生理前に心身にさまざまな不調が出る「PMS」(月経前症候群)を知っていますか? LEE世代では自覚があるという人が多いですが、実は10代や20代の若い世代にも悩む女性が増えているんです。
お子さんにもう生理がきている人も、これからの人も、母娘で話すことはとても大切。ともに症状を持つLEE100人隊のマッキーさん母娘が、PMSについて語り合いました。
母娘ともにPMS症状に悩む、LEE100人隊 マッキーさん親子がトーク
LEE100人隊TBマッキーさん&娘・コハルさん
会社員で、LEE100人隊として活動9年目のマッキーさんは47歳。夫、17歳の娘のコハルさんの3人家族。コハルさんは高校3年生で、昨年度まで打ち込んでいたバレーボール部を引退したところ。
気になるようになったのは3~4年前くらい、40代前半の頃から。朝起きた瞬間から顔や脚がむくんでいるのがわかるし、全身なんだかだるくて重たいんです。イライラもあって、普段は流せることが妙に引っかかったり。顔のほてりや生理周期の乱れも始まったから、もしかしたら更年期かな?とも思ったけれど、生理が始まると不調がピタッとやむので『これはPMSだ』と気づきました。
高1の後半くらいから生理前の不調を感じていて、学校でPMSについてのプリントが配られたりして少し知識はあったから、わりとすぐPMSだと気づきました。症状としては、まず肌の状態が気になったり、つい食べすぎたり。特にチョコ系など甘いものが欲しくなって、それで満腹感が出ちゃったり…というパターンが多いです。部活のバレーボールでミスしたときも、いつもなら気持ちを切り替えられるのに、生理前は3日くらい引きずってしまいがちでした。勉強中などに急に眠気が襲ってくることも多い気が。
【DATA1】
PMS症状に悩む10~20代の若者が実は多い
出典:マクロミル調べ「月経前症候群(PMS)の自主調査」/調査時期:2024年9月/対象:一般生活者2062人(18~59歳の女性)
このグラフは、年齢別の「PMS悩みの度合い」を聞いたデータ。
LEE世代である30~40代で悩んでいる人(「とても悩んでいる」「やや悩んでいる」を選択した人)は32.5~49.6%なのに対して、25~29歳では56.3%と半数以上の女性が悩んでいると回答。18~24歳の悩んでいる人の割合も、30代~40代前半と同程度。
――ともにPMSを自覚する母娘が、まずはよく感じる不調や、家庭内のコミュニケーションにおけるPMS期間中の悩みについて話し合いました。
マッキーさん:私はイライラすることが多くて、パパにけっこう当たりがちだよね。家事も分担してくれるし、気もつかってくれるんだけど、家事のやり方が私と少し違うとかささいなことでイラッとしちゃって。
コハルさん:わかる。いつもパパが作ってくれる朝ごはんに「朝からこんなにたくさん食べられないよ…」と思っちゃったり。パパは普段どおり作ってくれているだけだから、こっちの問題だっていうのは頭ではわかっているんだけどね。まぁ、パパも言われっぱなしじゃなくて「じゃあ自分でやって」とか反撃してくるけど(笑)。
マッキーさん:母娘で生理のサイクルが重なることも多いよね。だから二人してパパへの当たりが強くなっちゃって、申し訳ないなぁと思ってはいるんだ。
コハルさん:私たちは二人ともPMSの症状が重いから、お互いを見て「あぁ、食欲増してるな。PMSだろうな」ってわかるし、「おなかすくよね~」とか言い合えるからいいけど、パパはわからないもんね。
マッキーさん:生理中は貧血になりやすいだろうからと鉄分の豊富な料理を作ってくれたり、私たちをいたわってくれるパパに、もう少し優しくしないとだね。
【DATA2】
10~20代では、PMS対処として生活習慣を改善している人が少なめ
PMSに悩む人に「現在行っている対処行動」を聞いたところ、18~29歳の若い世代では、低用量ピルや漢方、痛み止めの処方薬を活用している人が30~40%前後と他世代(20%台前後)より多い一方で、リラックスしたり食生活に気をつけるなど生活改善による対処をしている人は10%台にとどまり年上世代より少なめという結果に。
年を重ねるにつれて、いろいろな方法でPMSに対処しようと選択の幅が広がっていくよう。
出典:マクロミル調べ「月経前症候群(PMS)の自主調査」/調査時期:2024年9月/対象:一般生活者2062人(18~59歳の女性)
――マッキーさん母娘のPMS対策はどうでしょうか?
コハルさん:私はママと普段から何でも話すほうだから、こうやってPMSや体の悩みについて相談したりもできるけど、周りの友達を見るとそうじゃない子もけっこういるんだよね。
マッキーさん:みんなはどうやって情報収集してるのかな? 悩みがあるときはどうしてるんだろう?
コハルさん:生理とか性教育とか、そういう情報発信しているインフルエンサーのTikTokやInstagramを見ている子は多いね。生理が不順だったりしてピルを飲んでいる友達もいて、そういう子は婦人科を受診しているみたい。
マッキーさん:婦人科へは一人で行っているのかな? コハルはまだ婦人科へ行ったことがないと思うけど、行くとしたら一人で行けそう?
