HEALTH

人生を変える「歩く」習慣

『歩く マジで人生が変わる習慣』の著者池田光史さんに聞きました

【「歩く」ことで人生が変わる3つの理由】変わるのはカラダだけじゃない!あなたも今日から歩きたくなる!

2025.10.08 更新日:2025.10.14

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健康はもちろん、脳にも心にも!

人生を変える「歩く」習慣

健康はもちろん、脳にも心にも!人生を変える「歩く」習慣

世界的に今「歩く」習慣に注目が集まっています。実際に歩いている人たちにそのよさを聞くと、歩くことのイメージが大きく変わるようなメリットがたくさん! 健康やダイエットのためだけでなく、仕事がはかどり、アイデアが湧き、メンタルが整う効果も!? あなたも今日から歩きたくなる!

Index
  1. 人生を変える「歩く」習慣
  2. 池田光史さん
  3. なぜ今、歩くブームが?
  4. 「歩く」に関する本続々ヒット中!
  5. 「歩く」ことで人生が変わる3つの理由
  6. 「歩く」とアイデアが湧く
    1. 歩きながらのミーティングが世界のトレンドに
    2. 池田さんの習慣
    3. 偉人たちも歩いてた!
  7. 「歩く」と記憶力がアップ
    1. 歩くことで脳の海馬が成長する!
    2. 認知症予防にも効果あり!
  8. 「歩く」と長生きする
    1. 毎日20分のウォーキングで健康リスクが下がる
    2. 血糖値が下がる
    3. 不眠が改善する
    4. がんや心疾患のリスクが下がる
    5. 脳卒中のリスクが下がる
    6. “座りすぎ”は要注意
  9. テクノロジーが進化する時代だからこそ本来の身体の機能を取り戻して
  10. 池田さんの歩きたくなるグッズ

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健康はもちろん、脳にも心にも!人生を変える「歩く」習慣
池田光史さん

教えてくれたのは

池田光史さん

経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト。週刊誌編集部の記者を経て、NewsPics編集部に参画。現在は同編集部のCMOに。「歩く」ことの探求も続ける。

話題の本

『歩く マジで人生が変わる習慣』の著者池田光史さんに聞きました。

なぜ今、歩くブームが?

「アップル創業者のひとりであるスティーブ・ジョブズが散歩魔だったのは有名で、メタの最高経営責任者であるマーク・ザッカーバーグも歩きながら会議をする人物と知られています。僕自身も経営に携わるようになりデスクワークが増えていた頃に〝歩くとすっきりする〞と感じたことから、〝歩くこと〞が体だけでなく脳や心にも何か作用があるのではないかと注目し、取材を進め、書籍にまとめました。すると驚くほどの反響があり、書籍は6万部を突破。最も予想外だったのは、普段は接点がないアーティストの方々から反応があったことです。ラップグループ・梅田サイファーのKZさんとは〝歩くこと〞をテーマに対談イベントも開催しました。実業家やアーティストの方々を筆頭に、歩くとクリエイティブな発想につながることに気づく人が増えているのではないでしょうか」

「歩く」に関する本続々ヒット中!

健康・美容の観点だけでなく、「歩く」ことは創作や思考など脳や心にも大きく影響! 解説した本が増えています。

『歩く マジで人生が変わる習慣』(池田光史・ニューズピックス) 
『歩くという哲学』(フレデリック・グロ著/谷口亜沙子訳・山と溪谷社)
『散歩哲学』(島田雅彦・早川書房)

1.今回の特集でクローズアップしている一冊。『歩く マジで人生が変わる習慣』(池田光史・ニューズピックス) 2.最高のアイデアを生み出した作家たちの歩き方を探究。『歩くという哲学』(フレデリック・グロ著/谷口亜沙子訳・山と溪谷社) 3.散歩好きの作家が「歩きながら考える」ことの実践を語る!『散歩哲学』(島田雅彦・早川書房)



“歩くとなんか調子いい”の理由が判明!

