眠り上手になるヒントをプロが教えます!
睡眠の質を上げる!枕選び、パジャマ、安眠のツボetc.【睡眠環境で「自律神経」のバランスを整える方法】
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高垣麗子
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LEE編集部
2025.10.06
全ゆらぎ世代を救う「眠れる体」になる方法
睡眠環境で「自律神経」バランスを整える

睡眠は大事……そう、ぐっすり眠ることは究極の「わたしケア」。それはもちろんわかっているけれど、思うように熟睡できなかったり、十分な睡眠時間が確保できなかったりする人も少なくない30代・40代。そんな私たちのために、眠りのプロが集結! 賢く眠り上手になるヒントをお届けします。
教えてくれたのは、3人の睡眠プロフェッショナル

尹 生花さん
中医学博士サロン「BHY」主宰
北京中医薬大学博士課程修了。早稲田大学ビジネススクール(MBA)卒業後、はり師・きゅう師資格取得。ホリスティックビューティの先駆者として、「身体の内側と肌の相関関係」を数字で解明。著書も多数。

小林麻利子さん
眠りとお風呂の専門家
SleepLIVE代表取締役、SRL睡眠科学研究所CRO。公認心理師、睡眠改善インストラクター。深い眠りを得る入浴法の研究や個人指導を行う。テレビ、雑誌などのメディアでも活躍。眠りと入浴に関する著書も多数。

西川ユカコさん
睡眠研究家
雑誌編集者として勤務後、現職に。睡眠ヘルスケア協議会副理事長、睡眠改善インストラクター、セロトニントレーナーの資格を有し、メディアや個人カウンセリングなどで活躍。著書に『最強の睡眠』(SB Creative)。
眠れる体づくり
たとえ短時間でもこま切れでも。少しでも質を上げる環境づくりを
眠りの質を左右する寝室のこだわりポイントは、「光」「音」「温度と湿度」「香り」「寝具」の5つ。これらを快適に整えることで、リラックスできる空間となり、副交感神経が優位になって熟睡しやすくなります。
「逆にどこか不快なポイントがあると、交感神経を刺激して寝つきが悪くなったり途中で目覚めてしまったりします。もし見直せるところがあったら改善してみましょう。また、ベッドは眠るためだけに使い、脳に〝ここは眠る場所〞と認識させることも大切です」(小林さん)
睡眠へすっと誘う環境のこだわりどころは5つ!
01.香り
寝室はリラックス効果のある香りを
「快眠を得る環境づくりとして、香りを味方につけるのもいいでしょう。『ああ、いい香り』と感じながら、心身ともにリラックスすることは安眠にもつながります。寝室のための香りを選び、その香りを嗅ぐことで脳が『もうすぐ寝るのね』と察し、眠くなってくるくらい習慣化できたらしめたものです」(西川さん)。
リラックスする鎮静系の香りは、前回の『生活習慣で「体内時計」を整える』記事を参照に。
02.寝具
吸湿&通気性のよさと寝返りの打ちやすさがカギ
「マットレスやパジャマは、吸湿性と通気性のよさ、寝返りの打ちやすさは欠かせない条件です。寝ている間は想像以上に汗をかきますし、寝返りは、健康な人で一晩で20〜30回は打ちますから。また、素材は実際に触れて、気持ちのいいものを選びましょう」(西川さん)
03.温度と湿度
夏は26℃以下、冬は16℃以上、湿度は50〜60%
「快眠には温度と湿度も大切ですから、エアコンで調節を。夏は温度が26℃以下、冬は16℃以上、湿度は50〜60%が一般的に快適に眠れる数値だといわれています」(西川さん)
「寝る際は、夏はクーラーを、冬は暖房をつけっぱなしにしておくのが基本。何度もつけたり消したりしていると中途覚醒し、眠りが浅くなります。また、冬、ふとんの中の温度と室温に差がありすぎると、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高まるといわれています」(小林さん)
04.光
眠る2時間前から家のライトは光を抑えめに
「夜の照明が明るすぎると、快眠をサポートするホルモンの分泌が妨げられます。夜は、照明を1つに減らす、間接照明や低ワット電球に替えるなどの工夫を。眠るときは、真っ暗な環境が理想的です」(西川さん)
「可能なら、寝室の照明を白い光の電球から温かみのある光に替えましょう。また、子どもが真っ暗を怖がる場合は、フットライトにして光源が目に入らないように」(小林さん)
05.音
図書館くらいの静かさが◎
「睡眠中は中途覚醒しないよう、40デシベル(図書館内の音のイメージ)以下の静けさが理想的です。パートナーのいびきや生活音などが気になる場合は、耳栓を試して。スポンジタイプやシリコンタイプがおすすめです」(西川さん)
「スイッチの切り替え音程度でも眠りの質は低下することがわかっています。外の音が気になるようなら、防音カーテンや窓を二重サッシにするのも◎」(小林さん)

