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CULTURE NAVI「今月の人」

『佐藤さんと佐藤さん』は11月28日(金)より全国公開

【宮沢氷魚さんインタビュー】「たとえ家族同士でもリスペクトと気遣いを失ってはいけない」WEBのみアザーカットも公開中!

2025.11.07

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カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報

たとえ家族同士でもリスペクトと気遣いを失ってはいけない

宮沢氷魚さん

宮沢氷魚さん
ジャケット¥51700・パンツ¥59400/イーライト(リバーバレイト) その他/スタイリスト私物

どこか謎めいた青年を演じた『しあわせは食べて寝て待て』で癒してくれたかと思えば、凛と清廉潔白な武士を演じた『べらぼう』では切ない涙を誘った宮沢氷魚さん。どんな役も“これが素では?”と思わせてしまう宮沢さんが、映画『佐藤さんと佐藤さん』で、また新たな顔を覗かせました。「これまで演じてきた役より、僕はタモツ寄りの人間だと思う」と語る、その心は? まずは演じたタモツについて聞きました。

「これまでは比較的なんでもできる器用なタイプの役が多かったので、不器用でちょっとダサいタモツ役をオファーされてうれしかったです。僕は料理や掃除などは好きですんなりできますが、こと仕事関連では常に悩んでいて。台本を何度も読んで試行錯誤し、時間と体力をかけてようやく形にできる。だからあまり準備せずにサッとできてしまう人に対して“ズルいな”なんて妬みを感じることもあるので、タモツの気持ちがとてもよく理解できました」

大学時代から付き合うサチの妊娠を機に結婚しますが、先に司法試験に合格し弁護士になったサチと、家事や子育てをしながら弁護士を目指すタモツはすれ違い……。恋人から夫婦となった2人がたどる15年を映し出す本作には、私たちの本音や共感、新たな気づきまでがたっぷり!

「初めて台本を読んだときはピンとこない部分もありました。“トイレットペーパーないよ”と言われただけで、なぜそんなにイライラするのかな、と。でも撮影が始まり毎日タモツとして生きていたら、“これはムカつくな”というポイントがほかにもいろいろあって、なるほど、こういうことか、と(笑)。天野千尋監督がご自身の経験を踏まえて書かれただけに、本当にリアルだと思いました」

宮沢氷魚さん

田舎と都会、男女の役割に関する慣習や思い込み、子育ての大変さ、家庭内収入格差、外で働く者と家事を引き受ける者の立場や意識の違い……。私たちが日頃感じる諸問題が織り込まれているだけに、自分ごととして胸に迫ってきます。

「家族になると、どうしても気を使わなくなってしまうものですが、リスペクトと気遣いは絶対に失ってはいけないと思いました。さらに、“彼/彼女はこうだから”などと、相手のすべてを知ったつもりで代弁するようになったら終わり。どんなに確固たる関係性を築いたとしても、意見や気持ちは当人にしかわからないですから。しかも考えや気持ちは変わっていくもの。変わりゆく相手をちゃんと見て、互いに気づき合うことが必要なんですよね」

果たして2人の関係は……。ちょっとビターな結末が待ち受けます。

「でもとてもリアルで、単純なハッピーエンドでは共感できない人も救われるエンディングだなと感じます。互いに大事にしたいものを全うした中で、これからも2人はそれぞれ幸せを見つけていくと思えました」

今年、宮沢さんの活躍を日々目にできているのは、つまり超多忙な証拠。そんな自分を癒せてますか?

「普段、忙しいとなかなかゆっくりお風呂に入る時間がないのですが……。バスソルトを入れて湯船につかると、本当にリラックスできますね。老廃物を出して自分の体を正常に戻してくれる気がして。あぁ今、悪いものが全部排出されているなって(笑)。ロケ先で忘れたときも、わざわざ買いに走るくらいです」

宮沢氷魚さん

PROFILE

1994年4月24日、米カリフォルニア州出身。’17年俳優デビュー。初主演映画『his』(’20年)、『騙し絵の牙』(’21年)、『エゴイスト』(’23年)などで演技力を高く評価され各賞を受賞。代表作に朝ドラ『ちむどんどん』(’22年)、大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(’25年)、『しあわせは食べて寝て待て』(’25年)。
Instagram:miyazawahio
X:MiyazawaHio
公式サイト:https://hio-miyazawa.com/

『佐藤さんと佐藤さん』

『佐藤さんと佐藤さん』
©2025『佐藤さんと佐藤さん』製作委員会

大学時代に出会い、性格は真逆なのに気が合う佐藤サチ(岸井ゆきの)と佐藤タモツ(宮沢氷魚)は一緒に暮らし始める。ところが弁護士を目指すタモツに付き合いで勉強を始めたサチが、先に司法試験に合格。そんな中で妊娠が発覚し2人は結婚するが、弁護士として忙しく働くサチと、家事・育児をこなしながら勉強するタモツは、次第にすれ違っていく。11月28日(金)より全国公開。
映画『佐藤さんと佐藤さん』公式サイト


Staff Credit

撮影/干田哲平 ヘア&メイク/KUBOKI スタイリスト/末廣昂大 取材・文/折田千鶴子
こちらは2025年LEE12月号(11/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。

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