「歩く」ことで人生が変わる3つの理由

「歩く」と変わるのはカラダだけじゃなかった! 発想が豊かになって、脳も成長する……!? 歩くことが与える影響を池田さんに聞きました。

理由

1

「歩く」とアイデアが湧く

歩きながらのミーティングが世界のトレンドに

「偉大な作曲家ベートーヴェンも森を散歩するのを習慣にしていたそうで、『歩きながら考えたらひらめいた!』という経験を持つ人は多いのではないでしょうか。Facebookでおなじみのメタ本社は、屋上に東京ドームに匹敵する広さの自然歩道を作り、〝歩きながら考える〞〝歩きながらミーティングする〞ことを社員に推奨。歩くとアイデアが湧くことに多くの企業が注目しているようです。僕自身も仕事中の移動や打ち合わせに、積極的に〝歩くこと〞を取り入れています。歩いていると、スマホやパソコンなどのデジタルデバイスから離れられますし、街のトレンドや変化など、自分の目でリアルに感じ取ることができて、新しい発想に役立っています」

歩きながらのほうが創造的なアウトプットをするスコアが60%UP!!

アメリカのスタンフォード大学での実験によると、座った状態とトレッドミルで歩きながらでは、歩きながらのほうが創造的なアウトプットをするスコアが60%高かったそう。歩くとクリエイティブな発想が強まる裏付けに。

池田さんの習慣

1 短時間でも外を歩く
「原稿執筆などでデスクワークメインの日は、休憩として夕方に1時間程度散歩をします。1時間あれば5kmくらいは歩けるので。1日平均9000歩は歩くように」
2 週に3回、40分歩く
「仕事中でもアポイントメント間は徒歩で移動する前提でスケジュールを組んでいます。また1対1の打ち合わせは散歩しながら行うなど、日常生活で歩く工夫を」
3 定期的に自然の中へ
「さらに、月に1回程度は山歩きをしています。低山ハイクは登山より手軽でおすすめ。街ではなく、自然の中を歩くことでストレスが大幅に軽減されます」

偉人たちも歩いてた!

歴史的な偉人たちも「歩くこと」が発明や創作などクリエイティブな思考によい影響を与えると知っていた!「歩くこと」のよさをはっきりと述べている発言も、さまざまな書物に残されているので、その中のいくつかをご紹介します。

歩くことは人間にとって最良の薬である

ヒポクラテス(医師)
ヒポクラテス(医師)

真に偉大な思想はすべて、散歩中に浮かんでくる

ニーチェ(哲学者)
ニーチェ(哲学者)

散歩には、何かしら私の思考を刺激し、活気づけるものがある

ジャン=ジャック・ルソー(哲学者)
ジャン=ジャック・ルソー(哲学者)

理由

2

「歩く」と記憶力がアップ

歩くことで脳の海馬が成長する!

「アメリカのイリノイ大学を中心とした研究チームが、55歳~80歳までの高齢者を対象に、週3回のウォーキングを行うグループとストレッチ体操をするグループに分け、効果を比較する実験を行いました。結果、ウォーキングを行うグループでは、脳の海馬と呼ばれる部分の体積が2%も増加。海馬は記憶や学習を司る部位なので、その体積が大きくなることは記憶力の向上につながります。また、最近は海馬が感情機能も司っていると考えられているそう。僕も歩いた後は気分がすっきり。その感覚を味わったのが、習慣化したきっかけになっています。歩くことで脳が健康な状態にリセットされるようにプログラムされているのかもしれないですね」

歩くことで脳の海馬が成長する!

認知症予防にも効果あり!

海馬の体積が大きくなるのに比例して、血液中に「脳の栄養剤」のような物質が増加。この物質が、脳内で新しい神経細胞(ニューロン)を作り出すなどの働きをすることが判明。定期的に歩く習慣が、加齢による認知機能低下の防止にも役立ち、認知症の予防・改善につながることは、数々の研究で明らかになっています。

理由

3

「歩く」と長生きする

毎日20分のウォーキングで健康リスクが下がる

「〝歩くことは体にいい〞というイメージは広まっていますし、実際に歩いてみると健康になった感覚を得られるはずです。具体的にどういい影響を与えるのかは、さまざまな研究で明らかに。『週150分のウォーキングを行う人は、運動しない人と比べて、平均3.4~4.5年ほど寿命が長くなることが見込まれる』という研究結果も出ています。ヨーロッパの研究でも、『毎日20分の散歩が、身体活動がまったくない人と比較すると、すべての原因による死亡リスクを低下させる』とされているのです。最近注目されている〝睡眠の質〞の改善、がんや心疾患、生活習慣病のリスク低下など、〝歩くこと〞は私たちの健康維持にかかわっていることが実証されています」

