今年はCDデビュー15周年
【澤部 渡さんインタビュー】「追い求めるポップソングを今日もファミレスで書き続ける」
2025.07.11
Culture Navi
カルチャーナビ : 今月の人・今月の情報
追い求めるポップソングを今日もファミレスで書き続ける
澤部 渡さん(スカート)

ポップソング好きの間では知られたバンド、スカート。その良質な楽曲は音楽業界や広告分野での支持も厚く、最近では『金麦』CMでの『ビタースウィート・サンバ』のカバーでその声を知った人もいるかも。そんなスカート唯一のメンバーであり、ソングライティングと、ボーカル・ギターを担当するのが澤部渡さん。
「大学時代に音楽活動を始めるにあたって“澤部渡”個人名義ではなく、バンドでやりたくて。ザ・フー、スパークスのように略されない名前がよくて、思いついたのが“スカート”という言葉でした」
レコーディングやライブなどはサポートメンバーを募って活動を続けてきた。ただ、集まるサポートメンバーはいつも同じ人たち。それってもはや“メンバー”なのでは?
「みんな、もともと別のバンドをやってたので、“スカートのメンバーになって”とは言い出しづらく……。年月とともにそれぞれバンドをやめたり、ソロになったりしたのですが、声をかけるタイミングを逃してしまいました(笑)。ただ、“ライブは行けないけどレコーディングは参加できるよ”とか、“レコーディングの日はスタジオに行けないけど家では作業できるよ”とか、“行けたら行く”感覚で参加してもらえるのは、スカートの形態ならではかもしれないです」
なんてフレキシブル!
「そういう意味で“今っぽいバンド”になるとは思っていませんでした(笑)。でも、僕としては“解散”に憧れてもいるんです! 集中的に3枚くらいアルバムを出して、ぱっと解散するのって、はっぴいえんどはじめ伝説的なバンドに多いじゃないですか。今、スカートが“解散します!”って宣言しても、“それはお前の気の持ちようだ”って言われるでしょうし(笑)」
今年はCDデビュー15周年。それだけ長く活動を継続するのも、伝説への一歩と言える。15周年の集大成アルバム『スペシャル』に続き、テレビアニメ『ふたりソロキャンプ』のOPテーマ『灯りは遠く』も配信リリース。
「かつて行ったキャンプの風景をたぐり寄せながら完成させました。ただ“実体験の歌”だと思われるのが好きではなくて。基本的に僕の歌は、空想を交ぜて“どっかの誰かの情景”になるよう意識しています」
今回の『灯りは遠く』でも“よるべない夜”“くゆる煙”などセンスが光る言葉が並ぶ。この歌詞も毎回苦悩して生み出しているそうで。
「ファミレスで繰り返し曲を聴きながら書いています。昔は深夜営業のファミレスで“朝までに!”と、自分なりに制限時間をつけて作業してましたけど、最近は深夜に開いていないので日中に。でも、部活帰りの高校生の隣だったりすると会話が気になって、4時間粘って1行も書けないことも。偶然耳にした何気ない会話からイメージを広げて書くアーティストもいますけど、僕はそのタイプじゃないようで……」
歌詞を書くのが深夜から日中のファミレスに変わったように、15年間での変化はほかにも。
「変わったのは、ファミレスで作業し続け、30kg増えた僕の体重(笑)。変わらないのはポップミュージックを追い求める気持ち。自分が“こんな曲があったらいいな”と思うものを世に出して、皆さんに“どうですか?”と尋ねるのを繰り返している。そんな感覚です」
PROFILE
2006年、ソロプロジェクトとしてスカートの活動を開始。2010年に自身のレーベル「カチュカ・サウンズ」を立ち上げ、1stアルバムをリリース。アニメや映画などの楽曲制作、三浦透子、adieu(上白石萌歌)などへの楽曲提供も行う。作曲でよく通うファミレスのお気に入りメニューはチキングリル。
Instagram:skirt_oh_skirt
X:skirt_oh_skirt
公式サイト:https://skirtskirtskirt.com/
『灯りは遠く』

IRORI Records/PONY CANYON INC.
テレビアニメ『ふたりソロキャンプ』OPテーマ。都会を離れ、キャンプ場でたき火を眺めながら聴きたい、メロウで温かみある楽曲。澤部さんの記憶に残るキャンプは? 「高校時代、美術部の合宿でなぜか毎年キャンプに行ってたんです。テントではなくロッジ泊でしたけど、夜のしんとした感じは、とても印象深かったですね」。7月9日デジタル配信でリリース。(ポニーキャニオン)
Staff Credit
撮影/野口花梨 取材・文/古川はる香
こちらは2025年LEE8・9月合併号(7/7発売)「カルチャーナビ」に掲載の記事です。
LIFEの新着記事
-
【無印良品】年末大掃除に大活躍!プロムジラーがリアルに使い倒す掃除グッズ5選
2025.12.13
-
【LEEの付録トートで冬コーデ5人分!】LEE1・2月号付録、マッキントッシュ フィロソフィーのBIGトートがお気に入りです♪【LEE100人隊の付録レビューvol.2・2026】
2025.12.13
-
【今月のおすすめ映画】『小川のほとりで』 恋愛絡みの“いざこざ”が最高。大人と学生のキャンパス群像劇…他3本
2025.12.13
-
【「バウンダリー」の考え方】実母・実父がしんどい…LEE読者からの実例をもとに専門家が解決策を提ます!
2025.12.13
-
【あったかグッズおすすめ7選】「コレ買って大正解!」靴下、湯たんぽ、入浴剤…室内で使えるエディター愛用品をご紹介
2025.12.13
この記事へのコメント( 0 )
※ コメントにはメンバー登録が必要です。
















