こんにちは。美容エディターの伊熊奈美です。
今回は、こんなお悩みをいただき、特別ゲストにヘアメイクアップアーティストのYUTA.さんにお越しいただきました! 美容師としても活躍するYUTA.さんとの対談形式で回答をしていきます!
自分の髪質が厄介過ぎてスタイリングも決まらず、メイクも苦手。毎朝、自己肯定感が下がるほどです・・・。
まるみ・40歳
YUTA.さんに学ぶ、“私”が輝くメソッド
朝のメイクやスタイリングが決まらず、気分が上がらないというお悩み。とてもよくわかります。
今回のゲスト、YUTA.さんの本『なんとなくの自己流から抜け出す 今の自分に合うメイクの正解』には、新しい自分に出会えるメイクや美容に向き合うためのメッセージと”私”が輝くためのメソッドが詰まっていました。YUTA.さんともに、本にもあるような「今日の私、なんかいいかも!」という朝のための美容との向き合い方について探ってきます!
YUTA.さんは30年以上にわたり、多くの女優さんやモデルさんのヘア&メイクを担当されていて、SNSで発信されているメイクテクニックは私もときどきチェックしていたんです。そんなYUTA.さんが初めてメイク本を出されたとのことで、手にとってびっくり。なんと写真が一枚もないんです! えっ?メイクの本なのにどうして?? そこには、私たちひとりひとりがメイクで自分を変えるための深い意味があったんです…。

延べ2万人以上のヘア&メイクを担当
YUTA.
ヘア&メイクアップ アーティスト
美容師としてデビューし、テレビ大阪「スーパー美容師変身バトル」にレギュラー出演するなど活躍。その後ヘア&メイクアップアーティストとして多くの俳優、モデル、アーティストのヘア&メイクを手掛け、TV、雑誌、広告、CDジャケット等を担当。2025年5月、初の著書『なんとなくの自己流から抜け出す 今の自分に合うメイクの正解』(日本実業出版社)刊行。

読む人自身が主役! 写真のないメイク本
『なんとなくの自己流から抜け出す 今の自分に合うメイクの正解』
プロとして第一線で30年活躍するヘア&メイクアップアーティストのYUTA.さんが、メイク前に意識する大切なことから、あなたの魅力を最大限に引き出すメイクのコツを教えます。ベースメイク、スキンケア、マッサージなど具体的なプロのメソッドも。¥1650/日本実業出版社
メイク本なのに写真がないのは、「自分の軸」でメイクをしてほしいから

伊熊 YUTA.さんのご著書を拝見して本当に写真が一枚もなくてびっくりしました!
雑誌でも本でも一般的にはメイクのページなら、「目尻のキワのこの部分にこの色のアイシャドウを入れる」といったテクニック解説や、「このテクでこんなに素敵になったよ」っていうビフォーアフターの写真や、「使ったコスメはこれ」など、写真にあふれているものでしょう? それが、この本には必要最小限のイラストしかない。どんな思いが込められているんですか?
YUTA. それはみなさんに「自分の軸」でメイクをしてほしいと思っているからなんです。たとえば、SNSや雑誌の写真で素敵なメイクを見たとして、それをそのまま自分の顔でマネしても、決して自分もその顔になれるわけではないですよね。そうならなかったときすすめてくれた方のせいにしたり、使ったモノのせいにしてみたりしてしまう。でもそれはほかの誰かを軸としたメイクですから、同じにならなくて当然なんです。ビフォー・アフターの写真を載せなかったのも、他の誰かの変化ではなく読む人自身が変わるための本だからです。
ありのままの今の自分を見つめることから始めて

伊熊 確かにそうです。実は私自身も長年、美容ページの作り手でありながら、モデルさんの写真を見て「元が違うからなあ」「自分は肌のトーンが暗いからなあ」と思ってしまうこともありました。
YUTA. 美容ページのテクニックやコスメはもちろん参考にしてほしいんです。でもその前に「自分軸」をもつことが必要なんです。だからこの本はまず「自撮りをする」ことから始まり、何が悩みなのか、紙に書き出すことが最初の一歩。ありのままの今の自分を見つめることから始めます。
伊熊 そうそう。冒頭から「自撮り」「書き出す」という話だったのでメイクの本というより自己啓発の本みたい、と思ったんですが(笑)、実際に自撮りをしてみたら自分の顔を客観的に見ることができて、具体的な悩みがすぐに見えるようになってきました。
自分と向き合うことって、最初はなんとなく苦手というか、怖いような意識があったのですが、やってみたら驚くほどモヤッとしたものが明確になりました。これこそ「自分軸」をつかむ最初の一歩なんですね。

YUTA. はい。自分をだんだん視覚化していく作業は“書く瞑想”というイメージなんです。私のオンラインレッスンでも、定期的に自撮りをして自分について書き出していくのですが、続けるうちにだんだん見た目と内面がつながってきます。すると自分の顔にあったバランスでメイクができるようになる。そして、一気に自己肯定感が跳ね上がって目の輝きが全然変わってくるんですよ。

