“英語×ビジネス×異文化体験”で子どもの「生きる力」を育む!小中高生が挑戦した「セブ島ジュニアビジネス留学サマーキャンプ」レポート【前編】
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佐々木はる菜
2025.09.27 更新日:2025.09.28
今求められている「生きる力」を育むプログラム
この夏、中学1年生と小学校5年生の娘と共にフィリピン・セブ島で開催された「ジュニアビジネス留学サマーキャンプ2025」に参加しました。

語学力習得にとどまらず、「英語×ビジネス×異文化体験」を組み合わせることで、これからの時代に必要な「生きる力」を育むという9日間のプログラム。
小中高生とその親が対象で、子ども単身はもちろん、親子一緒の参加も可能。ワーケーションやバカンス、運営のお手伝いなど希望するスタイルで関わることができます。

子どもたちの成長だけでなく、親にとっても教育やはたらき方の最前線に触れられた刺激の多い経験となったため、2回に分けてレポート!
まず今回の【前編】ではキャンプの様子と子どもたちの変化について、そして次回【後編】は親子参加の体験をママスタッフとしての視点からお届けします。
留学地としても、年々人気が高まるセブ島

近年、留学先としても人気を集めているフィリピン・セブ島。
英語が公用語で第2言語として広く使われており、日本からは直行便で4~5時間、時差はわずか1時間というアクセスの良さも大きな魅力。親日的でフレンドリーな国民性、リゾート感あふれる環境も人気の理由で、親子留学からシニア層まで幅広い層に開かれています。
さらに、欧米への留学に比べて学費や生活費が抑えられることから、円安が進む近年はますます需要が高まっているそうです。
「セブ島親子留学のパイオニア」が手掛ける安心の運営

このキャンプを主催するのが、HANA’SACADEMIA(ハナサカデミア)代表の近藤英恵さん。
ご自身も6か国への留学経験があり、結婚・出産後にフィリピンへ親子留学した後、ふたりのお子さんと共に4年間セブ島へ教育移住し現地で学校を設立します。
帰国後は留学事業を行う日本企業などで3,000人以上の留学をサポートし独立した、いわば「留学のプロ」。我が家が2019年に当時小1&年中だった子ども達を連れてセブ島親子留学に参加した際にもお世話になりました。
また、長男のコンドウハルキさんは中学時代に起業し多方面で活躍中です。

そんな近藤さんが現在手掛けているのが、ご自身や息子さんの起業経験を活かした「ジュニアビジネス留学」プログラム。近年注目を集める「起業家教育」を、小中高生向けに本格的に行っているのが特長で、多くのメディアにも取り上げられています。
コロナ禍の影響等もありこれまでのキャンプは国内開催でしたが、11回目となる今回、初めてセブ島での開催が決定しました。

セブ島留学のことなら何でも知っている!と言っても過言ではない近藤さん。
生活や安全面、緊急時は日本語対応の現地病院と連携するなどサポート体制もしっかり整っており、保護者からは「どんな質問にもすぐに答えてくれるので安心」「出発前から現地、帰国後に至るまでフォローが細やかで心強い」という信頼の声が多く聞かれました。
現地ならではの体験を活かし「セブ観光ツアー」を企画
現地で子どもたちは年齢ごとに5~7名のチームに分かれ、自分たちの「会社」を設立。英語やビジネスの授業を受けるだけでなく、現地小学校でのインタビューや観光スポットでの調査を通じて「生きた情報」を集めました。
それらの体験をもとに、フィリピンの発展やSDGsにもつながる新しい「セブ観光ツアー」を企画。プロモーションビデオやHPなどの販促資料もすべて自分たちで制作し、最終日には英語と日本語でプレゼンテーションを行いました。




滞在先はセブの玄関であるマクタン国際空港から車で25分ほどの場所にある、人気のリゾートホテル。

目の前にはすぐ海があり、中庭のプールでは休み時間に毎日子どもたちが大はしゃぎし、南国気分も満喫できました!

