【生成AIの不安Q&A】生成AIのしくみやセキュリティってどうなってる？使うことで脳の一部が衰えるような可能性は？

ChatGPTは、ユーザーからの「この回答結果はよかった」などのフィードバックを通じて、どのような回答が「人間好み」であるかを学習しています。それを反映して、今年に入ってからは特に「それはつらかったですね」と共感したり、「的確な質問ですね！」とおだてたり、使う人に寄り添った会話をするようになりました。その結果、ユーザー数が急増しているようです。

ChatGPTの初期設定では、利用者が入力した情報がAIの改善のために利用されます。この学習データの使用経路は不明なので、個人情報漏洩の心配がまったくないとは言えません。設定の「データコントロール」から「すべての人のためにモデルを改善する」という項目をオフにすると入力したデータがAIの学習に使われなくなります。これを「オプトアウト設定」といいます。

セキュリティは有料版でも同等です。有料版にすると、デフォルトの言語モデル「GPT-5」のほかに、「GPT-5 Thinking」「GPT-5 Pro」「Deep Research」などより客観的で専門性の高い言語モデルを使用することができます。日常生活での使用は無料で問題ないと思いますが、仕事などで専門的知識が必要なら情報の質に明らかな差が出ますので有料版を検討しても。

普及率という点においては明らかな差があります。総務省から出された『令和7年版情報通信白書』では、日本で生成AIを「使っている（過去に使ったことがある）」と答えた人が30％以下でした。また、アメリカ、中国、ドイツでは、7割以上の企業が活用する方針なのに対して、日本の企業は5割に満たず、諸外国では仕事上でも使う機会が多いのだろうと考えられます。

生成AIを使ってフェイク動画が簡単に作れるという事実を知っておくことは、まずひとつ大事なことだと思います。知っていればそういった動画に出会ったときに「これはフェイクかも」と疑うことができるからです。そういう意味では、生成AIをまったく使ったことがない人よりも、ある程度活用している人のほうが「これは生成AIで作れる」と気づきやすいかもしれません。

自転車に乗るにも、練習をして交通ルールを学んでから実際に道路を走りますよね。生成AIも同じで、知識がなく使ったこともなく、リテラシーもない状態で、年々進化する情報社会の荒波に漕ぎ出すのは危険。子どもならなおさらです。親子で実際に使ってみたうえで「フェイク動画というのがあるんだよ」「全部が真実とは限らないよ」と伝えることが重要ではないでしょうか。

マサチューセッツ工科大学が行った「生成AIを使ったグループ」と「検索を使ったグループ」と「自分の力だけで頑張ったグループ」にエッセイを書かせる実験では、生成AIを使ったグループが最も書いた内容を覚えていなかったという研究結果が出ています。脳の一部の活性が「自分の力だけで頑張ったグループ」より弱かったとの結果もあり、何らかの影響はあるようです。