眠り上手になるヒントをプロが教えます!
【快眠のための基本の入浴の心得9箇条】子育てママこそ毎日お風呂にしっかりつかろう!Q&A付き
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高垣麗子
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LEE編集部
2025.10.03
全ゆらぎ世代を救う「眠れる体」になる方法
【眠れる体づくり】入浴で「深部体温」を調整する

睡眠は大事……そう、ぐっすり眠ることは究極の「わたしケア」。それはもちろんわかっているけれど、思うように熟睡できなかったり、十分な睡眠時間が確保できなかったりする人も少なくない30代・40代。そんな私たちのために、眠りのプロが集結! 賢く眠り上手になるヒントをお届けします。
- Index
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- 【眠れる体づくり】入浴で「深部体温」を調整する
- 教えてくれたのは、2人の睡眠プロフェッショナル
- 【入浴で深部体温を上げる→その後下げる】ことが快眠のスイッチ!
- 一日を良コンディションで過ごすために睡眠とお風呂は1セットです
- 眠れる体とは、よい体温の変化がある体。そのカギを握るのがお風呂です
- 快眠のための基本の入浴の7つの心得
- 1.つかる目安は、 40℃のお湯に10〜15分
- 2.シャワーや半身浴より全身浴!首のつけ根までしっかりと
- 3.バスルームの明かりは落とし、寒くない環境に
- 4.子育てママこそしっかりつかろう
- 5.お風呂タイムを就寝から逆算眠る1時間半前頃まで
- 6.お風呂から出たら水分補給&冷やさない
- 7.暑い季節でも毎日お湯につかりましょう疲れていて早く寝たいときは足湯だけでも効果あり!
- 8.冷え性の人は炭酸系の入浴剤 or ウルトラファインバブルのシャワーヘッドが◎
- 9.ストレスフルな日ややる気ダウンの日は、香りのいい入浴剤で気分転換を
- こんなとき、どうするQ&A
- あわせて読みたい
教えてくれたのは、2人の睡眠プロフェッショナル

早坂信哉さん
温泉療法専門医 医学博士
東京都市大学人間科学部教授。日本健康開発財団温泉医科学研究所所長などを務める。生活習慣としての入浴や温泉を医学的に研究する、第一人者。25年以上にわたり、延べ4万人以上の入浴データを調査。

小林麻利子さん
眠りとお風呂の専門家
SleepLIVE代表取締役、SRL睡眠科学研究所CRO。公認心理師、睡眠改善インストラクター。深い眠りを得る入浴法の研究や個人指導を行う。テレビ、雑誌などのメディアでも活躍。眠りと入浴に関する著書も多数。
眠れる体づくり
【入浴で深部体温を上げる→その後下げる】ことが快眠のスイッチ!
深部体温とは、肌表面ではなく脳や臓器の温度。日中に高く、夜に向けて徐々に下がるリズムを描きます。この温度が下がるタイミングで、脳は休息モードに入り、睡眠ホルモン・メラトニンの分泌が活発に。温度が「下がる」ためには、適切な温度まで「上がっている」ことが重要ですが、寝つきにくい人は運動不足や長時間空調の効いた室内にいたり、昼寝が長かったりすることで、その変動が乏しくなっていることも。深部体温を上げる最も効率的な方法が、入浴。毎日の入浴習慣が、快眠体質への近道になります。
一日を良コンディションで過ごすために睡眠とお風呂は1セットです
「子育てなどでつい感情的になったり、パートナーに優しくできなかったり……気持ちをうまくコントロールできずに悩む方も多いと思います。かつての私もそうでした。その悩みを解決へ導いてくれたのが、質の高い睡眠とその眠りを底上げしてくれる入浴。忙しいLEE読者こそ、朝から気分よくアクセルを踏み込むために、効率的な入浴のコツを押さえましょう」(小林さん)

小林麻利子さん
眠れる体とは、よい体温の変化がある体。そのカギを握るのがお風呂です
「25年以上お風呂研究を続けてきて確信しているのは、〝入浴こそが最も優れた健康ツールであり、快眠への糸口〞だということ。深部体温を上げる温熱効果に加え、疲労回復に重要な血液循環、筋力の緊張をゆるめる浮力や静水圧など、入浴がもたらすさまざまな効果が明らかになっています。日本が世界に誇るこの入浴習慣を、ぜひ最大限活用しましょう」(早坂さん)

早坂信哉さん
お風呂は、一日の疲れをリセットし、自分の身体も気持ちも整える大切な時間。娘が赤ちゃんの頃、最初は一緒に入浴していましたが、あるときからまず娘を入浴させて寝かしつけてから、一人で落ち着いて入浴するようにしたんです。そのほうが疲れもとれてよく眠れるし、翌日のコンディションも保てるように。今も近くで見守りながら、それぞれのお風呂タイムを楽しむのがわが家の習慣です
高垣麗子さん

