性の話の切り出し方、わが家の場合
【鈴木えみさん】性のこと、娘さんとどんなタイミングで話しますか?おすすめ本&サイトも
2025.08.12
大切なことだけど、切り出しにくい……
性のこと、親子でもっと普通に話したい

性教育は必要だとわかっていても、親子で性の話はなかなかしにくいのが本音。親自身は教育を十分に受けてこなかった世代なので、どんなことをどう話せばいいのか戸惑う人も多いはず。そこで実践している人たちに、その術を教えてもらいました。
性のことに触れるきっかけは、生活の中にたくさんある! サイエンスとしてフラットに話しています
鈴木えみさん

鈴木さん発案で性教育の普及活動も!

『幼少期からのいのちの授業 Family Heart Talks』
性教育の普及を目指したサポート団体。昨年は、親子で学ぶ『幼少期からのいのちの授業』を全7回開催。参加者からは「周りに相談しづらいことなので、同じ悩みを持つ人とともに学べて安心した」「親子で参加して、性について話すきっかけに」といった反響があったそう。

性教育は恥ずかしくない! 自分と相手を尊重するためのもの
鈴木えみさんは、11歳の娘さんが物心ついた頃から、自然に性教育をスタートしたそうです。
「娘は同じ女性なので話しやすいこともあり、小さい頃から体の仕組みや、生理についても自然に話していました。性教育の絵本を参考に、水着で隠れる部分や口といった“プライベートゾーン”のこと、プライベートゾーンは、許可なく他人が見たり触れたりできないことを一緒に学んだりもして。あるとき、娘と読んでいた絵本をSNSでシェアしたらすごく反響があり、みんな性のことについてどう話すかや、教え方に困っているんだと痛感したんです。そこから『Family Heart Talks』を立ち上げ、親子で性について、楽しく学べるイベントを開催しています」
活動をする中で、多くの人が性教育を誤解していると感じるとか。
「性交渉を教えること=性教育だと思っているケースが大半で、下ネタぐらいの感覚の人も。そうではなく、そもそも人を好きになるのは素敵なことだし、だからこそ自分も相手も思いやって尊重したいと思えるんですよね。愛情があってこそなんだよ、というのは、性教育のベースとして子どもにしっかり伝えたいなと。親の意識が変われば、親子で性について話すことも、恥ずかしくなくなると思いますよ」
最近は、娘さんとどんなタイミングで性のことを話しますか?
「日常の中にきっかけはたくさんあるので、会話の中で気づくといろいろと話しています。少し前に、私が生理の不快感を軽減してくれる“月経ディスク”を使ってみたいと思い取り寄せたので、娘にも説明したり。生理や体のことについて話すときは、サイエンスとしてとらえて、淡々と話すと言いやすいと思います。ニュースで流れる性犯罪のこともきっかけになるので、つらい内容でもできるだけ伝えるように。何歳でどこまで話すかは悩みどころかと思うのですが、わが家では“国際セクシュアリティ教育ガイダンス”を参考にしています。内容が簡単にまとめられた本もあるので、読んでみると大人も勉強になるはず。こちらに沿って、娘にはすでに避妊の種類やアフターピルのことなども話しています」
娘さんから質問があることも。
「今は体が変化している時期なので、『もしも学校のお泊まり行事で、生理になったらどうするの?』と聞かれたり。もっと小さい頃は、私にさまざまなセクシュアリティの友達がいるのを見て『あの人は男の子?』と質問されたことがあって。『生まれたときの性のまま生きる人もいれば、途中で違うと感じる人もいるんだよ』と話して、LGBTQなどの性的マイノリティについても説明しました。ひとつの質問から伝えられることってたくさんあるので、私はできる限り言葉を尽くして話すようにしていますね」
子どもから質問されても、気まずくてはぐらかしてしまう親も……。
「質問をするということは興味があって、子どもが知識を吸収できる状態だから、はぐらかすのはもったいない! 期間をおいてでもいいから、『この前聞いてくれたときはびっくりしちゃって答えられなかったんだけど、大事なことだからちゃんと説明したいんだよね』と、また話題に出してみては。どう話せばいいか悩むときは、信頼できるウェブサイトなどを見つけておいて、一緒に調べるのもおすすめです」
鈴木えみさんのおすすめ本&サイト

『家庭ではじめる性教育サイト「命育(めいいく)」』
性教育の知識や情報を提供するウェブサイト。年齢ごとの心身の成長や、そのタイミングで伝えるべき性のことがまとめられていて、専門医師監修の記事も充実。親子がポジティブに性のコミュニケーションを図るきっかけに。思春期の子どもにもおすすめ。

『おかあさんとみる性の本』 (全3巻)
山本直英(監修) 和歌山静子(さく) 童心社
『ぼくのはなし』『わたしのはなし』『ふたりのはなし』を収録。刊行から30年にわたって読まれている絵本。どのように生まれてきたのか、 なぜ男性と女性がいるのかなどの疑問や、自分を守ることの大切さをわかりやすく解説。(各)¥1540
周りも同じ意識を持てるように、娘の友達に性の話をすることも
また、性にまつわることは、周りを巻き込んで話していくのも大事だと、鈴木さんは言います。
「性のことはわが子だけでなく、参加するコミュニティにいる人たちみんなが、同じぐらいの意識を持てないと意味がないんです。例えば『おしりプリプリ』と言ってふざける幼児がいたら、多くの大人は子どものやることだからとつい笑ってしまうのですが、本当は笑っちゃいけないと思うんです。笑うと子どもはおもしろいことなんだと認識して、サービス精神でさらにふざけてエスカレートしてしまうから。みんながこのことをわかっていないと、社会で定着しないんですよね。最近は、周りの親御さんの許可を得て、私が娘にしている性教育を、娘の友達にも話したりしています。娘には何度か話していることも、友達と一緒に聞くと、また違った角度から学べるし、子どもの心にも残りやすい気がしますね。親世代は自分が性教育をきちんと受けてきていない方が多いと思うので難しいとは思うのですが、周りのママたちと協力して、子どもたちに性のことを話す機会を作ってもいいかもしれません」
あらためて、早くから娘さんに性のことを話していて、よかったと思うことはありますか?
「それこそ、年齢的に下ネタで笑っている同級生もいるようなのですが、娘は毅然と『何がおもしろいの?』と言って、流されて笑うことはありません。自分の意見を主張できるし、嫌なことは嫌だと言える。将来的に、性的同意にもつながる部分なので、必要なことだなと思っています。あとは、しっかり自分を持ちつつも、差別的な見方をしないし、周りを尊重できる人になっているのかなと。性教育の根本の大事な部分が、きちんと伝わっているのかなと思うとうれしいですね」
性の話の切り出し方、わが家の場合
生理について話したり、娘の友達も一緒に性について学んだりと、日常の中で話せることはたくさん! さらに、子どもから質問されたらチャンス。ひとつの質問から伝えられることは多いので、恥ずかしがらずに話しています。
Emi Suzuki

Staff Credit
撮影/砂原 文 ヘア&メイク/犬木 愛(agee) スタイリスト/鈴木美智恵 取材・文/野々山 幸(TAPE)
こちらは2025年LEE5月号(4/7発売)「性のこと、親子でもっと普通に話したい」に掲載の記事です。
※商品価格は消費税込みの総額表示(掲載当時)です。
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