親子で共に学び楽しむ新しい留学スタイル!小中高生が挑戦した「セブ島ジュニアビジネス留学サマーキャンプ」レポート【後編】
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佐々木はる菜
2025.09.28
「送り出すだけ」じゃない!親子で参加し共に成長できるプログラム
この夏、子どもたちと一緒にフィリピン・セブ島で開催された「ジュニアビジネス留学サマーキャンプ2025」に行ってきました。
【前編】では、気になるキャンプの内容や子どもたちの成長について詳しくレポート。そして今回の【後編】では、キャンプに親子参加したママたちの日々にスポットを当てたいと思います!

以前記事を書かせていただいたような従来の「親子留学」は、多くの場合「親子それぞれが英語を学ぶ」ことが目的だと思います。
一方今回のキャンプは、子どもたちは「英語×ビジネス×異文化体験」でこれからの時代に必要な「生きる力」を育み、親は「ワーケーション」スタイルで子どもたちに伴走するというスタイル。小中高生のお子さん37名に対し、保護者は12名と全体の約1/4が親子参加していました。

子どもたちは、今回のキャンプ主催者である「セブ島親子留学のパイオニア」、HANA’SACADEMIA(ハナサカデミア)代表 近藤英恵さんを始めとする運営スタッフや、子どもたちを導く学生起業家を中心とした「メンター」の先生方と共に、海外で同世代のお友達と楽しみながら切磋琢磨。
その間に親たちは仕事、余暇など自分のペースで時間を使いながら、ゆっくりリフレッシュすることができます。


ワーケーション、バカンス、運営お手伝いなど自由な参加スタイルで
現地でお会いしたママたちが口を揃えていたのが、「親子で一緒に参加できることも、このキャンプを選んだ大きな理由のひとつだった」ということ。
小学校中学年くらいまでのお子さんがいるご家庭では「やっぱり、まだひとりで海外に行かせるのは不安」という声が多く聞かれました。
一方で、少し大きなお子さんのママからは「普段は別行動が増えてきたからこそ、海外で一緒に過ごせるのは貴重な機会になると思った」という声も。
通常の旅行でも親子の時間は楽しめますが、このキャンプでは日中はそれぞれが充実した時間を過ごし、食事や夜は一緒に過ごせる。そんな「ほどよい距離感」とバランスに魅力を感じたというお話には、同世代の子を持つ母として深く共感しました。
宿泊先は海が目の前にある人気のリゾートホテルで、中庭にプールもありました。お部屋は子ども単身参加の場合は一室4~5名ほどの寮タイプで、親も参加する場合は基本的に親子同室。ただ子ども同士の交流などを考え、敢えて別室にされている方もいらっしゃいました。

キャンプへの親の参加スタイルは3つ。
ひとつめは、ホテルを拠点に仕事やバカンスを楽しむ「リゾートワーケーションプラン」。
ふたつめは、子どもと一緒にプログラムを受ける「ビジネスキャンプ参加プラン」。
そして最後が、ママ目線も活かしながら運営のお手伝いをする「グローバルマネジメントプラン」です。
今回のママたちは、ワーケーションと運営お手伝いがちょうど半分ずつ。
会社員、自営業、経営者など職業はさまざまで、中には中学生のお孫さんと参加されていた方もいらっしゃいました。
この数年でよく耳にするようになった「ワーケーション」。
もちろん、ご自身の仕事や他の兄弟姉妹のスケジュールなどを苦労して調整し参加されていましたが、子どもと共に海外のキャンプへ参加し、現地で仕事もしつつ楽しまれているママたちの姿に、時代の変化を感じました。

1日のスケジュールは?運営お手伝いは何をするの?
ワーケーションプランの場合、朝と夜の食事は子どもたちと一緒に摂り、日中は仕事や観光など各自で自由に過ごします。滞在中、仕事などに使える自習室もありました。

一方、私が選んだ運営お手伝いチームのママたちは、基本的に子どもと共に行動します。
衛生面や安全などには十分な配慮がされていましたが、やはり現地は日本とは大きく異なる環境。
海外という慣れない状況で共同生活をする子どもたちにとって、運営スタッフに加え、ママならではの温かな気づきがあることで、安心感が一層高まっていたように思います。
私が特に印象に残っているのが、異文化交流会のため現地校を訪れた時の様子です。
その学校のお手洗いは、「使用後は個室内にあるバケツに溜まっている水を、お風呂にあるような手桶で汲んで流す」というシステム。
日本とのあまりの違いに子どもも大人も衝撃を受けました。
トイレをためらう子も多かったのですが、入口近くには安心させるように声をかけ続けるママの姿がありました。
さらにトイレの手洗い場の蛇口から水がほとんど出なかったため、横について手洗いをサポートしたり、除菌シートで手を拭いてあげたり……昼食前には気づくと誰からともなく手分けして、年齢の低い子から順に手を消毒して回っていました。
毎日、日本で見守る保護者の皆さん向けに写真や動画で子どもたちの様子の報告も行っていた他、例えば食が進まない子をさりげなくフォローする、原因がはっきりしない体調不良の子に軽くマッサージをしているといった姿もありました。
ひとつひとつは小さな気配りかもしれませんが、子どもたちだけでなく日本の親御さんたちからも、安心感が増したという感謝の言葉をいただきました。