子どもたちを導いた、情熱あふれる「メンター」たち
到着直後、自己紹介のために集まった子どもたちの様子は、まだどこかぎこちなく不安そう。年齢も幅広くバックグラウンドも異なる分、まとまるのか少し心配になりました。
そんな子どもたちを一歩ずつ導いてくれたのが、日本からついてきてくれた「メンター」の先生たちです。

高校生から大学生くらいの年代が中心で、在学中に起業をしていたり、ネイティブ級の英語力を持ちこれから海外大学へ進学予定だったりと多彩でユニークな経歴を持つ彼らですが、共通しているのは「子どもたちに本気で向き合う情熱」でした。
各チームをふたりのメンターで担当し、授業やディスカッションはもちろん、食事や移動中の何気ない会話にまで温かい声をかけてくれる。忘れ物を取りに行く時などでも決して子どもをひとりにしない。夕食後も一緒に遊んだり、プレゼン準備の相談にのったり……親の私が「ちゃんと寝ているのかな?」と心配になるほど、惜しみなく力を注いでいました。

タイプの違う兄と妹、それぞれの成長
我が家の兄妹も、この9日間で大きな変化を見せました。
中1の息子はどこに行ってもすぐ友達を作れるタイプ。初日から仲間と楽しそうに過ごし、寝る時以外はほとんど部屋に帰ってこないほど(笑)
ただ普段から「やるべきこと」を後回しにしがちで、今回も遊んでばかりで終わってしまうのではないかと心配していました。
でも実は、特にキャンプ後半は講義以外の時間もみんなでプレゼン準備や練習を重ねていたそう。確かに、遅い時間にスマホとPCを触っている際に注意をした時も、資料作成中だと言い返されました。
そして普段ならばそのまま言い合いになりそうなところ、メンターの先生が自分の会社で実際に使っているAIを使ったマーケティング方法を学んだ話や、チームに動画制作が得意な子がいて、自分たちで撮影した映像とAIを組み合わせる手法などについて熱く語ってくれました。

そしてメンバーみんなで力を合わせた結果、見事ベストプレゼンターチームに選ばれたのです。
堂々とプレゼンをする息子たちの姿にも感動しましたが、帰国後もその変化は続いています。
例えば部活の試合などで忙しい中、これまでならギリギリまで手をつけなかった夏休みの宿題を早々に終わらせるなど、以前よりも自分で目標を立てて行動するように。
今回のキャンプが、彼にとって大きな自信と前向きな力を与えてくれたのだと感じています。

一方で小5の娘は、目標に向かって自ら努力できる反面、集団に馴染むのには少し時間がかかるタイプ。
今回、現地校での異文化交流会や最終日のFarewell Partyでパフォーマンスをするダンス選抜メンバーに選んでいただき、出発前はオンラインで、そして現地でも毎晩練習を重ねていました。

ただキャンプ後半、忙しさやチーム内での衝突が重なった際、「もう帰りたい」と涙した日が。
そんな時、担当のメンターや運営スタッフの皆さんが次々に声をかけに来て、気持ちに寄り添い丁寧に支えてくださいました。みんなが自分の努力をきちんと見てくれていると実感できた娘は、一転して「プレゼン発表が楽しみ!」と晴れやかな笑顔を見せてくれ、その瞬間は今でも心に深く残っています。

最後のダンス発表前には、指導してくれた憧れの先生から手書きのメッセージカードをいただき、今でもそれを宝物のように大切に持ち歩いている娘。
英語関連事業で起業している先生から教わった勉強法にも刺激を受け、帰国後の学習にも新たな意欲を見せています。

兄と妹、それぞれが自分自身と向き合い変化していく姿を間近で見られたことは、このキャンプならではの忘れられない思い出のひとつ。その背中を大きく押してくださったのは、やはりメンターの皆さんでした。
「起業家教育」は子どもの未来を支える学びのひとつ
我が子だけでなく、参加した子どもたちが自発的に行動し、次々と新しい学びを吸収していく姿を見ているうちに、私自身の意識も変わっていきました。




