不登校の大きな原因は環境のミスマッチ
【政井マヤさん】子どもが小3で行き渋り→小4で不登校に。その時どう向き合った?
2025.09.08
仕事や暮らしの調整、心の浮き沈み…
「学校に行きたくない」に親はどう向き合う?

わが子が行き渋りや不登校になったとき、子どもの気持ちに寄り添いたいと思う一方で親の頭をもたげるのは、自分の仕事や生活、メンタルを保つ難しさ。親まで落ち込むことなく、ほどよい距離をとって対応するためには? その心がけを、経験者たちに聞きました。
Interview
経験者ママはわが子の行き渋りにどう向き合った?
子どもの不登校は親にとっても大きな試練。不安を抱えながらわが子を支え、笑顔を取り戻したママたちにお話を伺いました。

子どもが小3で行き渋り→小4で不登校に
“夫と一枚岩で事態に向き合えたことが大きかったです”
政井マヤさん

政井マヤさん
1976年生まれ。メキシコ出身、兵庫県育ち。上智大学を卒業後、2000年フジテレビに入社。2007年からフリーアナウンサーに。ラジオパーソナリティ、司会などを務める。17歳、15歳、8歳の3児の母。Instagram(masai_maya_official)
日曜日の夕方になると子どものため息が聞こえてきて…
アナウンサーとして忙しく働きながら、3人の子を育てる政井マヤさん。わが子の不登校に直面したのは、お子さんが小学3年生の頃でした。
「日曜日の夕方にため息をつくようになって、朝も玄関から動けない状態。初めは本人も『行かなきゃ、でも行きたくない』と葛藤している感じでした。だから私も夫(俳優の前川泰之さん)も、休んでしまうともう通えなくなるのではという不安から励まして、登校を促してしまっていました」
やがてお子さんは腹痛を訴えるように。学校でも教室に入れず、保健室で過ごすことが多くなりました。視力・聴力検査に引っかかり、クリニックを受診すると、医師から「これは学校でのストレスだと思います」と言われたそう。
4年生に上がったとき、もう一度頑張ってみようと再び登校し始めますが、夏休み明けからまた行けなくなってしまいました。
不登校の大きな原因は環境のミスマッチ
保健室の先生や学校のスクールカウンセラー、不登校の時期には臨床心理士にも相談しますが、打開策は見つからなかったそう。
「いじめではなかったのですが、お友達とのトラブルが断続的に続いていた感じでした。友達と行き違いが起こる中で、先生にも自分の気持ちをうまく伝えることができず、置かれた環境がだんだん窮屈になっていったんだと思います」
政井さんは当時を振り返り、後悔もあると言います。
「学校に相談することで子どもが仲間はずれにされるのでは、との心配もありましたし、モンスターペアレントだと思われることも懸念してしまいました。でも、もっと学校とコミュニケーションをとり、子どもの立場や状況をきちんと理解してもらう努力をすべきだったかとも思います。なるべく自己主張をしないように立ち回ったことで、子どもを守りきれなかったのでは、と」
「もう学校に行かなくてもいいよ」。そう言うと、お子さんはほっとした顔になったと言います。
「ずっと頑張って耐えてきたのですから、当然ですよね。でも、私は内心『どうしよう』と。不登校の期間が3週間なのか、3カ月なのか、1年以上続いてしまうのか。勉強はどうなる? ずっと家から出られなくなったら……などと終わりの見えない怖さを感じました」
でも、夫婦では常に話し合い、一枚岩で同じ方向を見ていられたことが心の支えに。互いに仕事の時間をやりくりして在宅できるように工夫もしたそうです。時間割とチェックリストを兼ねた交換日記ノートを作っていました。
「休んでいる=怠けているとは思わないように。勉強をして、体も動かすように心がけ、夫はよく平日の博物館へ子どもを連れ出してくれました。英会話の教室には通えていて、これがとてもよかった。家だけでは煮詰まってしまいますが、信頼できる先生や悩みを話せる仲間がいたことが本人にとって救いになったようです」
最終的に政井さんは、解決法として「転校」という手段を選びました。その決断に至る一番のきっかけは、学校の先生とのミスコミュニケーションでした。
「電話でやりとりする中で、先生には本人のつらさが理解していただけていない、と感じることが何度かありました。考え方の違いを実感して、今のわが子には、この環境は合っていないと気づいたんです。学校を替えるというのもひとつの選択肢かもしれない。ここだけが正解ではない、無理をして合わせる必要はないんだと、やっと私自身が思えるようになりました。日本では転校があまりよくないイメージにとらえられがちですが、海外ではごく普通にあることですし。実際に転校させてみたところ、拍子抜けするくらいにすぐになじんで、毎日楽しく登校できるようになりました」
勉強はいつでも追いつける。親も自分を責めないで
授業を受けないと落ちこぼれてしまうのでは、とつい心配になりますが、そこはあまり重く考えなくていい、と政井さん。
「うちの子は少しずつでも自宅学習を続けていたので、転校先でも問題なくペースを取り戻すことができました。最低限やることをやっておけば大丈夫だということがわかりましたし、もしそのときにできなかったとしても、安心できる環境になれば、後から追いつくこともできると思います」
予期せぬわが子の不登校。自責の念に苦しむ親は多いものです。政井さんは、自らの経験から、「両親は自分を責めないでほしい」とアドバイスします。
「世の中の風潮として、ネットなどでは親を責める傾向もあります。そこで親まで傷ついてしまうと、肝心の子どもを助けることができなくなってしまいます。まずは家族で目の前の出来事をフラットに受け止めて、状況を見極めながら、子どもの気持ちに寄り添ってあげてほしい。また原因探しではなく、『今後をどうするか』と未来志向で考えたほうがいいのかなと思います。不登校でもいい、と受け入れられたらラクになるはず。そして、後から『なんでこんなことで悩んでいたんだろう?』と思えるときがきっとくると信じています」
政井さん親子の
行き渋り・不登校ヒストリー
――小3
子:友達との関係に悩むようになり、腹痛を訴え、視力・聴力が再検査に。学校を休みがちになる
親:休みグセがつくのではと不安に。夫婦でしっかり話し合いを続ける
――小4
子:再び登校するが、夏休み明けから不登校に。自宅学習を続け、英語塾には通っていた
親:どちらかが在宅できるよう仕事を調整。母が自宅学習をサポート、父が博物館へ連れ出すなど、役割分担をして支えた
――小5
子:別の学校に転校し、明るさを取り戻す
親:楽しそうに通う子どもを見て安心する
――現在
子:学校生活を楽しみながら、不登校の子に英会話を教えたいと考えている
親:この経験から、学校とのコミュニケーションと子どもに寄り添う気持ちの大切さを実感

“不登校でもいいじゃない。そう受け入れたら、心がラクになりました”
政井さんは、わが子の行き渋りにこう向き合った
仕事面…夫婦、親族を含めて誰かが在宅できるように調整
メンタル面…「環境を変えよう」と発想の転換ができたら、ラクになった
夫婦関係…「これでいいかな?」とそのつど確認し合い、心をひとつに
Staff Credit
撮影/名和真紀子 ヘア&メイク/渡辺みゆき スタイリスト/矢島千夏子 取材・文/山野井春絵 本誌編集部
こちらは2025年LEE10月号(9/5発売)「「学校に行きたくない」に親はどう向き合う?」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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