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CULTURE NAVI「今月の人」

主演ドラマ『人間標本』が12月19日(金)よりPrime Videoで世界配信スタート

【西島秀俊さん】「原作のおもしろさに魅了され、挑戦したい!と直感しました」WEB限定インタビュー&アザーカットも掲載

2025.12.10

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カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報

原作のおもしろさに魅了され、挑戦したい!と直感しました

西島秀俊さん

西島秀俊さん

出演作が途絶えない西島秀俊さんが新たに主演するドラマ、『人間標本』。同名の原作小説を読んで、すぐさま参加を申し出たのだそう。

「お話をいただいてすぐに小説を読んでみると、物語にぐいぐい引き込まれたんです。予想を裏切る展開の中に、親子の底知れぬ愛情や、芸術と狂気、美への渇望、あらゆる人間の業が描かれた複雑なストーリーに魅了され、ぜひチャレンジしたいと感じました」 

湊かなえさんが、“親の子殺し”というセンセーショナルなテーマに挑んだ本作。西島さん演じる蝶の研究者・榊史朗が、息子を含む6人の少年たちを“人間標本”にしたと告白することから、物語は展開します。

「史朗が息子の命を奪うという、究極のタブーを踏み越える理由は、わが子への愛。親子関係が物語の中核になっており、父親としての自分、そして自分と父親との関係もどこか照らし合わせながら、このタブーにどう向かっていけばいのか考え、悩みながら役作りを行いました。しかしなかなか答えが見つからず、果たして本当にできるものなのかと撮影中もずっと悩んでいました」

「やりたいことを諦めずにつらぬいて」若手の共演者に伝えた言葉 

西島秀俊さん

史朗がシングルファーザーとして育てる至を演じるのは、本作が現代劇ドラマ初出演となる市川染五郎さん。

「染五郎くんは、すごく純粋なところがあって、無意識に見守っていたくなる存在なんですよ。距離を縮めるためのコミュニケーションを意図して取らずとも、自然と、現場のスタッフに『親子みたいだね』と言われたのはうれしかったですね。染五郎くんの持つ資質のおかげで、二人で暮らす親子の空気感をうまく表現できたと思います」 

染五郎さんを筆頭に、個性あふれる若手俳優たちとの共演が楽しく、刺激を受けたと振り返ります。

「若い俳優の皆さんはそれぞれ、“このシーンで僕はこれを表現したいんです”という強い想いを持って撮影に挑んでいて、一緒に演じていてすごく楽しかったです。それぞれに個性があって素晴らしく、これからさらに活躍の場を広げていくだろうな、と確信しています」 

若い世代の俳優と接する際に、西島さんが意識していることとは? 

「僕はずっと、若い人には自分のやりたいようにやってほしいと思っています。今作の撮影中も、言いたいことは遠慮せずに、どんどん言ってほしいと伝えていました。違和感は大事なシグナルで、それを見直すことで、何かもっとよくなることに繋がっていくだろうから、と。でも、僕が言わなくても、全員がこういうことがやりたいと、しっかりと意思表示していました。 

僕自身も、今でもやりたいことや向かっていきたい方向があって、そのためにチャレンジを続けています。でも、それは変化を起こすことでもあるので、“これまで通り”を求められる場では、歓迎されないこともあると思います。そんなときに周囲の反対を押し切るのは、若い人にとってはもっと勇気がいることだと思っています。それでも、諦めずにつらぬいてほしい。それは、僕が年上だからとかは関係なく、同じように考える仲間が増えたらいいな、という希望が背景にあるのかもしれません。 

周りが理解してくれないことや、つぶされそうになることもあるかもしれませんが、最後は自分しかないと思います。誰も責任を取ってはくれませんから。だったら、自分が信じることをやった方がいい。やりたいことは反対を押し切ってでも挑戦してほしい。そのことを伝えていければと思います」 

世間の皆さんがイメージする僕は、意外とその通りです 

西島秀俊さん

人には、表には見せていない意外な一面や感情があるということが物語の鍵になっている今作。プライベートを多く語らない西島さんだからこそ、世間のイメージとご自身のパーソナリティの違いに驚くこともあるのでは…? 

