Dear my Love…
竹下玲奈さんの
娘に受け継ぐものがたり
vol.12
モンブランの万年筆
文房具好きだからこそ味わえる大人への階段

とびきりシックで大人っぽいモンブランの万年筆を使っていますが、万年筆の文字を乗せるカードは、クスッと笑えるひねりのあるシャレがきいたタイプが好き。青山のスパイラルマーケットのカード売り場に、子どもの頃と同じような気持ちで頻繁に通っています。チョコレート形の手帳はフライングタイガーで見つけたもの。可愛い文具を見つけるとついつい買ってしまうんです
竹下玲奈さん
2年ほど前、ずっと憧れていたモンブランの万年筆をいただく機会に恵まれました。それ以来、お手紙やカードなどを書くときは、大抵この筆を使っています。この連載の表題『娘に受け継ぐものがたり』も、実はこの万年筆で書いた文字なんです。
私は昔から、文房具が大好きで、用もないのに文房具店を覗いたりする子どもでした。初めて自分の意思で手にした筆箱は、やたらと蓋が多いタイプ。メイン部分はもちろん、え? こんなとこも?ってびっくりするようなところが開く、一世を風靡したあの筆箱です。中高生になってからは、お気に入りのペンをたくさん持っていることにステイタスを感じるように。ペンケースは常にパンパンで、無駄に重たいことに満足していました(笑)。
ペンの書き心地や質感にこだわるところは、娘にも遺伝したようです。鉛筆を卒業し、シャーペンを知った彼女は今、“シャー芯”に、並々ならぬこだわりがあります。0.3㎜、0.5㎜、0.7㎜といった太さに、H、HB、Bなどの濃さがかけ合わさる微差に魅せられているようで、気に入ったシャー芯とそれに合うシャーペンを、ことあるごとに行きつけの文房具店で必死に探しています。
もしかしたら、私にとっての万年筆は、今の娘にとってのシャーペンなのかもしれないと、ある日ふと気がつきました。モンブランに出会う前も、いくつか簡易的な万年筆を使ったことはあったものの、本格的な一本と真剣に向き合うのはこれが初体験。最初に文字を書いたときは、筆先の角度や方向、筆圧がまったくわからず、それはそれは無惨な状態に。何度も練習を重ね、なんとか人様に万年筆で書いた文字を贈れる段階に達しました。そうなのです。角度や筆圧で変わる万年筆の味わいのあるグラデーション文字は、娘がシャー芯を替えて書く文字の感覚と、ちょっと似ています。それに気がついたとき、文房具店で必死にシャー芯を探す娘の姿と私の姿が重なって、ひとり笑いをしてしまいました。

竹下玲奈
Rena Takeshita
モデル
1981年、鹿児島県生まれ。14歳でデビュー以来、トップモデルとして活躍。群を抜いたセンスに業界内のファンも多く、“モデルが憧れるモデルNo.1”との呼び声が高い。『LEE』では、モデルとしてはもちろん、その愛情あふれるライフスタイルが読者の心をつかんでいる。
Staff Credit
スタイリング/竹下玲奈 撮影/長山一樹(S-14) 取材・文/磯部安伽
こちらは2025年LEE5月号(4/7発売)「竹下玲奈さんの娘に受け継ぐものがたり」に掲載の記事です。

竹下玲奈 Rena Takeshita
1981年、鹿児島県生まれ。14歳でデビュー以来、トップモデルとして活躍。群を抜いたセンスに業界内のファンも多く、“モデルが憧れるモデルNo.1”との呼び声が高い。『LEE』では、モデルとしてはもちろん、その愛情あふれるライフスタイルが読者の心をつかんでいる。
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