これまで「起業家教育」と聞くと、正直、自分の子には関係ない遠い世界の話だと思っていました。
でもメンターの先生や変化していく子どもたちの姿を見て、その考えは違うのかもしれないと気づいたのです。

子どもたちと近い年齢でありながら、夢や社会の課題に真剣に向き合い、学びながら挑戦するメンターの皆さんの様子。急速に変化する時代を、自分の力を活かし、仲間と協力し、楽しみながら生き抜くバイタリティ。そして「自分だけ」ではなく、子どもたちや未来のために力を尽くす器の大きさ――。
我が子たちにもぜひこんな力を身につけてほしい、そしてこれこそが今回のキャンプが育もうとしていた「これからの時代に必要な『生きる力』」なのではないかと感じました。
「起業家教育」という名前ですが、実際に起業するかどうかは関係ない。
仲間と協力し自分の力を発揮する練習であり、言ってみれば数学や英語と同じように「子どもの未来を支えるための学び」のひとつなのだ。
そんなふうに実感できたことは、私にとっても大きな発見でした。
「未来へのスイッチ」を押してくれた9日間

卒業式では、最優秀チームの発表と表彰だけでなく、子どもたち一人ひとりの個性や頑張りに対して賞状が贈られました。
担当のメンターさんたちがつけてくれた表彰名とその理由は、それぞれの子どもにぴったり!みんな嬉しそうに恥ずかしそうに、でも誇らしそうに受け取っていました。

そして最後に、この9日間参加者全員の「お母さん」のような存在だった近藤英恵さんが語ってくれた言葉は、今でも思い出すたび胸が熱くなります。
「ビジネスを学びに来たからこそ」と前置きしたうえで、まずは今回のキャンプにかかったお金を具体的に示し、その費用を払って送り出してくれた親がどんな気持ちを込めていたのかを考えてほしいと子どもたちに問いかけました。
さらに、誰よりもこのビジネスキャンプを応援していた近藤さんのお父様が昨年亡くなられたこと。親元を離れて共同生活を送った日々の大変さ。そして現地校での交流や、参加者の多くが衝撃を受けたトイレ事情に象徴されるカルチャーショック。
そうした体験を踏まえて伝えてくれた、「お金の価値を知ることの大切さ」「当たり前は当たり前ではないという気づき」「人の命には限りがあるという真実」は、人生に深く響くメッセージでした。
そして事前に準備していた参加者全員の保護者からの手紙やメッセージを子どもたち一人ひとりに贈り、「親御さんに返事を書いてね」とカードが渡されました。

このキャンプで子どもたちが学んだのは、英語やプレゼン力といったスキル以上に「自分の力で未来を切り拓く」経験だったのではないかと思います。同時に、先輩たちの姿を通して「夢や目標を叶えるには勉強も努力も欠かせない」と改めて実感した子も多かったようです。
みんなで協力し挑戦を続けた9日間は、まさに「未来へのスイッチ」で、今も子どもたちの心の中で静かに光り続けていると感じます。
その光が子どもたちをどんな未来へ導いていくのか、親としてもひとりの参加者としても楽しみでなりません。
そして実は、このキャンプは子どもたちだけの成長物語ではなく、共に参加した親にとっても多くの学びと気づきがある、かけがえのない時間となりました。続く【後編】では、親子で参加したママたちの体験を通して「もうひとつのセブ島サマーキャンプの物語」をお届けします!
佐々木はる菜 Halna Sasaki
ライター
1983年東京都生まれ。小学生兄妹の母。夫の海外転勤に伴い2022年からの2年間をブラジル、アルゼンチンで過ごす。暮らし・子育てや通信社での海外ルポなど幅広く執筆中。出産離職や海外転勤など自身の経験から「女性の生き方」にまつわる発信がライフワークで著書にKindle『今こそ!フリーランスママ入門』。
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