睡眠
こんなとき、どうするQ&A
1
よく眠ろうと思って寝る前に激しい運動をすると、逆に眠れない…
1
「ワニのポーズ」でリラックス
「就寝前は、交感神経が優位にならないぐらいの軽いストレッチがベスト。私のおすすめは、下の『ワニのポーズ』。①仰向けで両腕を自然に横に伸ばし、片方のひざを立てる→②立てたひざを逆側に倒し、顔はひざと反対側に向けて10秒→③逆も同様。深呼吸しながら行ってみて」(西川さん)

2
こま切れ睡眠でも眠りの質を上げたい
2
目と首を温めると眠気がグッと増す
「目元と首元を温めると手足から放熱し、眠りに入りやすくなるというデータがあります。赤ちゃんが眠いときに手足がぽかぽかするのと同じ。ホットアイマスクなどを入眠の味方に」(西川さん)
あずきのチカラ 目もと用¥943(編集部調べ)

100%あずきの天然蒸気でじんわり温め。
めぐりズム 蒸気でホットアイマスク ラベンダーの香り 5枚入¥575(編集部調べ)

5枚入¥575(編集部調べ)/花王
約40℃の快適温度で、まるでお風呂のような心地よさ。
3
ベッドに入ってもなかなか眠れない
3
「安眠」のツボを押してみましょう

「体のいろいろな箇所に眠りを促すツボはありますが、中でも強力なのが耳の裏側にある出っ張った骨の指1本分下にある〝安眠のツボ〞。親指や中指の指の腹を使って押し揉めば、5分ほどで眠気が訪れます」(尹さん)
Check!
睡眠環境で「自律神経」のバランスを整える方法
1. 枕選びは「高さ」「幅」「硬さ」がポイント
「枕を選ぶ際は、マットレスや敷きぶとんの硬さも考慮を。硬さによって枕の高さが変わるため、寝具はセットで整えるのが理想です。高さが合わない枕は、眠りの浅さや肩こり、首の痛み、いびきなどの原因に。横顔で確認し、口が開いたりあごが上がっていれば低すぎ、あごにたるみや二重あごが出ていれば高すぎのサインです。また、寝返りのしやすさにかかわる、幅と硬さも大切。枕の横幅は頭がずり落ちないよう頭の大きさの約2.5〜3倍を目安に、沈みすぎないほどよい硬さが快眠を支えます」(西川さん)
ちょうどいい高さの枕だと
呼吸がしやすく横顔が美しい

