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10月24日(金)全国公開予定

【杉咲 花さん】映画『ミーツ・ザ・ワールド』「自分の生き方を探す姿に、演じる側の私も救われました」

2025.10.23

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自分の生き方を探す姿に演じる側の私も救われました

杉咲 花さん

杉咲 花さん
シャツ¥60500/ヴィヴィアーノ(ヴィヴィアーノ) ハーフパンツ¥42900/エンフォルド(エンフォルド) パンプス/スタイリスト私物

話題の映像作品に次々と出演し、演技力の幅広さに定評がある、俳優の杉咲花さん。最新主演映画で彼女が演じるのは、焼肉を擬人化した漫画が大好きな、27歳の女性・由嘉里(ゆかり)。推し活に夢中なものの、自分のことは好きになれず、生きづらさを抱えている。

「由嘉里は心の中で思ったすべてを、言語化してしまうところがある人。他者との間に引かれた境界線を軽々と越えて、自分の中にある正しさをぶつけてしまうんです。でも彼女が放つ言葉は、本当に純粋で切実で痛々しいけれど、どうしても憎めないんですよね。その丸裸で傷だらけになってでも伝えてしまう姿に惹きつけられました」

実は「今回の作品、私の中ではまだ客観視できていないんです」と杉咲さん。撮影が行われたのは昨年の夏。ちょうど自身の中でも、いろんな思いが巡っていた時期だったと言います。

「出演作の公開が次々と続き、撮影のスケジュールも立て込んでいた頃。気付けばすべてを注ぎ込んでいるような感覚になっていました。そんな中で、この作品のテーマにある人が持つ死生観、みたいなものに思いを巡らせるのは、なかなかヘビーな時間でした。苦しみの引力に飲み込まれそうになるような、あまり今まで味わったことのないような日々。なんだか、うなされるような夢の中にいる感覚でした」

希死念慮を持つライとホストのアサヒ、そして由嘉里の3人がお互いを思い合い、それぞれのやり方で関係を育むのも本作の見どころになる。

「推し活中心で生きてきた由嘉里にとって、アサヒとの関係性は、初めて構築した形だったのではないかと思います。でも表現の仕方は違えど、死への興味が強いライをなんとか引き止めたい気持ちは互いにあって。切実な思いを共有しながら、2人の間にはくすっと笑える瞬間もあるんです。肩ひじ張らない空気感がいいなと思いました。私も年齢やキャリアなどの垣根を取り払い、目の前にいる人々に対して、尊敬の気持ちを持ちながら付き合いたいです。それだけに由嘉里とアサヒのシーンは、軽やかな気持ちでいられた気がします」

全力で駆け抜けた今回の作品。撮影が終わったのち、少し長めにオフの時間を取ったのだそう。

「北海道へ1週間ほど遊びに行きました。都市部だけではなく、森の中のような自然だらけの場所にも足を運び、おいしいものを食べて。『幸せ~』って感じていました」

俳優として大事にしているのは、生活と仕事のバランスだとか。

「カメラの前に立ち、大勢のスタッフの方に見守られながらお芝居をするって不思議だなと、ずっと思っていて。恐怖や緊張に飲み込まれないようにしたいんです。生活の中で大事なのは、やっぱり食事。最近、自家製のぬか漬けにハマり、毎日ぬか床をかき混ぜています。野菜以外のものも入れていますね。干ししいたけは1日漬けるだけでいい味わいに。青梅は、酸っぱいカリカリ梅みたいなお漬物になりました。食のほかには睡眠の質も重視。心地よいベッドに肌触りのいい寝具を揃えて、と工夫しています。よく寝て、朝の日の光を浴びると、気持ちがすっきり。自分が満たされている感覚を確認することで、また新たな気持ちでお芝居に向き合えます」

PROFILE

1997年10月2日生まれ、東京都出身。NHK連続テレビ小説『おちょやん』、『アンメット ある脳外科医の日記』、『海に眠るダイヤモンド』、映画『52ヘルツのクジラたち』、『片思い世界』など、代表作は多数。最新公開映画『ミーツ・ザ・ワールド』で、ヒロインの由嘉里役を演じる。
公式サイト:https://www.ken-on.co.jp/hana/

『ミーツ・ザ・ワールド』

『ミーツ・ザ・ワールド』
©︎金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会

焼肉を擬人化した漫画を愛する由嘉里(杉咲花)。推し活以外の世界には居心地の悪さを感じる彼女が、キャバ嬢のライ(南琴奈)と出会い、独自の死生観を持つライと同居することに――。ライの友人でホストのアサヒ(板垣李光人)など、これまでとはまったく異なる人間関係や価値観に接する由嘉里の心の揺れと成長を描く。原作は金原ひとみさんの同名小説。10月24日(金)全国公開予定。
映画『ミーツ・ザ・ワールド』公式サイト


Staff Credit

撮影/木村 敦(Ajoite) ヘア&メイク/宮本 愛(yosine.) スタイリスト/池田ミレイ 取材・文/石井絵里
こちらは2025年LEE11月号(10/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

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