忙しい日々、ちょっと立ち止まって心の旅へ
今、大人の“絵本界隈”がアツい!

絵本は子どもに読み聞かせるもの——そう思っていませんか? 優しいストーリーと温かい絵が疲れた心をそっとほどいてくれる……そんな〝絵本の力〞に癒される大人が、今増えているんです!
愛嬌のある動物キャラクターで大人気!
絵本作家 かのうかりんさんインタビュー
幼い頃から、絵本作家になるのが夢だったというかのうさん。自身の〝居場所〞と語る、絵本の魅力について語っていただきました。


LEE12月号の特別付録は絵・かのうかりんさんの描き下ろし絵本!

集英社の児童書編集部とのコラボで、スペシャルな付録が実現! 飼い主・ユナとケビンがケンカし、家を出ていったケビンを追いかける猫のジョイの物語。2026年3月号にも、大塚健太さん作の絵本別冊付録がつく予定。
※コンパクト版には付録の絵本は付きません
子どもみたいな自分を絵本が優しく受け止めてくれる
「大人もみんな昔は子どもだった。だから、絵本にワクワクする気持ちは大人も子どももきっと同じですよね」
そう話してくれた絵本作家のかのうかりんさん。子どもから大人まで幅広いファンがいるかのうさんですが、いちばんのターゲットはなんと〝自分〟なのだそう。
「子どもはもちろん、老若男女すべての読者さんに向けて描いているものではありますが、なにより、私の中にいる幼い頃の自分がワクワクするような絵を描きたいと思っているんです。大人のファンの方も多いのは、そのおかげかもしれません。大人の皆さんの中にいる子どもの部分が共鳴してくれているのかも」
大人もみんな子どもだったからきっとワクワクは同じ
大人だからこそ味わえる絵本の魅力について聞いてみると……?
「絵本には、子どもみたいな自分を受け止めてもらえる心地よさがあると思っています。そういう自分を出せる場所って、なかなかないですよね。でも、絵本は説教臭くならない優しさで受け止めてくれる。間違っててもオッケー!みたいな、なんでも受け入れる優しさで、居場所を作ってくれるんです。そういえば、大塚健太さんとの共著『トドにおとどけ』もそんな絵本でした。似ている動物がたくさん出てきて間違えちゃうお話なんですが、〝だれにでも まちがいは ありますから〟というセリフがあるんですね。たくさん間違えても、誰も怒らない優しい世界。人間の大人だって、こういう世界で生きられたらいいな、なんて思いながら絵を描いたのを覚えています。お話を作られた大塚健太さんもそういう感じの方で、絵も私におまかせで、〝なんでもいいよ! 素敵だね!〟と言ってくれる方でした」
本当に子どもだった頃も、もちろん絵本が好きだったそう。
「図書館に行くと、カードの上限いっぱいの冊数の絵本を借りて帰るような子どもでしたね。お話よりも絵を見るのが好きで、すべて絵で選んでいました。特にいもとようこさんの優しいタッチの絵本がお気に入り。『かいじゅうたちのいるところ』のモーリス・センダックの不思議な世界観も好きで、たくさん絵本を買ってもらい、読んでいましたね」
その頃から、絵本作家になるのが夢だったというかのうさん。
「折り込みチラシの裏に絵を描いてつなげ、〝おはなしブック〟みたいなものをたくさん作っていました。絵本を意識していたんだと思います。絵を描くことだけではなく、それを本の形にして、誰かに見てもらうのが好きだったんですよね。幼稚園のときにはすでに、夢は絵本作家だと言っていたくらい、ずっと憧れていた職業です」
成長して絵を描くことから一度離れてしまったものの、大学時代にまた、絵本の世界に戻ってきました。
「10代でやりたいことが変わり、美大の彫刻科に進学したんです。でも、途中でまた絵が恋しくなって、大学のゴミ箱に落ちていた大きなベニヤ板を拾って絵を描いてみたら、懐かしい自分に再会した気分になりました。描きたいように描いたら、たまたま絵本の挿絵のような雰囲気になり、自分自身がなんだかすごく落ち着いたんです。その絵をもとに、絵本を描いてみました。美大の卒業制作では絵本を作り、個展で販売も。そんな体験もあって、私にとって絵本は〝居場所〟というイメージが強いのかもしれません」

ずっと友達でいてくれるような絵本を作りたい
かのうさんの絵本には、子どもと一緒に楽しんで遊べるような作品も。
「私が絵もお話も描いた絵本、『いろんなおめん』は、おめんをつけた動物が出てきて、めくるとおめんを外す仕掛け。動物をあてっこしながら、楽しくページをめくれます。『まねっこにゃんころもち』も一緒にまねっこして楽しめるように作りました。どちらもお子さんがいらっしゃる大人におすすめです。子どもが生まれたときに、自分が子どもと一緒に遊べる絵本を作りたいな、と感じて作った本です。楽しかった絵本って、ずっと持ってるじゃないですか。そんな、友達みたいに寄り添い続けてくれる絵本を作りたいんです」
最後に、付録『あしごろにゃん』の制作秘話を教えてもらいました。
「絵でいうと、猫のジョイのしぐさにこだわっています。口を閉じているのに歯が片方だけ見えているシーンなんかがそうですね。うちの猫がよくそうなるんですけど、そういう〝猫あるある〟を描いています。あと、いつもより、ちょっとおしゃれで大人っぽくなっているかもしれません。ストーリーを作者の新井さんからいただいたときに、とってもポップでおしゃれだ!と感じて、その雰囲気をそのまま絵にしたい、と描きました。飼い主たちがキスをしたり、セリフの言い回しも少し大人びていたり、女性誌の付録だからこその魅力が詰まった絵本になったと思います。今の大人の皆さんも、その中にいる小さな子どもの皆さんにも楽しんでいただけたらうれしいです」

かのうさん作品には表情豊かな動物がいっぱい!

『かなしきデブ猫ちゃん』
早見和真(文) かのうかりん(絵) ¥880 集英社文庫

『トドにおとどけ』
大塚健太(作) かのうかりん(絵) ¥1540 パイ インターナショナル

『ねこピクニック』
あさのますみ(作) かのうかりん(絵) ¥1650 教育画劇
動物の個性あふれる表情が魅力の、かのうかりんさんの絵本たち。大人気の新聞連載『かなしきデブ猫ちゃん』シリーズは、現在全5冊。うち3冊は大判本に加え文庫版が発売中。今年10月に発売された最新作『ねこピクニック』は、突然体が小さくなってしまった女の子が、猫の体の上でピクニックするかわいいお話。
かのうさんのおすすめ絵本
シュールな世界観がクセになる
『ぼくはくまのままでいたかったのに……』
イエルク・シュタイナー(文) イエルク・ミュラー(絵) 大島かおり(訳) ¥2200 ほるぷ出版
「くまが冬眠から目覚めたら、森が切り開かれて工場になっていて、疑問を持ちながらも働かされるというお話。労働している自分とは一体……とくまに共感して考えてしまう!」
大切な人との別れを描く
『ぼく、いいたい ことが あるの』
ジャン=フランソワ・セネシャル(文) 岡田千晶(絵) 小川仁央(訳) ¥1760 評論社
「どんな動物にも死の訪れがあるという、命の尊さをあらためて認識できる一冊。大好きなおばあちゃんを亡くしたこぎつねが、その死を受け入れるまでが描かれています」

Staff Credit
撮影/HAL KUZUYA 取材・文/東 美希
こちらは2025年LEE12月号(11/7発売)「今、大人の“絵本界隈”がアツい!」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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