MuAtsu Sleep Lab. 本店

自分に最適なオーダーメイド枕を見つけたいなら。頭や首、肩のカーブに合わせて、細かなフィッティングが可能。体型や寝姿勢に応じて何度も計測、調整してくれる。
- MuAtsu Sleep Lab. 本店
- 東京都中央区日本橋浜町1の4の15 昭和西川株式会社浜町本社1F
- ☎03・3861・4115
- https://muatsu.net/(予約優先)
2.自分に最適なマットは試すのが一番
寝具といえば枕にこだわる人は多いものの、実は全身を支えるマットレスや敷きぶとんこそが重要だそう。「理想は、睡眠中も立ち姿勢と同じような自然で美しいラインを保ち、なおかつ寝返りがスムーズに打てること。この2点が揃うと、身体への負担が軽減されます。ただし体型や重心の違いにより、ぴったり合う寝具は人それぞれ。まるで靴と同じで、実際に横になってみないと本当に合うかはわかりません。ぜひ、友人やパートナーと一緒に来店し、横から姿勢を確認してもらってください。一人の場合は、店員さんに撮影してもらうのもおすすめです」(西川さん)
立ったときのよい姿勢をキープ
立ったときのよい姿勢は背中のS字カーブのへこみが4〜6㎝

寝るときの正しい姿勢は、背中のS字カーブのへこみが2〜3㎝

「正しく立った姿勢とは、耳・肩・くるぶしの中央が一直線に並んだ状態。このラインを、寝ている間も保てることが理想です(就寝時には重力の影響で沈みが約2〜3㎝になるのが自然)。ベッドマットに寝たら、腰が沈みすぎていないか(柔らかい可能性あり)、全身の力がすーっと抜けるか(抜けない場合は硬い可能性あり)、背中から腰にかけてピタリとフィットして、腰に違和感はないかをチェックしてみてください」(西川さん)
おすすめのマットレスはこれ!
30年MuAtsu XX Comfort¥220000〜
高級ホテルのベッドの寝心地

体を点で支える独自構造により、圧力を分散しながら負担を最小限に抑え、血行を妨げにくい設計に。さらに、約30年の長期使用を想定した厳格な耐久性テストをクリアし、快適性と持続性を両立。
マットレス シルキーポケットレギュラー(ウール入り)セミダブルサイズ¥209000
湿気に強く寝返りも楽に!

職人の手仕事が生み出す、柔らかな肌触りと自然な寝返りのしやすさ。
3.冷え性の人でも靴下を履いて寝るのはNG!おなかを温めるのが効果的
靴下はお風呂上がりに履くのはいいけれど、ベッドに入る前には脱ぐのが鉄則。
「入眠には深部体温の低下が必要ですが、靴下を履いたままだとそれを妨げます。放熱は手のひらと足の裏から行われるためです。寒いときは、湯たんぽやふとん乾燥機で寝具を事前に温め、就寝時にはベッドの外へ出しましょう」(西川さん)。
「冷えている人は、眠りだけでなく体の根本を司る五臓そのものの働きが弱い傾向に。おすすめはおなかを温めること。枕をおなかの上にのせて冷えを防ぐのも効果的」(尹さん)
4.パジャマは汗を吸う心地よい肌触り、体が泳ぐサイズ、ストレッチがきいてることが決め手
「快眠パジャマの条件は、寝ている間にかく大量の汗をしっかり吸収・発散できる素材であること。そして寝返りを妨げない伸縮性とゆったりしたサイズが理想的。綿95%・ポリウレタン5%や、モダール50%以上の素材がベストです。汗を吸い取れるよう、夏でも長袖長ズボンが◎」(西川さん)。
また「睡眠には、触覚からもアプローチ。柔らかいガーゼ素材が睡眠には適しています。また、遠赤外線を放射する鉱石や炭などを用いた機能性パジャマは、血行促進が期待できるのでおすすめです」(小林さん)。
VENEX
リカバリーパジャマ ニットサッカー ライトピンク¥33000
体力回復をサポート!

寝返りの打ちやすい、のびのよさとゆったりシルエット。柔らかなコットン混素材。リカバリーパジャマ ニットサッカー ライトピンク
Intimissimi
Chic Comfort モダール ロングスリーブ フロントオープン ニット¥9990・Chic Comfort モダール ロングパンツ¥9990
ストレッチ性に富み、寝心地最強