Check!
快眠のための基本の入浴の7つの心得
1.つかる目安は、 40℃のお湯に10〜15分
「人によってはややぬるめに感じるかもしれませんが、40℃の湯に10〜15分つかるのが理想的です。この温度は幅広い年代にとって身体に負担がなく、深部体温の上昇とともに副交感神経も優位になりやすいため、睡眠の質の向上に最適。逆に42℃を超えると交感神経が刺激され、興奮状態となり血圧も上昇しやすくなります」と早坂さん。
また小林さんも「きちんと入れば、深部体温が0.5〜1℃上がります。深部体温が上がったかどうかは、額や手の甲からじんわり汗が出てくるのがサインです。正しいお湯の温度が気になる人は、水温計を使いましょう」。
2.シャワーや半身浴より全身浴!首のつけ根までしっかりと
「入浴には多くの健康効果がありますが、残念ながらシャワーでは得られず、半身浴では睡眠に深くかかわる温熱作用が半減してしまいます。全身つかることで、効率よく体が温まり、血流も促進されるのです。息苦しさを感じる方は半身浴でも構いませんが、その場合40℃の湯で全身浴の倍、20分の入浴が必要です」(早坂さん)
「湯船につかることで得られる浮力や水圧の作用は、心身の緊張をほぐす効果も。また、鎖骨下には全身のリンパ液が集まる静脈があり、肩や首のコリの緩和も期待できます」(小林さん)
3.バスルームの明かりは落とし、寒くない環境に
浴室内の環境は、交感神経を刺激しない工夫を。
「浴室の照明は天井が低い分光源が近く、就寝前の体には刺激です。照明を暗くできなければ、消して、脱衣所から漏れる光で入浴するのがおすすめです。入浴後も部屋の明るさは控えめに。また、寒い時期は換気扇を使わず、浴室に風が吹き込まないようにするのもよいでしょう。せっかく湯船につかって温まっても洗髪の際にぬれた肌に風がかかると、冷えを感じやすくなる可能性も」(小林さん)
「空と同じく、夕方以降は夕日のようなオレンジ系の光が落ち着きます。浴室のライトは、目に優しい電球色に替えると快適。温度に関しては、冬は入浴前にシャワーで湯気を立てて浴室を温め、脱衣所もエアコンで20℃以上を保つと効果的です」(早坂さん)

4.子育てママこそしっかりつかろう
「子育て中のママは、つい子どもを優先し、自分のケアを後回しにしがち。本当によくわかります。でも、子どもに十分愛情を注ぐためにも、自分の疲れもしっかり癒したいですよね。子どもの入浴は、服を着たままサポートするのもいいですし、子どもと一緒に入浴して落ち着いて湯船につかれなかったら、後でもう一度、自分だけで湯船につかる〝分浴〞がおすすめ。睡眠の質が高まるだけでなく、心にも余裕が生まれるはずです」(小林さん)
「子どもはのぼせやすくじっくりつかる必要はないので、一緒に10分つからなきゃと思わずに、洗い場で遊ばせているくらいでも大丈夫です」(早坂さん)
5.お風呂タイムを就寝から逆算眠る1時間半前頃まで
入浴のタイミングも快眠に欠かせない重要なポイント。
「深部体温が高い状態から下降する過程で眠気が訪れ、深睡眠が増加することがわかっています。お風呂から上がる理想のタイミングは、就寝の約90分前。これを誤ると、かえって眠れなくなることもあります」(早坂さん)
「汗が引き、手足が温かい状態がベッドに入るベストなコンディション。夏は1〜2時間前、冬は30〜60分前を目安にするとよいでしょう」(小林さん)
6.お風呂から出たら水分補給&冷やさない
「湯上がりに汗が引くまで裸で過ごしたり、冷房の風に直接当たるのは、基本的には避けたいところ(のぼせた場合は別です)。肌の水分をタオルで優しくふき取り、血流がいい状態をキープしながら、自然に体温が落ち着くのを待つのが理想です。入浴後は水分とミネラルが失われるため、常温の麦茶などでこまめに補給を」(早坂さん)
「手足の血行が促されると深部体温が下がりやすくなります。ベッドで手足が冷えている人は、お風呂の入り方が間違っているのかも。靴下などで温めようとせず、お風呂の入り方を改めたほうがよいでしょう」(小林さん)
お風呂から出た後、髪を乾かしたり、スキンケアをしたり、家事をしていると自然と眠くなります。眠気がやってきたら、「よし、今だ!」とベッドへダイブするのが幸せな瞬間です(笑)
高垣麗子さん

7.暑い季節でも毎日お湯につかりましょう疲れていて早く寝たいときは足湯だけでも効果あり!
「毎日の入浴は、睡眠だけでなく、基礎代謝、体内酵素の活性化、免疫機能のアップなど、健康維持に大きく役立っています。研究では、交感神経への過剰な刺激が抑えられストレスホルモンが減るという、うつ予防への作用も明らかに。さらに将来の認知症や介護予防への効果も注目されており、ぜひ日々の習慣にしたいもの。すぐ眠りたい夜は、シャワーよりも副交感神経を優位に導く足湯がおすすめ。42℃のやや熱めのお湯に足を浸すことで、深いリラックス感が得られます」(早坂さん)
8.冷え性の人は炭酸系の入浴剤 or ウルトラファインバブルのシャワーヘッドが◎
温熱作用を高めるために一役買ってくれるのが、血流と保温持続力がアップする炭酸系の入浴剤とウルトラファインバブルの技術を搭載したシャワーヘッド。
「お湯に溶けた炭酸ガスは、手や足などの血管を広げる効果があります。入浴の際は、入浴剤が溶けきってから入るのがベスト。また製品を選ぶ際は、医薬部外品と書かれたものがいいでしょう」(早坂さん)。
「シャワーヘッドの場合は、ウルトラファインバブルのシャワーヘッドを使って湯船にお湯をためると◎」(小林さん)
シャワーでシルキーバスに

