ティシューや生理用品、ベビーや大人用紙おむつなどの日用品を数多く展開するブランド「エリエール」。人々の暮らしを快適にする商品を扱うからこそ、身近なところへの“やさしさ”を、大切にしているといいます。
今回はフローリストとして活動する前田有紀さんが、そんな想いに共感し、大王製紙でエリエールブランドを担当する社員2人と “やさしさを「カタチ」にする仕事”について、話し合いました。
前田有紀さん
フローリスト。10年間テレビ局に勤務した後、2013年にイギリスに留学。ガーデナーとして見習い修行をし、帰国後は都内の生花店に勤務。独立後はフラワーブランド「gui」を立ち上げる。2021 年、表参道に実店舗「NUR flower」を構え、2025年4月に2店舗目の「gui flower Kamakura」をオープン。インスタグラム(yukimaeda0117)
中村亘さん
大王製紙株式会社
営業、広告宣伝の経験を活かし、現在はエリエールのブランディングを担当。現在1歳10ヶ月になるお子さんが生まれてから働き方を見直し、帰宅後は入浴や寝かしつけを担当。
古野絢子さん
大王製紙株式会社
営業やベビーやフェミニンなどの商品まわりに特化した広告宣伝や販売促進を担当後、現在はエリエールのブランディングに関わる業務を担当。夫とともに2歳のお子さんの育児に奮闘中。
忙しくて、ついイライラ。思わず家族や周囲の人に当たって後悔してしまったり…。そんな経験、ありませんか? もしも一歩手前で、心のゆとりを生み出せたら──。エリエールが大事にしている“やさしさ”について、みんなで考えました。
“やさしさ”って漠然とした言葉でもあると思うのですが、社内でもよく出てくるキーワードなのですか? 共通の想いが社員のみなさんに浸透しているんでしょうか?
はい、最近はずいぶんと浸透してきた実感があります。私たちがお届けする商品は、ティシューや生理用ナプキンなど、日常的に使うものばかりです。その商品に込めた“やさしさ”が使う人に伝わって、その人たちによってやさしい気もちがさらに広がったら…。その願いを実現させるにはどうしたらいいかということを、社員皆が真剣に考え始めているように感じます。
もともと「世界中の人々へ やさしい未来をつむぐ」という経営理念をもって長年続けてきた会社ですが、これまでは「肌にやさしい」という商品づくりに目が向けられていたような気がします。最近はそれにとどまることなく、お客さまや社員など、関わる一人一人に向けた“やさしさ”をより重視するように。あらためて、本当の“やさしさ”について、会社全体で考えているところです。新しいことを始めたというよりも、昔から心がけてきたことを見つめなおそうという動きですね。
前田
そうなんですね。実は2023年に朝日新聞社が主催する「ウェルビーイングアワード」で、大人用紙パンツの「アテント」が受賞されていたのを新聞で拝見しました。それ以来、エリエールブランドの取り組みに注目していたんです!
古野
前田
これまでの「大人用紙おむつ」という表現から「大人用紙パンツ」に名称を変えて、パッケージデザインもおしゃれで明るい色合いに。機能性はあえて謳わず、隠さずに家に置いておけるようなデザインを優先されていることに驚きました。介護当事者も、介護する側も健やかな気もちで使える商品づくりをされていると知って、これこそ本当の“やさしさ”を体現していると感じました。
中村
大人用紙パンツって、みなさん初めて使うときは、抵抗感があるものですよね。でもトイレのことが気になって、せっかくのおでかけを楽しむ余裕がなくなってしまうのは残念。僕らの商品を使うことで、トイレに関する不安な気もちは忘れてその日を楽しんでほしい。少しでも「大人用紙パンツ」のハードルを下げようという試みでした。
前田
これまで見過ごされていたストレスを前向きに解消してくれる、素敵な取り組みだと思いました。大人用紙パンツをはいてお出かけした人が笑顔になれば、介護をする周りの人もやさしい気もちになれますよね。
やさしさを「カタチ」にする仕事って?