薄く肌触りも◎
mariness
ネムリカパジャマ ネイビー¥23800
保温性と着心地のよさを追求

綿100%二重ガーゼで遠赤外線放射の独自素材を使った、睡眠を本気で考えた機能性パジャマ。小林さん監修。
お気に入りのオーガニックコットンのお店で見つけた、肌触りのいいパジャマに包まれたり、 お風呂上がりにアロマの香りを吸い込んで深呼吸したり、部屋の明かりをほんのり落としてみたり。 あちこちに、「心地いいなあ」と感じる眠りのスイッチをちりばめています
高垣麗子さん

睡眠
こんなとき、どうするQ&A
1
家族の寝返りで熟睡できません
1
別々に寝るのがおすすめです
「お子さんと一緒に寝て起こされてしまうのであれば、できれば早いうちから別室で眠り中途覚醒を防げるとベター。また、パートナーとはダブルベッドではなく別々のベッドをくっつけるほうが相手の寝返りを気にせず眠れます」(小林さん)
2
朝、子どもを起こすと不機嫌になりがち
2
体を優しくゆすって起こして
「深い眠りの途中で急に起こされると、免疫力や成長ホルモンの分泌が低下する可能性が! 眠りが浅い朝も起床はアラームや人の声で起こされずに、自然覚醒がベスト。もし起こす場合は、静かにカーテンを開け、自然光で穏やかに目覚めを促し、起きない場合は、体を軽くゆするなど、優しく起こしましょう」(小林さん)
3
赤ちゃんの寝かしつけでよく寝落ちしちゃいます
3
そのまま寝ちゃいましょう
「大人にとっても不可欠な成長ホルモンの分泌を妨げないために、1時間寝て途中で起きるくらいなら、思いきって寝て、朝に早めに起床するほうが、結果的に有益です」(西川さん)
4
寝汗でびっしょり…寝具が湿るのが不快
4
ふとん乾燥機が役立ちます
「寝汗で寝具がじめっとすると寝つきも悪くなるという方は、ふとん乾燥機が大活躍です! 夜、ふかふかになったふとんに入る気持ちよさは、もう格別。私は年中毎朝の日課にしています(笑)。寒い時季は寝る直前に使うと、ぬくぬくふとんに早変わりするのも◎」(西川さん)
5
一瞬で寝れるのはいいこと?
5
睡眠負債の可能性あり!
「『すぐ眠れる』のはよいことのようで実は注意が必要。健康な人は眠るまで10〜20分かかるため、即寝は心身が限界のサインかもしれません。睡眠時間の確保をおすすめします」(西川さん)
6
残業帰り。すぐ寝たいときは?
6
強い光を浴びないこと
「強い光を浴びると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が妨げられます。残業後の帰宅時や深夜のコンビニ利用には、ブルーライトカットの眼鏡やサングラスで光の刺激を抑えるのが◎」(小林さん)
7
トイレに行きたくて目が覚めがち
7
体内時計を整えることがカギ
「加齢による膀胱の縮小も一因ですが、日々の中でできる解決法は体内時計の乱れを正すことです。また、夜の飲酒が原因のことも。寝る前の飲酒はワインなら2〜3時間前までに2杯、ビールなら1本までが影響ないといわれています」(西川さん)
8
口呼吸やいびきで眠りが浅い気が!
8
鼻炎以外なら、枕の見直しがおすすめ
「枕が低すぎても高すぎても気道が圧迫され、いびきや口呼吸の一因に。口呼吸をしがちな人は、サージカルテープで口を縦に軽く留めると予防に有効です。いびきが改善されない場合は、無呼吸や低呼吸の可能性もあるため、睡眠クリニックなどに相談を」(西川さん)
Staff Credit
撮影/枦木 功(モデル) ヘア&メイク/ 美舟(SIGNO) スタイリスト/小林実可(モデル) モデル/高垣麗子 イラストレーション/green K 取材・原文/中島 彩
こちらは2025年10月号(9/5発売)「全ゆらぎ世代を救う“眠れる体”になる方法」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(2025年10月号現在)です。
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1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
今読者が求めている情報に寄り添い、LEE、LEEweb、通販のLEEマルシェが一体となって、毎日をポジティブな気分で過ごせる企画をお届けします!
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