健康はもちろん、脳にも心にも!
人生を変える「歩く」習慣

世界的に今「歩く」習慣に注目が集まっています。実際に歩いている人たちにそのよさを聞くと、歩くことのイメージが大きく変わるようなメリットがたくさん! 健康やダイエットのためだけでなく、仕事がはかどり、アイデアが湧き、メンタルが整う効果も!? あなたも今日から歩きたくなる!
話題の歩き方! 世界の一流もやっているらしい
「歩行瞑想」で心もすっきり
世界の第一線で活躍する人にとって、今や瞑想は欠かせないものに。歩きながらできる瞑想は手軽にできてモヤモヤも解消。LEE100人隊や編集部員もトライ!
歩行中、何を感じるかをよく観察すると、心に変化が!
「瞑想というと、あぐらをかいて目をつぶって行うイメージがあると思います。でも実際には、日常の行動すべてを瞑想に変えることができます」と長谷川さん。
「歩行瞑想は、禅宗のという歩行の修行をベースにしたもので、普段見過ごしがちな呼吸や足の感覚に集中する瞑想法のひとつです。歩くときの体の微細な変化を観察していくと、次第に〝考えない〞時間をつくることができ、頭と体が静かで穏やかな状態に。人間は考える生き物で繰り返し考えを反芻する習性がありますが、悪いことを考え続けると精神が疲れてしまいます。歩行瞑想をする時間だけは〝考える〞ことから距離をおく練習をしてみると、メンタルが整っていきます」
初めは転倒の危険もあるので、必ず家の安全なスペースで、短い距離からトレーニングを始めます。慣れてきたら、通勤や送迎にも瞑想を取り入れて。
「忙しい生活で気がついていなかった体の感覚に目を向けると、頭がすっきり。感情にも振り回されにくくなります。初めは1日2〜3歩だけでもいいですよ」
始める前に軽くストレッチ

腰から前屈し、腰や太ももの裏側をゆっくり伸ばします。上半身は脱力。

両手を上にし、上半身を左右に傾けて体側を伸ばします。「この動きに限らず、体がほぐれる感覚がつかめればOKです」
STEP1
ゆっくり等間隔で踏み出す動作で雑念を払って「歩行」に集中する
じっくり時間をかけて“足の長さ分”前へ

まっすぐに立ち、両足を上下に半歩ずらした状態から始めます。息を吐きながら、後ろの足をすり足でゆっくりと1歩前に出す。立ち止まって息を吸いながら体勢を整え、反対の足も同様に。1歩前に出すのにじっくりと時間をかけ、頭の中を空にし、呼吸と足の動き、そこから受け取る感覚だけに集中しましょう。
背すじを伸ばし肩の力を抜いて楽に
思いや考えが頭に浮かんだら、足の感覚へ意識を戻す
手は前か後ろに組んでぶらぶらさせない
息を吐きながらゆっくりとすり足で1歩進む

STEP2
STEP1の感覚を保ちながら散歩やウォーキングに組み合わせて
歩く速度を日常モードに
1で頭の中にある考えや思いをストップさせ、足を1歩前に出す動きだけを観察することができるようになったら、歩行瞑想は日常生活にも応用できます。「歩く速度を変えたり、手を振ってみたり。いろいろな歩き方をしてみて。腰やひざはどんな動きをしているかなど一つ一つの部位の動きを観察しながら、〝歩く〞ことだけに集中を。慣れると重力が移動する、呼吸がはずむ、血が巡る感覚もわかります。続けることで、次第にストレスの軽減や集中力アップに」
頭に浮かぶ邪念を払い、歩幅やペースを変えて体の動きを観察
呼吸は、自分の楽な方法やペースでOK
脚を部位ごとに分解して動きに集中する

この4部位に分解して意識!
1 腰&もも
脚を前に出すとき、ももからお尻にかけての大きな筋肉が伸び縮みする感覚や腰の揺れを感じて。
2 ひざ
伸びたり曲がったりする感覚、ひざのお皿が動いている感覚、左右の動きの違いなどを観察します。
3 ふくらはぎ・すね
足が着地するとき、離れるとき、ふくらはぎに生じる筋肉の伸び縮みをじっくり確認しましょう。
4 足
着地するときや蹴り出すとき、かかとから足先まで、足裏に生じる微細な感覚をよく受け止めて。
かかとや足首、土ふまず、指の動きを感じて

すねが張っているか、足首の曲がり具合、かかとや親指はどう着地するかなど、細かく動きを観察。
考えごとしたり、気が散ったり……そんな私にもできる?
歩行瞑想のギモンや不安、解消します

いつどれくらいやると効果的?
いつでも! 1日1分でも
週に何回、1回何分などという目安は特にありません。大事なのは少しずつでもいいので継続すること。例えば「寝る前に1分」など、忙しい中でもやりやすいタイミングと時間を見つけて習慣にできる工夫を。
自分の体型などが気になってネガティブに
今の状態に気づくだけで、評価はしないこと
自分の足や体の動きを観察していると「自分の体型のコンプレックスにとらわれてしまう……」など、ネガティブな思考になる人も。「今はこうなんだ」と感じるだけでいいので、自己評価をしない練習をして。
つい考えごとを……
歩くことだけに集中する訓練こそが瞑想
多忙でストレスフルな情報社会にいると「考えない」でいるのは難しいこと。けれども考えると「心ここにあらず」の状態に。歩行瞑想で心を「今」に留める練習をすることで、心が穏やかなほうへ向きます。
子連れでもいい?
子どもの手の感触や歩くペースを感じて
つなぐ手の感触や温度、歩幅など、自分の動きに加えて、子どもの動きや状態もよく観察しながら一緒に歩きます。抱っこ紐などで抱っこする場合は、重みや表情にも集中を。脳がリラックスしてすっきりします。
音楽は聴かないほうがいい?
聴いたほうが心地よければあり
屋外ではイヤホンで耳をふさがないなど、安全に注意が必要ですが、瞑想しやすければ音楽を聴くのはOK。一方で、外で虫や鳥の鳴き声など、自然の音に気づくことが「今」に感謝できるきっかけになることも。
外に出るときの服装や靴は?
普段どおりでいいです
体を締めつけない服装や歩きやすい靴がベストですが、通勤中など、服装に制限があっても歩行瞑想はできます。「パンプスを履いたときは足がこう動く」など、自分の体の状態をありのままに観察してみてください。
Staff Credit
撮影/柳 香穂 イラストレーション/辻野清和 取材・文/田中理恵
こちらは2025年LEE11月号(10/7発売)「人生を変える「歩く」習慣」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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