エリエール公式サイトでは、動画も公開中!
忙しい人たちの“時短”につながる工夫が“やさしさ”のきっかけに
前田
古野さんも中村さんも、小さいお子さんを育てながらフルタイムでお仕事をされていると伺いました。とても忙しい毎日を過ごされているのでは?
古野
はい。育休が明けて仕事復帰をした頃は大変でした。夫婦ともに帰宅後は疲れている状態なので、この家事はどっちがやる?と見合ってかけ引きする時間が多くて。でも、勇気を出して解決策を話し合って、今は効率よく分担できるようになったので、時間と心のゆとりが出てきました。
中村
私も家族優先で考えていて、以前より早い時間に出社して業務を昔より効率化し、早めに帰宅するように。まだ子どもが小さいので、お風呂と寝かしつけは私の担当です。
前田
時間を上手に活用する工夫をされていて、素晴らしいですね。
中村
社長みずから男性に育休取得を促したり、業務効率化のためのAIツールが導入されたり…。最近は時間のゆとりを生む働き方を、会社がやさしくバックアップしてくれるようになりました。
前田
働く人たちへの“やさしさ”も、すごく大事ですよね。花屋をやっていると、どうしても忙しい時期って出てくるんですよね。でも、眉間に皺を寄せて作ったブーケは、誰も幸せにしないなと思って。もちろん利益は大事ですが、スタッフ一人一人が幸せな気もちで働けるバランスを考えて、省ける作業はないかなど、常に時短を意識しています。
古野
時短にとりくむことで、その人の心にもゆとりができますよね。エリエールは、生活によりそう商品が多いので、ゆとりにつながる“ものづくり”を意識しています。
10月1日(水)から全国発売になる「キレキラ!ドライ×ウエット」という商品は、床掃除用のシートなんですが、片面がドライでもう片面がウエットになっていて、裏返すだけで乾拭きも水拭きもできます。
前田
わざわざシートを取りに行ったり、付け替えたりする手間がなくて、裏返せば一気に床掃除が進みますね。そういう工夫のある商品が時間のゆとりを作ってくれるんですね。ありがたいです!
家計に不安がある時代だからこそ、手に取りやすい価格にもこだわって
前田
最近は原材料の価格が高騰していて、ものづくりをする側にとっても苦しいですよね。
古野
はい、厳しい時代ですよね。それでも、ティシューや紙おむつなど、生活者にとって欠かせない商品が多いので、品質はおとさずに誰にでも手に取りやすい価格帯の商品をお届けすることも使命だと思っています。例えば保湿成分入りで肌にやさしい高品質のティシューを販売している一方で、品質を守りつつも、普段づかいできるティシューもご提供するようにしています。
前田
お花の原価も同じく高騰していて、商品の価格設定はいつも悩ましいです。でも、お店には小さなお子さん連れのご家族やご高齢の方など、いろんな方が足を運んでくださいます。どんな人にも手に取りやすいお花を取り揃えるように意識して、多くの方に寄り添えるお店づくりを目指しています。
古野
エリエールが誰にとっても身近なブランドであることを目標にしているのと、共通していますね。
前田
大きなブランドと小さな花屋ではありますが、“やさしさ”を届けたいという同じ想いがあったのだとわかって、とても共感しました。
体調の悩みをやわらげ、すこやかな暮らしをサポートするのが役目
前田
エリエールの商品はどれも、肌ざわりなど使う人へのやさしさを感じるものばかりですが、今回特に印象に残ったのは、パンツ型になった生理用ナプキンです。初めて直接見て触れて、これはぜひ使ってみようと決めました。夜ベッドでも漏れる心配をせず、ぐっすり眠れそうですね。
古野
運動部で激しくスポーツをされる学生さんにも好評なんですよ。
中村
ほかにも、健康面での“やさしさ”は大人用紙パンツにも反映されています。夜中のおむつ交換は、介護する方も、介護を受ける方にも大きな負担となります。お互い睡眠不足でイライラしてきつく当たってしまい、時間がたってからどうしてやさしくできなかったんだろう、と後悔される方も多いそう。トイレ8回分をしっかり吸水できる夜用の大人用紙パンツなら、家族みんなが安心して眠れます。
