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スキルアップのために学ぶ人へ、新しい給付制度がスタート。ただし注意点も!【2025年10月から】

  • 松崎のり子

2025.11.11

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勉強をしたい労働者のための「教育訓練休暇給付金」制度

松崎のり子さん連載「松崎のり子さんの知らなきゃ損するお金の話」教育訓練休暇給付金について 学びのイメージ

2025年10月から「教育訓練休暇給付金」が始まりました。これはスキルアップのため資格取得などを目指して勉強したい労働者が利用できる制度です。

仕事と勉強の両立はなかなか難しいもの。勉強に集中したいと思っても、その間は無給になってしまうとすればなかなか踏み出せません。そこで、訓練・休暇期間中の生活費を保障しようというのが、この制度の趣旨です。勉強のために休暇を取得して仕事から離れた場合、賃金の一定割合が支給されるという仕組み。

なお、この制度を利用できるのは、雇用保険の被保険者であり、以下の条件を満たす場合です。
①休暇開始前2年間に 12か月以上の雇用保険被保険者期間があること
②休暇開始前に5年以上、 雇用保険に加入していた期間があること

業務命令によらず就業規則等に基づき、連続した30日以上の教育訓練を受けるための休暇(無給)を取得する場合に、支給の対象となります制度の利用には事業主の承認や手続が必要なので、まずは事業主との相談が必要なのは言うまでもありません

支給金額は休暇直前の賃金から算定

松崎のり子さん連載「松崎のり子さんの知らなきゃ損するお金の話」教育訓練休暇給付金について 学びのイメージ

支給される金額は、いわゆる失業手当と同じ金額で、目安は休暇開始前6か月の賃金日額の50~80%です。給付日数は雇用保険の加入期間に応じて異なり、90日~150日。なお、制度の対象になるのは、次のような教育訓練を受けるために休暇を取る場合です。

①大学や大学院、短大、高専、専修学校などが提供するもの
②教育訓練給付金(※)の対象となる講座を有する法人が提供するもの
③職業に関する教育訓練として職業安定局長が定めるもの(司法修習、語学留学など) 

(※教育訓練給付金とは、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了した場合に、かかった費用の一部が教育訓練給付金として支給される制度)

受給した場合、被保険者期間がリセットされる注意点も!

ただし、注意点もあります。
この制度の支給を受けると休暇前の雇用保険加入期間がリセットされるため、もしその後離職した場合、失業給付が受けられない可能性があります(失業給付の受給には、原則として離職前2年間に被保険者期間12か月以上が必要/自己都合退職の場合)

また、支給を受けるにはハローワークで手続きしたうえで、30日ごとに認定を受ける必要があります。制度の趣旨はわかりますが、実際の運用は複雑で、ハードルが高そうだと感じました。
本来なら、勉強と両立できるような働き方が理想であり、それが一番シンプルな解決法でしょう。
給付金を出すだけではない支援方法があるとよいのですが。

松崎のり子 Noriko Matsuzaki

消費経済ジャーナリスト

消費経済ジャーナリスト。雑誌編集者として20年以上、貯まる家計・貯まらない家計を取材。「消費者にとって有意義で幸せなお金の使い方」をテーマに、各メディアで情報発信を行っている。

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