「世間の皆さんの僕に対するイメージを聞くと『皆さん鋭いな』と思います。しっかりしていないところとか、完全に見抜かれていますね。ただ、最近は以前にも増して、正直な人間でいたいと思うようになりました。取りつくろった言葉では、結果的に相手に真意が伝わらないのではないかと。自分の言葉に力を持たせるためには、正直であることが一番大事だと考えています。だからこういったインタビューでも、できるだけ自分の正直な言葉で答えるようにしています」 

正直であることに加えて、“自分の目で判断する”ことも大切にしていることの一つだと語ります。 

「たとえば他人から評判を聞いていた人と、実際に会って話しをしてみると、イメージが全く違ったりしますよね。まずは自分で接してから判断することを心がけています。役や作品に対しても一緒で、意外なことであっても、やってみると楽しかったり、素晴らしい経験になったりします。だから何ごとも極力、先入観を持たずに、目の前で起きる人生を楽しみたいと思っています」 

僕も昆虫採集をして、クワガタを飼っています 

蝶の研究者として、蝶の採取を行うシーンも。昆虫採集の思い出を聞くと、意外な一面が明らかに!

「山に出かける機会があると、クワガタを採ることがあります。たくさん捕まえられたときに近所の子どもたちに配ったら、すごく喜んでくれて。それで、時にはクワガタを探すようになりました。僕も去年捕まえたミヤマクワガタを飼っています」 

幼い頃に蝶に惹かれ、一途に研究を続ける史朗。そのひたむきさが、映画が好きでこの世界に飛び込んだという西島さんに重なります。

「今も変わらず映画が大好きです。もし仕事がなくなったら、毎日ひたすら映画を観て過ごす自分を容易に想像できますし……どうやって食べていくかは考えなければですが。元々、映画そのものが好きで、いい作品を観ると、その作品に参加して、その一部になりたいと感じる。その一心で俳優になり、今も続けていられるのは、とても幸運なことだと感じています」 

映画鑑賞は、多忙なスケジュールをこなす西島さんにとっての息抜きでもあるそう。 

「最近ちょっとオフの時間ができたのですが、結局ずっと映画ばかり観ていますね。配信でもたくさん観ますし、劇場にも行きます。劇場が暗くなる瞬間は必ず期待でドキドキしますし、見終わって隣の席の人と『面白かったですね』と話をすることもあります。最近もそういうことがありましたが、やはり劇場はいいなとあらためて実感します」

西島さんだと気ついた瞬間に、大変驚かれるのでは? 

「いや、全く。『よかったですよね』と盛り上がって会話が終わるので、気付かれていないのかもしれません(笑)」 

映画鑑賞のほか、西島さんの趣味といえばスイーツ。1年ほど前に開設されたInstagramのアカウントには、大好物だという甘いものの投稿がずらり! 最後に、最近とくに感動したスイーツを伺いました。 

「先日ある番組で、パフェのエキスパートという方に、パフェのたしなみ方を叩き込んでいただく機会がありました。まず、パフェって日本にしかないらしいんです(編集部注:日本で「パフェ」と呼ばれているものは、フランスの「パルフェ」やアメリカの「サンデー」からヒントを得て、日本で独自に発展したもの)。そして食べる前に、いくつもの層を横から見て、上からデコレーションを見て、シェフがどんな気持ちで作り、どう食べてほしいかを想像するといいのだとか。パフェの奥深さを知ることができて、なんだかいつもより一層、おいしく感じました」 



『人間標本』

『人間標本』
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人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな――― 

蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。 

「イヤミスの女王」湊かなえが、デビュー15周年を記念して書き下ろした、“親の子殺し”という禁断のテーマを扱った衝撃の物語。 

PROFILE

にしじま・ひでとし●1971年3月29日生まれ、東京都出身。1992年、大学在学中に俳優デビュー。ドラマ『MOZU』シリーズ、『きのう何食べた?』シリーズ、映画『CUT』『ドライブ・マイ・カー』など、代表作は多数。今後は映画『時には懺悔を』(2026年)、『存在のすべてを』(2027年)などの公開を控える。 
公式Instagram:hidetoshi_nishijima.official


Staff Credit

撮影/安川結子 ヘア&メイク/亀田 雅 スタイリスト/オクトシヒロ 取材・文/中西彩乃
こちらは2026年LEE1・2月合併号(12/5発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事+ウェブ限定のインタビューを追加した記事です。

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