前田
商品を使う当事者たちの抱えるリアルなストレスや想いを丁寧にリサーチして、しっかりと商品の機能面に反映させているんですね。“やさしさ”ってそういうことですね。
人と人との関係をつくるものづくりで、幸せな気もちを広げたい
前田
ものづくりを通して“やさしさ”を伝えることはもちろん、社会全体に “やさしさ”を拡大していくための活動を、エリエールは積極的にされていらっしゃるんですね。
中村
そうですね。人と人とのふれあいの大切さを世の中に広めていく「えがおにタッチPROJECT」という啓発活動をしています。
そのほか、経済的に生理用品を手に入れるのが困難な日本の学生さん向けに、生理用ナプキンを1年間無償で配布する活動「奨学ナプキン」を実施しています。
古野
国内だけでなく、海外でも「HEART SUPPORT」として社会活動をしています。
海外拠点の周辺地域を中心に、自治体、医療機関などへ紙おむつの無償提供や地域発展のための学生教育の支援、天然記念物の保護などを行っています。
前田
昔から続けてこられたことも、新たな活動もあって、“やさしさ”というキーワードを軸に、いろんな方向へ取り組みを拡大されていらっしゃるんですね。
幅広い活動の中で、何かご自身の変化などはありましたか?
中村
そうですね、プライベートでもすごく活かされています。「えがおにタッチPROJECT」には監修の先生がいらっしゃって、社員もいろいろ教わっているんですが、僕自身が一番心がけているのは、子どもとのふれあいです。ふれあうことでオキシトシンという幸せホルモンが分泌され、自身の自律神経の安定と子どもの愛着形成につながっています。
前田
私も日中は子どもについ早くして!とせかしてしまうこともありますが、寝る前には必ず「生まれてきてくれて本当にありがとうね」と言うようにしています。24時間はやさしくできなくても、節目で言葉やスキンシップを意識するのは大切ですよね。
前田
今日はエリエールブランドがいろんな“やさしさ”に目を向けていること、そして商品や社会活動を通して、それを多くの人に広めていらっしゃることがよくわかりました。
古野
ありがとうございます。やさしい未来をつくっていこう!というミッションに向かって活動していますが、取り組みを続けるほどに、会社で働く仲間や友人、家族などの身近な人、そして自分自身のことを大切にすることこそが“やさしさ”の始まりなんだな、とあらためて感じています。
中村
企業として利益を追求することは必要だけれど、“やさしさ”を社会へと拡大させていくことも、エリエールだからできる大切な視点。まだまだ認知も活動量も足りないですけれど、身近なところから広げていきたいですね。
前田
私の場合も大好きな花を通して笑顔を広げたいという想いがあります。そのために地域の農家さんのお花を店頭に並べたり、ワークショップやイベントを主催したり、いろんな人の顔が見える活動を続けています。エリエールというブランドも、生活している人の顔をしっかり見つめていて、立場は違うけれど、根底に同じ想いがあるとわかってすごくうれしかったです。これからもお互いの場所で、それぞれの“やさしさを「カタチ」にする仕事”をしていきましょう。今日はありがとうございました!
中村・古野
やさしさを「カタチ」にする仕事って?
エリエール公式サイトでは、動画も公開中!
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エリエールブランドサイト
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Staff Credit
撮影/砂原 文 スタイリスト/徳永千夏(前田さん) ヘア&メイク/山下光理(前田さん) 取材・文/田中理恵