コハルさん:うーん、ママについてきてほしいな、最初だけでも。私たちの世代にとって婦人科ってまだ身近じゃなくて、やっぱり「妊娠したら行くところ」っていうイメージなんだよね。人目も気になるし、ママがついてきてくれたら安心。
マッキーさん:そっか。そんな話も今までしたことなかったから、今日は聞けてよかったよ。
コハルさん:うちはもともと母娘で生理とかの話をよくしているほうだと思う。でも、ママがPMS期間中どんなことにイラッとするとか、本当はパパに申し訳ないと思っているとか、初めて知ったよ。
マッキーさん:本当だね。コハルとは、普段からお互いの様子を見て「そろそろじゃない?」「むくむよね」とか言い合えているのが心強くて安心感もあるんだけど、あらためてPMSについてじっくり話せてよかった。健康や美容情報についてはコハルのほうが詳しいことも多いし、これからもいろいろ教えてね。
コハルさん:オッケー!
世代をこえたPMS悩みについて、婦人科医・福島先生がアドバイス
教えてくれたのは…
婦人科医 ソレイユレディースクリニック 福島真梨先生
「PMSとは、生理前3~10日の間に出る心や体の症状です。心の症状としてはイライラや落ち込み、体の症状としてはむくみや頭痛などが多く、人によってはおなかや乳房の痛みなども。心の症状が強く日常生活に支障をきたすほどの場合はPMDD(月経前不快気分障害)といい、最近ではそれらをまとめてPMDsと呼びます。
LEE世代のPMSの方は、出産後に自覚することが増えて受診に訪れるという人も多いです。それは、若い頃と症状自体が変わるというよりも、育児に忙しくて自分のケアに手が回らなくなり、症状を緩和したり予防することができなくなったためと考えられます。また、もともとPMSがある人が更年期に入ると、ホルモンの揺らぎがより大きくなり、PMS症状も強く出る傾向にあります。
一方で、実は若い世代の女性でもPMSを訴える人が、以前より増えています。近年はインターネットやSNSから情報を得やすくなっているため、PMSだと自覚できる機会が多いのかもしれません。
現場で感じるのは、中学生、高校生くらいの女性のPMSは重症度が高いということ。PMSはストレスが大きいと悪化しやすい傾向にあるのですが、中・高生の年代は受験や部活、人間関係など、思春期特有の悩みやストレスが多い時期。勉強や受験が大変で、SNSの影響で人間関係も昔より複雑。今の子たちがストレスフルなことも一因と感じます」
Advice1
昼と夜のリズムを整えて、心の落ち込みを緩和
「PMSの改善には生活リズム、運動、栄養といった生活習慣の改善が第一。
特に落ち込みやイライラなど心の症状が強い場合、幸福感を感じるセロトニンというホルモンが不足していることが考えられます。セロトニンを分泌させるには、昼夜のリズムを整えるのが大切。私たちの体は、朝起きて朝日を浴びるとセロトニンが分泌され、夜になるとそれがメラトニンに変化して体を眠りのモードに導きます。朝きちんと起きることが習慣づくと、夜もきちんと寝られるようになり、ホルモン分泌も整うでしょう。
また、運動も大事です。特にPMS時期はむくみやすいので、体をしっかり動かしてむくみを予防して。といってもたくさん運動する必要はなく、ちょっと多く歩く程度でもOK。ただ、PMS前だけにやるというよりは、週2~3回でもいいので習慣化するのがいいですね。
食事はバランスが大事ですが、塩分や糖分、脂肪を控えた食事に切り替えるとよいでしょう。伝統的な和食のスタイルがオススメです。ごはん、みそ汁、肉や魚などの主菜、おひたしや煮物などの副菜をそろえることで、自然に栄養バランスが整います。また、アルコールはほどほどに。
特にPMS対策としていいのは、ビタミンEの一種であるγ(ガンマ)-トコフェロール、大豆成分から作られるエクオール、カルシウム、マグネシウム、ビタミンB6などです。食事からとれればベストですが、PMSのときは食事の用意もしんどいもの。心のよりどころとして、それぞれの症状緩和に必要な栄養素が取り入れられるサプリメントの活用もいいですね」
Advice2
PMSかも?と思ったら、「PMSチェックシート」を活用しましょう
「LEE世代の女性からは『更年期かPMSか区別がつかない』という声もよく聞かれます。その場合、症状がどのタイミングで出るのかが判断の目安に。生理前に症状が出て生理がくれば治まるようならPMS、タイミングが関係なかったり慢性的な場合は、更年期症状の可能性が高いです。
正確に知るには婦人科を受診するのがベストですが、PMSかどうかをセルフチェックすることができるPMSチェックがあるので、活用してみるのもいいでしょう。また、娘さんがPMSかもしれないと気づいたり、悩みを相談されたときにも『これでチェックしてみたら?』と渡しても。ぜひ利用してみてください」
Advice3
娘がPMSの場合、母親自身の悩みをきっかけに話を引き出してみて
「思春期の娘と、PMSや生理、性について話すのは難しいというご家庭もありますよね。そうした場合は、母親自身の症状について先に伝えて『あなたはどう?』などと話を引き出してみても。
若いときにPMSやPMDDについての教育を受けると、将来的にPMSの発症率が下がるというデータもあるため、娘世代にも積極的な理解を促したいですね。
また、もし娘さんの症状が重く婦人科に行ったほうがよさそうに見えたら、ぜひ受診をうながしてあげてほしいと思います。親の前で生理の話などをしにくいという子もいるようですが、親が付き添って来ても話をするときは本人だけ別室で、という対応もできます」
●お問い合わせ
大塚製薬株式会社
PMS ラボ
https://www.otsuka.co.jp/pms-lab/
Staff Credit
撮影/メグミ イラストレーション/オカヤイヅミ 取材・文/遊佐信子