私たちの暮らしと感覚に寄り添うように
ザ・コンランショップ「アン シェーカー チェア」アップデートしたシェーカーの椅子【石井佳苗さんのインテリア名品】
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石井佳苗
2025.09.30
連載
KANAE’s MASTERPIECES────Interior Items
スタイリスト
石井佳苗の「インテリア名品」
テイストの変遷や引っ越しを重ねても、手元に残る大切なもの。石井さんのスタイルを形作る名品を、毎月1点ずつ紹介します。今回は石井さんのこだわりが詰まった、シェーカースタイルの椅子について。
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28.
[椅子]Chair

Brand: The Conran Shop
ザ・コンランショップ
Item: Ann Shaker Highback Chair, Arm Chair
アン シェーカー チェア
私たちの暮らしと感覚に寄り添うようにアップデートしたシェーカーの椅子
シェーカー家具の大きな魅力は、生活に真摯に向き合うことで磨き上げられた、無駄のないデザイン。自給自足の簡素な生活を送るシェーカー教徒によって生み出された家具たちは、19世紀のアメリカで誕生し、今もなお世界中で愛され続ける名作です。
縁あって「ザ・コンランショップ」からお声がけいただき、「広松木工」と共作している「アン シェーカー」シリーズは、私が考える“現代の空間におけるシェーカー家具”。単純な再現ではなく、今の暮らしに寄り添う、パーツひとつにも意味と美しさがある家具を目指しています。
こだわりを挙げると、きりがないほど。原型となる家具の文献にあたり、その理念を踏襲しつつ、私たちらしさをデザインに反映させました。例えば、背もたれはシェーカーの特徴でもあるハイバックのまま、丸みのあるパーツを直線的に。座面の素材は日本らしさを表現すべく、イグサを採用。また、背面のパーツはくつろぎの深さを考えてカーブさせ、背中に当たる部分の角を削ってなめらかに。加えて、よりモダンな印象の黒、アームレスト付き、木材の種類違いなどの選択肢を増やしました。
椅子は、特に私の思い入れが強い家具。座り心地はもちろん、360度どこから見ても美しいことを徹底しています。ダイニングに限らず、家のあらゆる場所で。ただその椅子を置くだけで、空間に奥行きが出るような。そんな存在感を持つ一脚が完成しました。

「玄関先に置けば、帽子やストールを掛けるなどの“一時置き台”的な使い方も。よりモダンな黒は、空間のアクセントになりますね」(石井佳苗さん)

「わずかなカーブを描く背面。背中と肩に当たる部分は角も削ってあり、体をやさしくしっかり支えます」(石井佳苗さん)
Designed by:
Hiromatsu Furniture & Kanae Ishii
Japan, 2024
経年変化を楽しめる素材と、モダンな感覚の快いバランスで、長く愛せる一脚に

同シリーズからベンチ、ベッド、キャビネット等も発売中。9月12日ザ・コンランショップ 新宿店にて、石井さん、CDO中原慎一郎氏、シェーカーのデザインに精通する石川義宗教授によるトークイベントを開催。詳細は同店公式SNSで。

Staff Credit
撮影/宮濱祐美子 取材・原文/福山雅美
こちらは2025年LEE10月号(9/5発売)「スタイリスト石井佳苗さんの「インテリア名品」」に掲載の記事です。
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