毎日20分のウォーキングで健康リスクが下がる

血糖値が下がる

「長時間座った状態が続くとき、20分ごとに軽いウォーキングを行って、座る姿勢を中断するだけで、食後の血糖値やインスリンレベルが大幅に低下することが明らかになっています。血糖値だけでなく血圧も下がる効果が」

不眠が改善する

「〝歩いた日は夜ぐっすり眠れる〞とは、よく聞く話。健康な働く人々を対象にした日本の研究では、ウォーキングが入眠時間の短縮や総睡眠時間の増加につながり、運動習慣がない人ほど改善が顕著だったとされています」

がんや心疾患のリスクが下がる

「アメリカの研究で、週7時間以上歩く習慣がある女性は、活動的ではない女性に比べて、乳がんリスクが14%低いという結果が出ています。別の研究では、速いペースで歩くと冠状動脈疾患リスク低下になるという報告も」

脳卒中のリスクが下がる

「アメリカの女性を対象にした研究結果では、毎日歩くなど中程度の身体活動を行う女性は脳卒中のリスクが減ることが明らかに。運動の強度が高いほど効果が高いですが、適度な運動でも十分リスクは減少するようです」

“座りすぎ”は要注意

1時間以上連続で座らず「歩く」ことを習慣に!

「歩くことと併せて意識したいのが〝座りすぎ〞への注意。われわれは1日平均9.3時間も座っています。1時間以上連続して座っていると、身体の代謝が遅くなるのに加えて、心臓病や糖尿病、乳がん、大腸がんなどのリスクが高まるといわれています。どれだけ運動を増やしても、長時間座り続けているとリスクを相殺するのは難しいとも!『座ることは新しい喫煙である』といわれるほど。デスクワーク中もこまめに立ち上がる、食後に15分ほどゆっくり歩く、なるべく階段を使って日常的な身体の動きを増やすなど〝座りすぎ〞への対策にも〝歩く〞ことが欠かせません!」

池田さんが考える「歩く」効果

テクノロジーが進化する時代だからこそ本来の身体の機能を取り戻して

「見た目のよさから手に取ったアルトラの靴(写真8)を履いたら、歩く快適さが段違いで、深く興味を持ちました。調べれば調べるほど、人間にとって〝歩く〞ことは欠かせないものだと実感。テクノロジーが発達する時代だからこそ、より動物的な本能としてのバランスをとっていくことが大事で、歩くことで人間らしい身体の感覚を取り戻せると思います。小学生の息子とは5歳から山歩きに出かけていますが、不整地を歩くことで体幹が安定してきました。歩きながら初めて目にするものもあり、好奇心が広がっているのを感じます。また、山歩きを通じて自然は人間の思いどおりにならないと体感することも、自分にも子どもにも大きな学び。何が起きるかわからない環境に身を置いて、起きたことを仕方がないと受け入れる経験が必要だと思います」

池田さんの歩きたくなるグッズ

池田さんの歩きたくなるグッズ

1・2.日差しの強い時期は日焼け対策が必須! 3・4.キャップ、ウォーターボトルとも小さく折りたためるものを。5.すぐ乾く手ぬぐいはマストアイテム。6.ガレージブランド「山と道」のハイク用パンツはスマホも入れやすい5ポケット。Nitecoreのモバイルバッテリーは薄型でポケットに入れても邪魔にならない。7.基本はパンツのポケットに必要なものを入れて手ぶらで歩くが、少し荷物が増えるときはこのウエストバッグを。くしゃっとたたんでもOKな素材感がお気に入り。

歩く感覚を楽しむには足の指が自由に動くベアフットシューズが必須。

歩く感覚を楽しむには足の指が自由に動くベアフットシューズが必須。8.靴と歩くことの関係性を考えるきっかけになったアルトラのシューズ。9.少しフォーマルな場にはBLUSUN。見た目にはベアフットシューズとわからないほどおしゃれ。10.はだしに近い感覚で歩けるビブラムの5本指シューズ。タフな山登りにも。

Staff Credit

撮影/市原慶子 イラストレーション/辻野清和 取材・文/古川はる香
こちらは2025年LEE11月号(10/7発売)「人生を変える「歩く」習慣」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。

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