【菊川 怜さん】俳優活動を本格始動！「『食』から得るエネルギーが、心の活力にもつながっています」

菊川 怜さん

昨年から俳優として本格的に再始動した菊川怜さん。新作映画『種まく旅人〜醪（もろみ）のささやき〜』では、15年ぶりの映画出演となりました。これまでお茶や玉ねぎ、桃など、さまざまな第一次産業をテーマにしてきた『種まく旅人』シリーズは、今回で5作目。菊川さんの役どころは、「日本酒オタク」の熱血官僚です。

「映画の現場からは長く遠ざかっていたので不安でしたが、『挑戦したい』という気持ちが強くて。日本の食を支える担い手を応援するきっかけ、後押しになればいいな、という思いもありました。守っていかなければ、大切な食文化は途切れてしまいます。意義深いテーマの作品に、やりがいを感じましたね」

菊川さんといえば、東大卒の頭脳派。官僚役はぴったり……？

「神崎理恵という役は、逆に官僚っぽくないんですよ。日本酒が大好きで、突き詰めちゃう感じ。役人だからこうしなきゃというよりも、『日本酒や食べることが好き』という強い想いを大事に演じました」

撮影では、実際に酒造りの工程を再現。蒸したコメに麹菌をかけ、発酵していく様子も間近で見たそう。

「麹が熱を持って、ブクブクと発酵する様子は、生き物の躍動感にあふれていておもしろかったです！　私自身も新鮮な気持ちで、視察する官僚の役をリアルに演じることができました」

この映画を通して、日本の食の豊かさをあらためて感じた、と菊川さん。

「食べ物には土地や太陽からの養分だけでなく、作り手の愛情がこもっています。それが全部エネルギーとなって、人間の活力につながっているんだなと、原点のようなものを感じて。作り手への感謝の気持ちが自然と湧いてきて、未来へずっとつなげていきたい、と強く思いました。この『種まく旅人』シリーズは、主人公である旅人が各地へ赴き、その土地の人々と交流して、心に種をまく。それが実っていくというヒューマンドラマでもあるので、今作では日本酒を飲まないという人でも、きっと楽しんでいただけると思います」

プライベートでは、3児のママ。一人で子育てをしながら仕事も続けるのは、なかなか大変なのでは？と尋ねると、菊川さんは満面の笑みで答えてくれました。

「もう、やることが膨大すぎて、毎日がモグラ叩きゲームみたい（笑）。1分1秒も無駄にせず、隙間があればちょっとでもこなす、という感じです。徐々にですけど、失敗しながら、時間を効率よく使えるようになってきました。『あれも、これもやらなきゃ』というプレッシャーは常にありますが、なんとなく時間の使い方がレベルアップしている自分に気づくと、充足感が！　日々の生活を頑張ることそのものが、趣味のようになってきました」

息抜きはどうしていますか？

「休むよりはタスクを一個でも終わらせたいタイプで、遊びに行くよりもタスクが終わるほうがうれしいんです。これはもともとの性格だから仕方ないですね。疲れたら休んで、甘いものを食べたりして復活すると、またタスクに取りかかって、それが終わったら次のタスクがやってくる。その繰り返しですが、今はこのやり方を楽しんでいるところです」

もう少し余裕ができたら、ゆっくり大好きな日本酒も楽しみたい、と菊川さん。忙しい今を丸ごと楽しむ発想には、さすが！のひと言でした。

PROFILE

1978年2月28日生まれ、埼玉県出身。東京大学工学部卒業。1998年に東レキャンペーンガールとしてデビュー。現役東大生モデルとして注目を集めた。以降、俳優、キャスターとしても活躍。2024年、ドラマ『買われた男』で8年ぶりにドラマ出演し話題に。主演を務める本作では、15年ぶりに映画出演。
Instagram：rei_kikukawa_official
公式サイト：https://www.oscarpro.co.jp/profile/entry/266

『種まく旅人～醪（もろみ）のささやき～』

農業や漁業といった日本の第一次産業を応援する映画『種まく旅人』シリーズの第5弾。今作は兵庫県淡路島で伝統的な日本酒造りに向き合う人々の姿を描く。農林水産省の官僚・神崎理恵（菊川怜）が日本酒産業の現状を知るために訪れた老舗酒蔵で目の当たりにしたものとは……。奮闘する理恵の姿から、日本の産業が現在抱える課題と希望とが浮かび上がる。10月10日より全国公開。
映画『種まく旅人 〜醪のささやき～』公式サイト