づきました。’26年も、家族との旅行や仕事での挑戦など、やりたいことがいっぱい。健康に気をつけて、元気に満喫したいです!」
Night
子どもを思う役に共感し、その人生に衝撃を受けました

北川さんの最新作は、主演映画『ナイトフラワー』。二人の子どもを懸命に育てるも、生活が立ち行かなくなりドラッグの売人になることを決意する母親役を全身全霊で演じています。
「私が演じた夏希は、ある意味〝普通の人〞。貧しく苦しい状況でもユーモアを忘れず、明るく家庭を運営しようとする、前向きで努力家の母親なんです。子どもに好きなものを食べさせてあげたい、興味のあることを習わせてあげたい。そんな思いにも、『二人のためなら何でもできる!』と頑張っているところにも、とても共感しました。と同時に、なぜこういう人の人生が好転していかないのか、と衝撃を受けて。『夏希はどうすればよかったんだろう?』と考えずにはいられませんでしたね。演じることで答えが見つかるかも、と取り組んでみて……わかったのは、夏希が限界を超えたところで生きていたという事実。日々精いっぱいで、周りの人や社会の制度に助けを求める余裕すらなかったんだ、と痛感しました」
追い詰められていく夏希にとって一筋の光となるのが、森田望智さん演じる多摩恵の存在。
「夏希が多摩恵と出会えたのは、本当に幸せなこと。間違った道ではあるけれど、一緒に進んでくれるパートナーがいてくれるのは心強かったと思うんです。大事な相手と過ごせるありがたさをかみしめながら向き合っていました。実際、多摩恵が現れてからのお芝居は、彩りが加わっていくようで楽しかった。多摩恵役が森田さんだったことも、大きなポイントで。森田さんは、ゆったりした流れの中にいるような、優しくて可愛い人なんですよ。でも、多摩恵は孤独でやさぐれた格闘家。自分とは真逆のタイプで、ハードなトレーニングも必要な役を演じるのは大変だったはずだけれど、パッと切り替え、粘り強く演じる姿に、刺激を受けましたね」
劇中には、ほぼすっぴんで青く染めた髪を振り乱し、関西弁で感情を爆発させる北川さんの姿が。内田英治監督も、「俳優として次のフェーズに入る瞬間に立ち会えた」と語っていました。
「内田監督とは、以前ドラマ『落日』でご一緒させていただいて。役がそこに生きているようなドキュメンタリー風の演出が、目から鱗うろこの体験だったんです。だから、私の中では『落日』で第二章が始まって、『ナイトフラワー』で結晶になったイメージ。今回、必死に生きる夏希を演じたことで、母親としては励みを、俳優としては新しい一面を表現する場を与えてもらいました。私は、これまでは正義感の強いクリーンな印象の役が多かったけれど、最近は幅広い役をいただけるようになってきた。どんどん挑戦ができる段階に入って、やりがいを感じています」
新しい挑戦を重ね、高い期待にこたえているのが、北川さんが第一線で輝き続けている理由。
「この世界に身を置いている以上、変化し続けていかなきゃいけない、という意識は強くあります。時代とともに、流行も撮影技法も変わっていく。自分のお気に入りのスタイルや得意な役に固執していると、それが流行らなくなったときに需要がなくなってしまいますよね。だから常にアンテナを張って、時代が求めるものに自分をアジャストしていくことが重要だと考えているんです。もちろん、新しい挑戦には苦労もリスクもある。私はあまり過去を振り返らないほうだけれど、時々『なんでこうしたんだろう?』と感じるものもあるんですよ。でも、それも真剣にやった結果だし、いい思い出というか。これからも、『いい!』と信じたことを思いきりやっていきたいですね。そのときそのときのよさを残せるのが、この仕事の醍醐味だろうから」

30代ラストイヤーが、40代を迎えるカギになるはず
北川さんにとって、〝いま〞は、どんな時期なのでしょうか。
「今年、39歳になったんですが、そのときに感じたのは『30代、あっという間だった!』ということ。時間を無駄にしちゃいけない、一瞬一瞬を大切にしよう、という気持ちが、ますます強くなりました。私にとって20代は、野心を燃やしてがむしゃらに走り抜けた時期。後悔はないけれど、しんどかったんですよね。30代になると、今度は『絶対に失敗できない』と責任を感じ始めて。ベストを尽くして成功させないと、次は呼んでもらえない。後輩に何かを伝えるときは、どんな言葉を選べばいいんだろう……。なんて悩んだり迷ったりすることも多かった。でも、40代になったら、ノウハウも蓄積されて、精神的にも成熟してくるはず。もっと自分自身も自由に動きながら、人に対しても大らかに接することができるようになるのかも、と楽しみなんです。そんな40代を迎えるためには、きっと、この30代ラストイヤーがカギになる。だから、仕事にも家庭にも、思い残すことのないように全力で向き合おう、って。そうすることで、公私ともに未来が広がっていくんじゃないかな、と思っています」
Cinema『ナイトフラワー』

二人の子どもを抱え、必死に働きながらも生活に困窮していた夏希(北川)。ある日、夜の街でドラッグの密売現場に遭遇し、子どもたちのために自らも売人になることを決意する。孤独を抱える格闘家・多摩恵(森田望智)とタッグを組み、支え合って生き抜こうとするのだが――。衝撃のヒューマンサスペンス。原案・脚本・監督/内田英治 11月28日全国公開
Staff Credit
撮影/菊地泰久(vale.) ヘア&メイク/SAKURA(まきうらオフィス)スタイリスト/多木成美(CONTEMPORARY CORPORATION) 取材・文/藤本幸授美
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