親子で参加して良かった!3つの大きな収穫
一緒に過ごした9日間で得られた、親子参加ならではの収穫を3つご紹介します。
その①
思春期入口の子どもたちの成長を間近で見守れたこと
この4月に息子は中学生、娘は小学校5年生になりましたが、特に息子は学校などでお友達とどんなふうに過ごしているか直接見る機会がぐっと減りました。
息子はキャンプが始まるとすぐ友達を作り、プログラム時間以外も友達やメンターの先生と集まって遊んだりプールに入ったりプレゼンの練習をしたりと、自室に帰ってくる時間はほぼ寝る時のみ。
一方娘は誰かと仲良くなるまで少し時間がかかるタイプ。2日目の朝までは私と一緒に朝食を食べていましたが、それ以降はお友達と過ごすように。

それぞれが仲間を作っていく過程や、同世代で過ごしている楽しそうな様子を近くで見られるのは貴重な機会。
また、講義を受けたり、チーム内で話し合ったりする真剣な表情も印象的で、それらを経て見た最終日のプレゼンでの立派な姿には、やはりぐっとくるものがありました。




その②
居心地よい距離感で自然と育まれたママ同士の絆
キャンプ中に行動を共にするうちに、ママ同士も自然と仲良くなりました。
それぞれのペースを大切した距離感も居心地が良く、お手伝いなどで協力し合ううちに少しずついろいろな話をするように。
同世代の子どもを持っていることもあり、子育てや教育、暮らしや自分の仕事についてなどたくさんの刺激をいただきました。
子どもたちだけでなく、自分にも訪れた新たな出会いに、心から感謝してます。

その③
親にとっても新しい発見!若い世代からの学び
「ジュニアビジネス留学」の大きな特長のひとつが、学生起業家を中心としたメンターの先生たちから直接指導を受けられることです。

彼らとの関りの中で成長した子どもたちの変化などについては【前編】でお伝えしていますが、私たち大人もたくさんの刺激をいただきました。
例えば自分たちの時代と教育も生き方に対する考えも本当に変わっていることを肌で感じたこと。
メディアなどからの情報で少しは理解しているつもりでしたが、学校の通い方、受験システム、はたらき方など「そんな方法があるんだ!」という驚きがたくさんあり、選択肢の広がりを目の当たりにし、我が子の今後のためにも非常に勉強になりました。

もうひとつ印象的だったのは、「デジタルネイティブ世代」の力を実感できたことです。
メンターの先生方だけでなく子どもたちも、出発前の準備から現地でのコミュニケーション、プレゼン資料の作成や情報収集まで、SNSやAIを自然に取り入れ、当たり前のように使いこなしていました。
私は未だにSNSに対して「子どもには害があるのでは」という不安の方が大きいのですが、実際に娘は英語関係で起業されているメンターの先生のInstagramに触発され、勉強方法を見直したり、突然「TOEICを受けたい」と言い出したりと、プラスの変化を見せてくれました。
学校でもオンライン提出が当たり前になりつつある今、どこまで自由に使わせるかのバランスは本当に難しい問題。危険やリスクがあるのも事実ですが、頭ごなしに制限するのではなく、正しく理解し、賢く使いこなす力を育むことこそ、これからの「生きる力」につながるのだと改めて強く感じました。
デジタルを敵にするのではなく味方につける――その姿勢を、これからも子どもと一緒に大切にしていきたいです。
「運営お手伝い」の醍醐味、まるで学生時代みたい!
最後の数日間は、卒業式とFarewell Partyの準備で大忙し!まるで学生時代の文化祭のように、みんなで走り回る日々でした。
卒業式では、プレゼンテーションの最優秀チーム表彰だけでなく、子どもたち一人ひとりに「あなたらしさ」や努力に寄り添った賞状が贈られました。
さらに主催の近藤さんからのサプライズで、メンターさんたちも全員表彰することになり、その表彰名やメッセージ作りを任せていただきました。真剣に向き合ってくださったメンターさんへの感謝を込めて、ママたちでアイデアを出し合いました。


またママたちからも、9日間走り回っていた近藤さんへのサプライズを準備していたところに、今度はメンターさんからもサプライズの相談が舞い込み、最後は「誰に何を秘密にしているのか分からない!」という思いやりのミルフィーユ状態に(笑)。
最終的に全てのサプライズが大成功!近藤さん、そしてそれまで子どもたちを導く「先生」だったメンターさんたちが、無邪気に喜ぶ姿を見ていたら胸がいっぱいに……自然と涙があふれました。

最終日のプログラムが全て終わった頃には、ぐったりしつつも心地よい達成感があって、本当に文化祭の後みたい。子どもたちを支えるフォローからサプライズの仕掛けまで、それぞれのママが自分の個性や得意を生かし合って協力していたことも印象的でした。

振り返れば、子どもたちの成長はもちろん、親自身も学びや刺激を受けた9日間。
日中は子どもたちが自分の挑戦に夢中になり、大人は仕事やお手伝いに打ち込み、お互いにとって貴重で濃い時間が流れていました。
「親子の絶妙な距離感」の中で、大人も子どももそれぞれが楽しみ、かけがえのない経験を持ち帰れること――これが親子参加の大きな魅力なのだと実感しています。
来年も夏はセブ島での開催が予定されているそう。子どもたちは「また行きたい!」と口を揃え、私も「またぜひお手伝いしたいな」と、すでに来年のカレンダーを眺めているところです。
佐々木はる菜 Halna Sasaki
ライター
1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い2022年からの2年間をブラジル、アルゼンチンで過ごす。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。
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