いつものシャワーヘッドを替えるだけ。浴びるだけで汚れを落とし、心地よく温め、うるおす高機能シャワーヘッド。
寝入り時に気になる冷えを温め

高濃度炭酸だから、湯上がり後もぽかぽかキープ。
お疲れボディや冷え症に

素早くお湯に溶け、温まりもスピーディ。リラックス系の香り。
9.ストレスフルな日ややる気ダウンの日は、香りのいい入浴剤で気分転換を
「嗅覚は五感の中でも最もリラックスに影響を与えます。快眠を促すラベンダーの香りや、自分が心地よく感じる香りの入浴剤を選んで、深くリラックスしましょう。浴室の照明を消して、キャンドルの明かりで入浴するのもおすすめです」(小林さん)
「イライラしているときは交感神経が優位になっているため、40℃のお湯に15分ほどゆっくりつかり、副交感神経を優位に導きましょう。逆にやる気が出ない日は、42℃の熱めのお湯に5分間入ることで、交感神経のスイッチが入ります」(早坂さん)
疲れを癒すフローラルラベンダー

天然精油100%で作っている入浴剤は、睡眠のための天然精油の香りで構成。小林さん監修。
呼吸が深くなる生薬の湯

生薬100%で心身の回復力をサポート。香りも自然そのもの。
緊張を解きほぐす心癒す香り

ふわっとした泡に包まれる、バブルバス入浴剤。
バスタイム
こんなとき、どうするQ&A
1
帰りが遅くなった日の入浴って?
1
体温を上げすぎない入浴が◎
「もし遅い時間に入浴するなら、短時間で済ませたり、38〜39℃のぬるめのお湯にしたり、シャワーだけで済ませるなど、深部体温を上げすぎないようにしましょう。入浴できないほど眠気が強いなら、もちろん睡眠を優先してください」(早坂さん)
2
ついつい長湯しがち…
2
肌の乾燥にご注意を
「入浴20分以降は血流に大きな変化がないというデータあり。肌も乾燥しやすくなるためむやみな長湯はおすすめできません。それでも長湯が好きな方は、保湿力の高い入浴剤を」(小林さん)
3
家族が多くて時間がよめないんです
3
遅くなる人はサッと済ませて。家族でも話し合いを
「早い時間なら、入浴後にうっかり寝てしまわないよう気をつけましょう。寝る直前なら、前述のように、サッと済ませるように」(早坂さん)
「大事なことなので、みんなのお風呂の時間をどうするか一度家族会議をするのもいいですね」(小林さん)
4
冷え性で熱めのお湯が好きです
4
かえって温まらないのでお湯を熱くしすぎないように
「冷え性の人は熱めのお湯を好む傾向がありますが、高温では入浴時間が短くなり、深部体温が十分に上がりません。どんなに冷えを感じていても、40℃のお湯に15分つかれば温まります」(小林さん)
5
入浴時間がチャンス!ドラマが見たいけれど
5
ぼんやり見れるドラマが◎
「個人的には動画を楽しむのもありだと思います。ただ、自律神経の観点からも入浴は大切なリラックスタイム。ドキドキハラハラするような刺激の強いものではなく、ぼんやり眺められるようなドラマがおすすめです。つい長湯になりがちなので、半身浴にするなど工夫を」(早坂さん)
「SNSやメール返信などは副交感神経を刺激する可能性があるため避けましょう」(小林さん)
Staff Credit
撮影/枦木 功(モデル) ヘア&メイク/ 美舟(SIGNO) スタイリスト/小林実可(モデル) モデル/高垣麗子 イラストレーション/green K 取材・原文/中島 彩
こちらは2025年10月号(9/5発売)「全ゆらぎ世代を救う“眠れる体”になる方法」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(2025年10月号現在)です。
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おしゃれも暮らしも自分らしく!
1983年の創刊以来、「心地よいおしゃれと暮らし」を提案してきたLEE。
仕事や子育て、家事に慌ただしい日々でも、LEEを手に取れば“好き”と“共感”が詰まっていて、一日の終わりにホッとできる。
そんな存在でありたいと思っています。
ファッション、ビューティ、インテリア、料理、そして読者の本音や時代を切り取る読み物……。
今読者が求めている情報に寄り添い、LEE、LEEweb、通販のLEEマルシェが一体となって、毎日をポジティブな気分で過ごせる企画をお届けします!
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