『今の自分に合うメイクの正解』(日本実業出版社)
髪の悩みを解決する第一歩はまず髪をとかすこと

(中)“黄金色”の2本の櫛。使い込むほどにツヤが出るツゲの櫛と、静電気を抑え、キューティクルがまっすぐ整う「ラブクローム」の純金加工の櫛。
(いちばん右)立ち上がりが早いCADOのヘアアイロン。スイッチを入れた瞬間一気に180℃まで温度が上がるのでストレスなく使える。
伊熊 書籍では、髪をとかすことに特別な思いをお持ちのYUTA.さんのエピソードが印象的でした。幼いころからお母様が髪をとかす姿を見るのが好きだったという。そして今、ご自身がお母さんになって娘さんの髪をとかしていたら、娘さんもYUTA.さんの手元をじっと見ていたっていう。髪の輝きは心のキラキラを映しているという言葉にも胸打たれました。
YUTA. うれしい! 髪って本当にとかすたびに自然なツヤが生まれて、しっとりまとまっていくんですよ。やってみたらきっとその変化に驚くはず。ぜひ、質問者のまるみさんにもやってみていただきたいと思います。
伊熊 実は私も髪をとかすのは朝晩のルーティンなのですが、それをするようになる前は自分の髪が剛毛でいうことを聞いてくれないからまったく好きになれなかったんです。でもブラッシングを始めてからは不思議なことに髪がとても扱いやすくなって、自分の髪を愛せるようになりました。でもエディターの性なのか(笑)、科学的根拠がないような気がして話すのを躊躇していたんですけど、伝えていいんだ! と勇気が出ました。自分で毎日髪をとかせるようになったら、次のステップは何ですか?
YUTA. 次はヘアアイロンです。年齢を重ねると、髪ってどうしてもハリコシがなくなってきてしまいますよね。ヘアアイロンがそれをカバーしてくれるんですよ。
伊熊 書籍にあるヘアアイロンの使い方の説明がとてもわかりやすかったです。写真がなくて文字だけなのに、不思議と手の動きがわかって……と、ネタバレになってしまうからここまでにしておきましょう(笑)。
さて、この連載には多くの髪のお悩みをいただくのですが、今回はYUTA.さんにも聞いてもらいたいお悩みがきているんです。冒頭でも紹介した、「自分の髪質が厄介過ぎて、スタイリングも決まらず、メイクも苦手。毎朝、自己肯定感が下がるほどです…」というもの。
YUTA. はい。こういうときによく「何を使えばいいの?」と聞かれるのですが、私は最初に「今は何も買わないでください!」っていいます。今持っているものが使えなかったら、この段階で何かを買っても、きっと何も使えないんです。それよりもまずは櫛やブラシで髪を朝晩とかしてみてほしいんです。とかすことによって「ああ、髪ってとかすとツヤが出るんだ」ということがわかります。

伊熊 YUTA.さんは、みなさんの声からシャンプーやスタイリング剤も作られていますよね。
YUTA. そうなんです。髪って気持ちに影響するパーツだから。はじめに整えたいのは、髪なんです。
たとえば白髪があったとして「美容室に行くのは1カ月に1度」、みたいに決めちゃうことが多いのですが、本当は自分はどのタイミングで美容室に行けばいいのか?と改めて見つめ直すと、「自分はこのくらいの見え方のときに美容室に行くといい」とか気づけるようになる。そうしたら、美容室のルーティンを変えるとか、セルフケアを取り入れるなどして改善すればいい。
だから私は、伊熊さんがオススメしている、カラートリートメントの白髪ケアを取り入れることにもすごく共感しています。
伊熊 実は…私自身も、美容室によっては、「自分で染めないで」「自分で切っちゃダメ」ってセルフケアを否定されることがあるのに違和感を覚えて。髪には履歴が蓄積するし、美容師さん側に立つと確かにそれはそうなんだけど、自分の髪と生きていくのは自分でしかないのだから自分がいつ、どんなときも心地よくいられて、輝くためにはやはりセルフケアしかない。
自分でカラーリングしたら美容師さんに嫌われないかな、って心配する人もいるけれど、そういうときは話し合ってみて、と伝えています。結果「全然大丈夫だった」「逆にいい方法をすすめられた」なんてことも多いんです。美容師さんとよりよい関係になれたという人も多くて、意外にも道は開けるものなんですよ。

“外”を変える前に、“自分”と向き合ってみて
伊熊 ところで今回のお悩みをくれたまるみさん、「カチューシャにちょっと挑戦したいけど、イタくなりそう…いや挑戦しなくていいかもですが…」など他にもたくさんモヤモヤしてるそうです。
YUTA. なるほど、やっぱりまずは髪をとかすことから始めてほしいです。それからもっとご自身を内観してみるといいと思います。モヤモヤは何なのか、それを出しきって改善していくと、心と体がつながり、やがて外見につながっていくんです。俳優さんやモデルさんが輝いているのは、ただ私たちメイクアップアーティストがメイクをしているからというだけじゃない。とことん内観して自ら磨きをかけているからなんです。それは誰でもお金をかけずにできることですよね。自分を内観して受け入れる、まずはそこからやってみてほしいですね。
伊熊 私たちは悩むとつい新しいアイテムやテクニックに頼りたくなってしまいます。遠回りに見えて実は「内観で自分と向き合うこと」が大切なんですね。そうして自分の軸ができて初めて髪も肌も輝けるんだと改めて知りました。悩めるまるみさん、そして皆さんもYUTA.さんメソッドをぜひ参考にしてみてくださいね!
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大人女性の髪悩み、解決します
伊熊奈美さんへの質問を募集中です!
大人女性の髪悩みの救世主、伊熊さんへの質問大募集中です! 少しずつピックアップしてになりますが、お答えしていきますので、ぜひ質問を送ってくださいね!(お答えできない場合がございますのでご了承ください)
Staff Credit
撮影/藤澤由加
伊熊奈美 Nami Ikuma
毛髪診断士・美容エディター
毛髪診断士の資格を持つ美容エディター。雑誌や書籍の編集・執筆のほか、セミナー講師やヘアケア製品開発にも携わる。大人女性のヘア情報サイト『HAIRISTA』を監修。1男の母。
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